と‐がき【ト書(き)】
ト書き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 02:17 UTC 版)
「ト書き」の言葉の由来は歌舞伎の台本の「…と立ち上がりながら」などの「と」から来ている。文体は「…であった」などの過去形ではなく「…である」などの現在進行形で書くのが一般的。 脚本 登場人物の動作や、照明、演出の大まかな指示を記述する。目に見える具体的な動作を書くことが必須とされており、人物の心理描写や抽象的な表現を書くことは通常は行われない。また、必要ならば映像効果を指定する。最終的には監督、演出家の采配に委ねるが、これは台詞で人物の性格を浮き彫りにすると同様、映像描写に関わることは脚本家の仕事である。また、男女の絡み、いわゆる濡れ場やアクションなどはストーリーの流れだけ書き、具体的なことは書かない。この長さで全体の尺の長さが左右されることが多く、アクションは特に殺陣師の領域になるため。 戯曲 舞台上に何があるか。役者は板付きか。上手、下手どちらから出るかが中心になる。舞台装置との絡みがあればそれも書くが、重要でなければ書かない。台詞よりも映像、作画で見せる脚本または漫画原作とはここが大きく違う。台詞だけでストーリーが分かり、役者、演出家が自由に表現できる「遊び」がある。様式が決まっている歌舞伎台本と戯曲とは、今日では大きな隔たりがある。 漫画原作 美術、小道具、衣装などのスタッフがいないためト書きの他、必要ならば設定書を作成し全て書く(主人公はタバコを吸うか。吸うなら銘柄は何か。マッチかライターか。ライターなら〜など)。時代や年代が大きく分かれる場合は、そのストーリーの年表も作成する。また原作を書く上で収集した資料など、作画にも必要なものは揃える場合もある。濡れ場、アクション・シーンもできるだけ具体的に、なおかつ荒唐無稽に作りこむ。ストーリーの構成も起承転結ではなく、「起承転」までで、引きを作る。これは連載でも読み切りでも同じだが、ストーリーの内容によってはラスト・シーンに作画を見せる余韻を作る。1ページの大ゴマや見開きなどの指定も要求される場合もある。梶原一騎は少年小説出身なので、原作は小説式で書いていた。
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