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ペルオキシ亜硝酸

分子式HNO3
その他の名称Hydroperoxynitrogen oxide、Peroxonitrous acid、Peroxynitrite、ペルオキシ亜硝酸
体系名:ヒドロペルオキシ窒素オキシド、ペルオキソ亜硝酸


硝酸

分子式HNO3
その他の名称Nitric acidHydrogen nitrateAqua fortis、Azotic acid、Fumic acidNital、NSC-147791、NSC-15203
体系名:硝酸


物質名
硝酸
化学式
HNO3
原子量
63.0
融点(℃)
-42
沸点(℃)
83
密度(g/cm3
1.52


硝酸

(HNO3 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/27 10:08 UTC 版)

硝酸

共鳴構造式
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.028.832
EC番号
  • 231-714-2
Gmelin参照 1576
KEGG
MeSH Nitric+acid
PubChem CID
RTECS number
  • QU5775000
UNII
国連/北米番号 2031
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 HNO3
精密質量 62.995642903 g mol-1
外観 無色の液体
密度 1.5129 g cm-3
融点

-41.6 °C, 232 K, -43 °F

沸点

82.6 °C, 356 K, 181 °F (68 % 溶液は 121 °Cで沸騰)

への溶解度 完全に溶解
酸解離定数 pKa -1.4
屈折率 (nD) 1.397 (16.5 ℃)
2.17 ± 0.02 D
危険性
GHS表示:
Danger
H272, H290, H314, H331
P210, P220, P280, P303+P361+P353, P304+P340+P310, P305+P351+P338
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
[2]
Health 3: Short exposure could cause serious temporary or residual injury. E.g. chlorine gasFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazard OX: Oxidizer. E.g. potassium perchlorate
3
0
2
OX
引火点 不燃性
致死量または濃度 (LD, LC)
138 ppm (ラット, 30分)[1]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
TWA 2 ppm (5 mg/m3)[1]
REL
TWA 2 ppm (5 mg/m3)
ST 4 ppm (10 mg/m3)[1]
IDLH
25 ppm[1]
安全データシート (SDS) ICSC 0183
関連する物質
その他の
陰イオン
亜硝酸
その他の
陽イオン
硝酸ナトリウム
硝酸カリウム
硝酸アンモニウム
関連物質 五酸化二窒素
出典
ICSC
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

硝酸(しょうさん、: nitric acid: Salpetersäure)は窒素オキソ酸で、化学式 HNO3 で表される。代表的な強酸の1つで、様々な金属と反応してを形成する。有機化合物ニトロ化に用いられる。硝酸は消防法第2条第7項及び別表第一第6類3号により危険物第6類に指定され、硝酸を 10 % 以上含有する溶液は医薬用外劇物にも指定されている。

濃硝酸二酸化窒素四酸化二窒素を溶かしたものは発煙硝酸赤煙硝酸と呼ばれ、さらに強力な酸化力を持つ。その強力な酸化力を利用してロケットエンジン酸化剤推進剤として用いられる。

概要

試薬瓶に入った70%硝酸
二酸化窒素の影響で黄色くなった硝酸

五酸化二窒素(無水硝酸、N2O5)を水に溶かすと得られる、一価の強酸性の液体で、金属と反応して硝酸塩(水に可溶)を作る。任意の割合で水に溶け、通常「硝酸」という場合には水溶液を指す。

芳香族ニトロ化反応

純硝酸の性質

純粋な遊離酸も 0 ℃で硝酸カリウムと純硫酸を反応させ、真空蒸留により単離することが可能である。

オストワルト法の実験器具

アンモニアを白金触媒の存在下で 900 ℃ 程度に加熱すると一酸化窒素が得られる。この反応においては触媒とアンモニアの接触時間が重要であり、接触時間が長いとアンモニアと一酸化窒素とが反応して窒素が生成されてしまう[12]。触媒にはこのほかに CuO-MnO2 系や、Fe2O3-Bi2O3 系などの金属酸化物触媒も、かつては用いられたことがあったが、触媒活性で劣っていたり、反応中に触媒が微粉化してしまうため、現在では、白金に 10 % ほどのロジウムを加えた金網状の触媒が用いられている。白金-ロジウム触媒を用いた際には反応温度 800 °C、接触時間 0.001 秒の反応条件で一酸化窒素への転化が起こり、その収率は 95 – 98 % である[12]。そのほかに粘土によっても酸化に成功した事例もあるが、収率は半分以下である。

硝酸イオン(しょうさんイオン、NO3, nitrate)は硝酸およびその化合物の電離、分解によって主に生じる1価の陰イオン、窒素化合物であり、硝酸塩中にも存在し、平面正三角形型構造で N−O 結合距離は硝酸三水和物中において 124.7 – 126.5 pm である[9]

硝酸は強い酸化剤であり、多くの金属と反応するため多種のを生成する。また一般に、金属の硝酸塩は水に溶解しやすい。

希薄水溶液中における標準酸化還元電位は以下の通りである。

硝酸鉄(III)・9水和物
硝酸コバルト(II)・6水和物
硝酸銅(II)・3水和物

消防法により硝酸塩類危険物 第1類 酸化性固体に分類される。硝酸イオンは本来無色透明であるが、遷移金属イオンを含むものは有色であることが多い。

主に火薬、肥料、食品添加物発色剤)などに用いられる。

硝酸塩鉱物

水溶性であるため雨量の多い日本国内での産出は確認されていないが、南米チリが主な原産国である。

生態系における硝酸

硝酸は好気性菌によって生物屍骸等からアンモニア亜硝酸を経て生成される。さらに嫌気性菌によって窒素等に分解され空気中等に放出されていく。なお、アクアリウムの生態系において嫌気性菌の発生は困難であり、水槽中に硝酸が分解されないまま溜まっていくので、高濃度となる以前の適度な水換えが必要となる。ただし一般的に、アクアリストにとって硝酸はアンモニアや亜硝酸との比較において性の低い物質認識されている。 アンモニウム塩、亜硝酸塩、硝酸塩は溶存無機態窒素 (DIN)であり、水域の植物プランクトンや藻類等の窒素源として重要な栄養塩の1つである。

脚注

注釈

  1. ^ 濃度は特に定義されているわけではないが、実験室で用いる希硝酸は通常 6 mol/dm3 (32 %, d = 1.19 g · cm-3)、あるいはそれ以下のものであることが多い。

出典

  1. ^ a b c d NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0447
  2. ^ Safety Data Sheet”. fishersci.com. Fisher Scientific International. p. 2 (2015年3月23日). 2022年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月4日閲覧。
  3. ^ a b c FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年,原書:F. ALBERT COTTON and GEOFFREY WILKINSON, Cotton and Wilkinson ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY A COMPREHENSIVE TEXT Fourth Edition, INTERSCIENCE, 1980.
  4. ^ D.F.SHRIVER, P.W.ATKINS, INORGANIC CHEMISTRY Third Edition, 1999.
  5. ^ シャロー 『溶液内の化学反応と平衡』 藤永太一郎、佐藤昌憲訳、丸善、1975年
  6. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982)
  7. ^ 山崎一雄他 『無機溶液化学』 南江堂、1968年
  8. ^ 化学大辞典編集委員会 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  9. ^ a b 『改訂4版化学便覧基礎編Ⅱ』 日本化学会編、丸善、1993年
  10. ^ 田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年
  11. ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
  12. ^ a b c d e 米田幸夫 著、化学大辞典編集委員会(編) 編『化学大辞典』 1巻(縮刷版第26版)、共立、1981年10月、531-532頁頁。 

参考文献

関連項目

外部リンク



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