録音と映像
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レコードの発明はオペラの世界にも変革をもたらした。当初は録音時間の制約が大きかったため、代表的なアリアや序曲が独立して録音、発売されることが多く、エンリコ・カルーソーなどは20世紀初頭に一世を風靡した歌手である。一方では数枚組のセット用に全曲をスタジオ録音する試みも始まっており、1907年の「こうもり」と「道化師」が世界初のオペラ全曲録音といわれる。このころは録音環境の問題からオーケストラなどは極度に人数省略されていたが、そうした状況は徐々に改善。やがて劇場公演の実況録音なども開始されたが、やはり音質のいいスタジオセッションのほうが長らく主流を占め、優れた録音効果などによって「耳で聞くオペラ」という鑑賞ジャンルを打ち立てることになる。1950年代後半からはステレオ化したスタジオ録音に対し、実況は部分的には1970年代にまでモノラル録音が残っており、ノイズ処理や解像度の点で大きく立ち遅れていた。ただし、これは制作会社や環境のばらつきが非常に大きく、スタジオでもモノラルが主流だった1955年にバイロイト音楽祭『ニーベルングの指環』の実況がデッカ・レコードによってステレオ録音で試みられており、21世紀になって日の目を浴びて大きな反響を呼んだ。1980年代ごろから実況録音の音質が向上すると、スタジオセッションは次第に減少し始め、映像ソフトの普及にともなってさらに激減、21世紀に入ると滅多に行われなくなってしまった。映像へのシフトは実況録音盤も減少させ、一時は年間100点前後に及んでいたオペラ全曲録音盤の国内新譜は、2010年代においては年に数点という有様である。 映像におけるオペラは、まず劇場用映画として登場。プレスコで収録された音声にあわせて、歌手(または別人の俳優)の口パク演技を撮影する方式で、このやり方は今日までオペラ映画として存続している(ただし、70年前後からは劇場上映よりもテレビ用途で制作されることのほうが多い)。舞台の枠組みにとらわれず、自由に野外ロケや特殊撮影などを織り込めるのが特長である。音質、画質の面でも(特に70年代あたりまでは圧倒的に)有利である。公演に映画カメラを持ち込んでの実況収録も1950年代から始まっているが、当初は撮影時の機械音やズームレンズの未発達、フィルムの感度が悪い、などの問題があり、たとえば1960年制作の「ばらの騎士」(カラヤン指揮)などでは、音声のみ実況で収録、映像は終演後に無人の劇場で口パクで撮り直すことによって照明やカメラ位置の自由を確保するという擬似実況方式(前後の拍手やカーテンコールは実況映像)を採用している。今日ではカメラの性能が向上したためこの方式は見られなくなったが、一部分のみ映像を撮り直したり、ゲネプロ収録と組み合わせたり(全部がゲネプロという場合もある)するケースはある。また、ゲネプロ収録およびプレスコの併用だが舞台のフレームを一切画面に写さないため、実質的に映画となっているケース(カラヤン指揮の「カルメン」など)も存在する。1980年代ごろからの実況映像はビデオカメラに、1990年代からはさらにハイビジョン方式に切り替わっていった。現在では映画カメラ(フィルム)によるライブ撮影はほとんど見られない。 テレビ、ビデオ再生装置の普及と映像技術の進歩はオペラの映像収録を飛躍的に増加させた。今日ではかつてのレコード、CD全曲盤に変わってビデオディスクがオペラのパッケージとして主流を占めている。
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録音と映像
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メアリー・ガーデンは、1903年から1929年にかけて、グラモフォン&タイプライター社やコロムビア・レコード、ビクター社のために録音を残した。その音源は再発を重ねて、歴史的なオペラ音源の愛好家の興味の的となってきたが、ガーデン本人は録音スタジオでの活動の結果にたいてい失望してばかりであったという。中でも最も興味深いのは、1904年にパリでクロード・ドビュッシーの伴奏で作成した録音である。放送音源からも少数ながら音盤が作成されている。 ガーデンが出演した2つのサミュエル・ゴールドウィン製作の無声映画のうち、1917年に制作されたのが『舞妓タイース』であり、1918年に製作されたのが第一次世界大戦を舞台とした恋愛映画『誉の犠牲』であった。ガーデンの声がなかったために、演技は酷評され、どちらの映画も成功しなかった。
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