【AR-18】(えーあーるじゅうはち)
AR-15(M16)で有名なアーマライト社が開発した突撃銃。口径NATO5.56mm。
第三世界への供与を主眼とし、生産性と信頼性を重視して設計された。
プレス加工とプラスティック素材をAR-15以上に多用し、さらなるコストダウンと軽量化を図った。
また回転機構(ガスオペレーション)を直接ガス駆動(リュングマン)方式からショートストローク・ガスピストン式に変更し、遊底の汚れによる信頼性低下を防いだ。
ボルトキャリアのハンドル部はボルトと連動しているため、不完全閉鎖などのトラブルが発生した際には強制的に前進させて閉鎖する事が可能。
さらに遊底の機構を変更することで銃床を折りたたみ式にし、全長を縮めずとも空挺降下に用いることができるようになった。
しかしAR-15を発展させたM16が大量生産されたことで一挺あたりの単価も安くなり、これが輸出されることでAR-18をわざわざライセンス生産する意義が失われ、ついに軍の主要装備として採用する国は現れなかった。
また、この銃のセミオート型であるAR-180を日本の豊和工業がライセンス生産・アーマライト経由で輸出していたのだが、この銃はIRAの手に渡りテロ活動に用いられたため、未亡人製造機の悪名で知られた。この影響で豊和工業での生産は1972年に打ち切られることとなった。
日本政府が定めていた武器輸出三原則は、(狩猟・スポーツ用等)非軍事目的に使用される銃火器を規制対象としていないが、AR-180はテロによって「軍事目的」の「突撃銃」とみなされたのである。
このように否定的な評判ばかりが目立つが、設計上の先見性は高く、後にイギリス陸軍のL85や陸上自衛隊の89式小銃、ベレッタのAR70の他、近年ではH&KのG36やマグプルのMASADAなどを設計する際の参考にされた。
国家による制式採用はなされず、悪名ばかりが目立ってしまった挙句に製造メーカーも転々としている不遇な銃だが、後発の名高い多くのアサルトライフルに影響を残したといえるだろう。
現在では、AR-180の直系改良型にあたるAR-180Bが「アーマライト」の商標を買い取ったイーグルアームズ社から発売されている。
スペックデータ
種別:アサルトライフル
口径:5.56mm
全長:970mm/733mm(折りたたみ時)
銃身長:463mm
重量:3,170g
装弾数:20発/30発/40発(箱型弾倉)
使用弾薬:5.56mm×45
作動方式:ガス圧作動・短ガス・ピストン方式、ロータリーボルト/マイクロ・ロッキング・ラグ閉鎖
銃口初速:1,000m/s
発射速度:800発/分
バリエーション
AR-18
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 09:59 UTC 版)
AR-18は、1963年にアーマライト社で開発されたアサルトライフルである。当時すでにアメリカ軍で採用されていたM16A1小銃の安価な代替品というコンセプトで設計された。正規軍に制式採用される事はなかったものの、後のアサルトライフル開発に大きな影響を与え、多くの派生した製品が生まれた。
- ^ a b c d e f g h “The ArmaLite AR-18/AR-180 Rifles: The Rifle that Never Could”. SmallArmsReview.com. 2020年12月24日閲覧。
- ^ a b c “ArmaLite AR-16”. Historical Firearms. 2020年12月25日閲覧。
- ^ a b c d e “A Look Back at the ArmaLite AR-18/180”. American Rifleman. 2020年12月24日閲覧。
- ^ “The AR-180 is poised to make a comeback”. Military Times. 2020年12月25日閲覧。
- ^ Gun Professionals 2019, pp. 36, 55.
- ^ “Modern AR-180: The Brownells BRN-180 System”. American Rifleman. 2020年12月24日閲覧。
- ^ 参議院会議録第55回国会予算委員会第10号(PDF) - 国会会議録検索システム
- ^ a b 衆議院会議録第71回国会地方行政委員会第9号(PDF) - 国会会議録検索システム
- ^ 衆議院会議録第71回国会内閣委員会第23号(PDF) - 国会会議録検索システム
AR-18
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/29 05:59 UTC 版)
AR-18は、AR-16の設計を元にしながら、当時すでにアメリカ軍で採用されていたM16A1小銃の費用対効果に優れた代替品という位置づけで開発された。設計は1963年から始まり、アート・ミラー(Art Miller)、ジョージ・サリバン(George Sullivan)、チャーリー・ドーチェスター(Charles Dorchester)らが携わった。基本的に、AR-18は5.56x45mm弾仕様にスケールダウンされたAR-16である。鋳造された航空機構造材グレードのアルミ合金の部品で構成されていたAR-10やAR-15に対し、コストダウンに加えて製造を容易にするため、AR-18ではプレス加工されたスチール材が多用された。元々、専用の20連発/30連発/40連発箱型弾倉を使用する小銃として設計されていたが、信頼性の問題が解決できなかったため、AR-15用弾倉にわずかな変更を加えたものを利用する設計に改められた。リコイルメカニズムが機関部に収められているため、AR-15とは異なり、折畳式銃床を採用することができた。同じ理由から、銃床が破損した場合でも問題なく射撃を行うことができた。AR-10やAR-15のシルエットを特徴づけた機関部上のキャリングハンドルは、実戦でほとんど使われなかった上、照準調整と弾道計算を困難にしたので、AR-18では採用されなかった。AR-15と同型の照門は機関部上に直接設けられている。また、レール式スコープマウントも標準的に設けられていた。先進的なアイデアではあったものの、何種類か設計されたスコープ自体はほとんど販売されなかった。 ミラーは後にAR-18として知られることとなる自動小銃の特許を、1964年6月15日にアメリカ合衆国特許第3,246,567号として取得している。 AR-15の代替品として積極的な売り込みが図られ、アメリカ軍においては1960年代を通じて何度かの試験が行われたが、その度に多数の問題点が指摘されることとなる。1969年、アバディーン性能試験場で実施された試験の後に報告されたところによると、AR-18には2点の欠陥と16点の欠点が指摘された。多くは部品の強度不足に由来するもので、AR-18は安全基準を満たさず、M16A1を上回る点も見られないライフルと捉えられた。1970年、アバディーン性能試験場にて、AR-15とAR-18を比較する試験が行われた。しかし、依然として信頼性の低さは改善されず、動作不良が多発した。陸軍の結論は、「軍用銃としての可能性はあるが、追加の試験を行う前に、さらなる設計の改善が必須である」というものだった。以後、アメリカ軍によるAR-18の試験は行われなかった。 アメリカのほか、いくつかの国が試験のために少数ずつのAR-18を購入したものの、アメリカ軍と同様の欠点が指摘され、最終的に主力小銃として採用した例はない。そのほか、ごく少数が法執行機関に配備されたことが知られる。製造数の大部分は、セミオート射撃のみ可能な民生用モデル、AR-180だった。AR-180は、1969年にアメリカの民生銃器市場向けに発表された。 AR-18は、元のアーマライト社が手掛けた最後の火器でもあった。1983年、アーマライト社はフィリピンのエリソン・ツール・マニュファクチャリング・カンパニー(Elisco Tool Manufacturing Company)に売却された。1996年、アーマライトブランドはイーグル・アームズ社(Eagle Arms)に売却され、同社の新ブランドとして採用された。2001年、イーグル・アームズ社社長のマーク・ウェストローム(Mark Westrom)は、AR-180の近代化モデルとして、AR-180Bを発表した。これはポリマー製のロアレシーバーやAR-15用弾倉との互換性といった特徴があったほか、いわゆるアサルトウェポン規制法(英語版)に適合させるべく、着脱不可能なマズルブレーキや折畳不可能な銃床を備えていた。しかし、AR-180Bの売れ行きは芳しいものではなく、2007年に販売が中止された。 2019年、カナダの銃器メーカー、コディアック・ディフェンス(Kodiak Defence)は、AR-180Bをさらに改良したWK180-Cを発表した。WK180-Cは、AR-15用アクセサリーとの互換性が高められている。
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