55年体制崩壊後
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平成に入って消費税課税も始まり、1990年代以降団塊ジュニアがバブル崩壊のアオリを受けて不況も続いていた中、55年体制は崩壊し自民党は2/3どころか単独過半数すら喪失し、議論は党派を超えて交渉や協議を重ねることが要求された。[要出典] 2005年、自民党が立党50年を機に第一次素案 を発表した(この素案は、“自衛軍”の保持、軍事裁判所(軍法会議)の明記以外にも、環境権など新しい人権の追加という国民に受け入れやすい要素を合わせ持っていた)。この後、与党優勢を背景に国民投票法制定も含めて憲法改正に関する環境整備を進めようとする改憲派と、主に戦力の不保持と交戦権の放棄を規定している日本国憲法第9条を守ろうとする護憲派が対立した。 日本共産党や社会民主党は、特に第9条を取り上げて憲法改正を「憲法改悪」と表現して反対した。護憲派では九条の会などが結成された。2007年の日本国憲法の改正手続に関する法律案をめぐる与野党協議の決裂で自民党と民主党の協力関係が崩れたことに加え、改憲を公約に掲げた自民党が参院選で大敗した。[要出典] 2004年 - 2005年の世論調査では、改憲賛成に「議論した結果改正することがあってもよい」という容認を含めれば、60-80%台に増えている(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本世論調査会)。ただし、9条改正の賛成、反対のみを問うアンケートでは、賛成・反対ともに39%(NHK) といった数字も出ている。もっとも、「マガジン9条」(現在は「マガジン9」) が2006年1月に実施したアンケート で、「9条を変える」が82%、「9条を変えない」が18%となった。 一方、2007年4月の読売による世論調査では、改憲賛成が過半数を占めたものの、大きく数を減らした。なかでも9条に関しては改正賛成が35%にとどまる一方で、改正せず解釈で対応するべきとの意見及び厳密に守るべきとの意見が合計で約6割になった。特に、民主党支持層で改憲反対が増え、9条については改正反対の意見が根強いことを示した。2008年4月に同紙が行なった調査ではわずかながら改憲反対が賛成を上回った(42.5%に対し43.1%)。一方で、各政党が憲法議論をさらに活発化させるべきだと思う人は71%であり、時代にそぐわない部分が増えているとの認識も根強いと読売は分析している。 なお、自民党「憲法改正草案大綱(たたき台)」(2004年11月17日)は、ときの防衛庁長官・中谷元の要請に応えて防衛庁勤務の三等陸佐が作成した「憲法草案」を採り入れていたことが判明。「自衛隊に使い勝手のいい(=容易に軍事行動を起こせる)改憲案だ」との批判を受けて撤回した。 主要な左派・革新派が過去に社会主義的改憲を主張したこともある。しかし、近年は憲法改正反対派が主流となっていることから、主要な左派・革新派から日本国憲法の改正案などの発表はされていない。[要出典] 日本社会党(現在の社民党)は、当初、「日本に社会主義社会を確立する」と社会主義的改憲を主張していた。現在は護憲を方針としており、改憲論議自体に反対している。[要出典] 政党などの憲法に関する意見表明としては、平和や人権を強化する「護憲的改憲」(日本新党など)、21世紀の日本のかたちを構想して自由濶達に議論する「論憲」(民主党)、創造的議論で国家権力の恣意的解釈を許さない基本法にする「創憲」(民主党)、憲法9条は別として新しい人権を加える「加憲」(公明党)、憲法を活かす「活憲」(辻元清美など)、憲法を修正する「修憲」、米国憲法のように補正を加えていくなどの「追憲」、「廃憲」などの造語競争が起こっている。自民党のなかでも野中広務元官房長官は改憲に反対であった。[要出典] 当初は第9条が大きな争点であった憲法改正論議は、その後の情報化社会の到来や国民のプライバシーに関する意識変革と相まって、多様な論点での議論が求められはじめ、また護憲を党是に掲げている社会党に替わって1996年に民主党が野党第一党となった事などから、政治の場で憲法を議題にする事をことさらに問題視すべきでないといった認識も広まり、2004年には自民党だけでなく、公明党、民主党などの各党憲法調査会が結成され、改憲論議が広く交わされる事となった。[要出典] 民主党は「過去を振り返るのではなく、未来に向かって新しい憲法の あり方を考え、積極的に構想していくという意味」の創憲を掲げた。2012年3月、たちあがれ日本応援団長の石原慎太郎東京都知事は「憲法改正は時間の無駄。もし新党の党首に私がなるとしたら憲法無効論を党是とする」と語った。石原を共同代表に迎えた日本維新の会(2015年結党の日本維新の会とは別団体)は綱領に“日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し…”と明記した。 改憲に積極的に賛成している層は、近隣諸国(想定としては自衛隊が定義する対象国)による侵略からの防衛・抑止のために、また、日本国外に派兵して国際貢献もできるようにするために軍の保持を明記して合憲にすべきと主張している。改憲に積極的に反対している層は、新しい人権に関しては現行憲法の人権規定で対応可能であり、改正は不要だとしている。積極的賛成ではないが容認する中間層は、新しい人権を追加する改憲に賛成である。また北朝鮮や中国の脅威などから自衛隊から軍への昇格にもあまり反対しない状況が生じている。[要出典]
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