無声映画とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 無声映画の意味・解説 

むせい‐えいが〔‐エイグワ〕【無声映画】

読み方:むせいえいが

音声音響伴わない画像だけの映画サイレント映画。⇔発声映画


無声映画

作者チャールズ・バクスター

収載図書見知らぬ
出版社早川書房
刊行年月1994.3
シリーズ名Hayakawa Novels


サイレント映画

(無声映画 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/15 08:41 UTC 版)

サイレント映画の動画

サイレント映画(サイレントえいが)は、音声音響、特に俳優の語るセリフが入っていない映画のことである[1]

概要

無声映画(むせいえいが、無聲映畫)とも呼び、対概念はトーキー(発声映画)である[1]。サイレント映画のフィルムには音声トラックが存在しないが、トーキーフィルム登場後に音声トラックに劇伴を収録したサイレント映画を「サウンド版[2]、さらに日本では活動弁士による解説も収録したサウンド版を「解説版」と呼ぶ。このように、映画はもともとサイレントであったので、サイレント映画という呼称はレトロニムである。

19世紀後期の映画の発明以降の約40年間、1927年(昭和2年)に世界初のトーキー『ジャズ・シンガー』が発表・実用化されるまで、商業的に世界各国で製作・公開されていた映画は殆どがサイレント映画であった。サイレント期の劇映画は、パントマイム演技とカットタイトルの字幕によるセリフ・ト書きで表現する芸術であったが、日本では、各常設活動館(現在の映画館)に常駐した活動弁士による生の解説に負うところが大きかった[3][4]

日本では、1930年代前半(昭和初期)にトーキーに移行し始めたが、剣戟映画を中心に1938年(昭和13年)まではサウンド版を含めたサイレント映画が製作・公開されていた[5]。 また、トーキー・サウンド版定着初期はトーキー・サウンド版作品を上映できる設備がまだ整っていない映画館も多く、その映画館向けにトーキー・サウンド版作品を無声映画仕様に編集して上映していた。

歴史

ギネス世界記録が認定した世界初の映画『ラウンドヘイ・ガーデン・シーン』(1888年)の1カット。
巨大なセットが組まれた『イントレランス』(1916年)。

世界最初の映画は、1888年(明治21年)にルイ・ル・プランスが生み出した。オークウッド・グランジ庭園を歩き回る人々を撮影した上映時間2秒の作品で、タイトルは『ラウンドヘイ・ガーデン・シーン(ラウンドヘイの庭の場面)』(Roundhay Garden Scene)である[6][7]。モーション・ピクチャー(活動写真)の芸術・技術は、「サイレント期」と呼ばれる時代に全面的に成熟し、その後1920年代末に、発声映画(トーキー)にとって替わった。多くの映画学者らは、新しく到来した「トーキー」に監督や俳優、スタッフたちが適応するまでの数年間、映画の美的クォリティは減少したと指摘している[8]

サイレント映画の映像美、とりわけ1920年代に製作された作品のクォリティは極めて高度である[9]。しかしながら、一般には、原始的なものであり現代人の鑑賞に堪える代物ではないとの誤解が広く存在する。誤った速度で映写されるなどの技術的エラー(サイレント映画標準の16fpsで撮影[注 1]されているにもかかわらず24fpsで映写される等)や、オリジナルプリントの消失による質の低いデューププリントやフィルム断片しか現存していないなどの保存状態の悪さに由来する誤解である[8]

1927年(昭和2年)に世界初の長編商業トーキーとされる『ジャズ・シンガー』が出現するまでは、ほとんどがサイレント映画であった。音声がないという制約から様々な映画的テクニックが開発され、それは現代の映画にも引き継がれている。登場人物のせりふは字幕を挿入することで表現したが、俳優の演技は大袈裟なものにならざるを得なかった。

上映に際してはオーケストラバンドによる音楽伴奏が付くことが多かった。日本では、上映中の映画の進行に合わせて、その内容を解説する活動弁士(活弁士)が活躍し、徳川夢声のような人気弁士も現れた。

トーキーが実用化されてからは、サイレント映画に音楽のサウンドトラックを付加したものが上映され、これをサウンド版という。トーキー以後の時代にも、サイレント映画(多くは厳密にはサウンド版)として製作された作品も存在する。ジャック・タチメル・ブルックスアキ・カウリスマキらが、「その後のサイレント映画」を監督した映画作家である。

おもなサイレント映画

外国映画

日本映画

トーキー以降

おもな監督

Category:サイレント映画の監督

海外の監督

日本人監督

おもな製作者

おもな俳優

Category:サイレント映画の俳優

海外俳優

日本人俳優

脚注

注釈

  1. ^ 18fpsの場合もある。

出典

  1. ^ a b 無声映画デジタル大辞泉小学館コトバンク、2010年2月4日閲覧。
  2. ^ サウンド版、デジタル大辞泉、小学館、コトバンク、2010年2月4日閲覧。
  3. ^ 活弁」『デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典、百科事典マイペディア、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』https://kotobank.jp/word/%E6%B4%BB%E5%BC%81コトバンクより2024年6月6日閲覧 
  4. ^ 活弁士朝日新聞 2007年10月23日 夕刊2社会面「キーワード」、コトバンク、2010年2月4日閲覧。
  5. ^ 例 : 大前田英五郎(1938年)、日本映画データベース、2010年2月4日閲覧。
  6. ^ 寂々兵 (2021年4月20日). “【11月第2木曜はギネスの日】さまざまな世界一を記録したギネス認定映画特集!”. FILMAGA フィルマガ (Filmarks フィルマークス). https://filmaga.filmarks.com/articles/369/ 2024年6月6日閲覧。 
  7. ^ Guinness Book of Records, all editions.
  8. ^ a b Film History of the 1920s, Part 1. (英語)、2009年5月6日閲覧。
  9. ^ 柏倉昌美 / 登川直樹「サイレント映画」『改訂新版 世界大百科事典 / 日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88%E6%98%A0%E7%94%BBコトバンクより2024年6月6日閲覧 

関連項目

外部リンク


「無声映画」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「無声映画」の関連用語

無声映画のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



無声映画のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサイレント映画 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS