都市攻撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:39 UTC 版)
「セベロドネツクの戦い (2022年)」の記事における「都市攻撃」の解説
5月27日、ロシアはまだ都市を包囲していないにも関わらず、セベロドネツクへの直接の地上攻撃を開始した。チェチェンのカディロフツィは、市の北部にあるMir Hotelを占領した。一方、他のロシア軍と分離主義勢力は、都市部でポケットを形成する試みを続け、北(ルビージュネ近く)と南西(ウスティニフカとボリスフスケ)から攻撃した。さらに西の方では、ロシアはセベロドネツク-リシチャンスクへのウクライナの補給ラインを混乱させるため、リマンやシヴェルシクなどの多くの地域で徐々に前進し続けていた。 翌日、ロシアはゼベロドネツクで限定的な進展を遂げた。戦争研究所(ISW)は、この時点でこの戦いがすでにロシア軍にとって非常に費用がかかることを証明しており、彼らの攻撃能力を使い果たす可能性があると主張した。ロシアとウクライナの両方が多大な損失を被っていたが、親露派の分遣隊の被害を置き換えることはより困難であった。 ロシア軍は包囲された都市に通じる最後のルートへの攻撃を開始し、一時的に占拠したが、ウクライナ軍はその直後にロシア軍を撃退したと主張した。5月29日までに、ロシア軍はウクライナ兵との接近戦を行い、戦闘は「都市の真っ只中」で行われたと報じられた。 5月31日の朝までに、ロシア軍は都市の3分の1から2分の1を制圧した。ロシア軍は都市を押し進み二つに分割した。その日の後半、ウクライナはセベロドネツクの70~80%がロシア軍支配下にあることを認め、周辺の集落の大半が同様に支配されていることも認めた。ルハーンシク州知事のセルヒイ・ハイダイは「一部のウクライナ軍部隊がより有利な事前に準備された陣地に向けて撤退した」と述べた。 6月1日、ウクライナによるとアゾト化学工場にロシアの砲撃が直撃し、硝酸タンクが吹き飛び、人々が屋内に留まることを余儀なくされたという。翌日、アゾト工場の地下の防空壕に民間人約800人が避難していると明らかにした。セルヒイ・ハイダイはロシア軍は市中心部に到達したと述べた。ウクライナはロシア兵6人を捕虜にし、200人を殺害したと主張した。英国防省によると、2022年6月2日時点で、ロシアはセベロドネツクの大半を制圧しているという。翌日、ウクライナは反撃を行い、ロシア軍に制圧された市域の20%を奪還した。ジョージア人とポルトガル人の男性を含む少なくとも12人のウクライナ領土防衛部隊多国籍軍団のメンバーが市内で戦っていた。ロイターによると、セベロドネツク近郊で同社のジャーナリスト二名が負傷し、彼らのドライバーは殺害されたという。セルヒイ・ハイダイはウクライナ軍はロシアの数多くの攻撃を撃退し、装備を破壊したと主張した。彼はまた、ロシアは「彼らの予備役全てをセベロドネツクに投入している」とし、「市内に食料と医薬品を配達するのは不可能」だと主張した。ハイダイはまた、ロシアがウクライナの増援の到着と援助の配送を防ぐためにドネツ川に架かる橋を爆破したと主張した。 セルヒイ・ハイダイはロシアの将軍アレクサンドル・ドヴォルニコフが6月10日までにセベロドネツクを完全制圧するか、リシチャンシク - バフムートハイウェイを完全遮断し、同ハイウェイを支配下に置く任務を受けたと主張した。英国防省はロシアはシリアの時と同様の戦術を用いており、ロシア軍の犠牲者を減らすことを目的として、ルガンスク人民共和国の兵士などの自軍の兵士以外の部隊を使っているとし、それらの兵士はロシア兵ほど訓練も装備もされていないと述べた。 6月5日、ドネツク人民兵第1軍団司令官(前ロシア陸軍 第29諸兵科連合軍参謀長)のロマン・クトゥーゾフ少将が戦死。クトゥーゾフはロシア軍の軍人であるが、セベロドネツクの戦い開戦後からドネツク人民軍第1軍団を指揮していた。 6月6日、セルヒイ・ハイダイはウクライナの状況について、「我々の防衛者は暫くの間、反撃に成功し、都市のほぼ半分を解放した。しかしながら、現在の状況は再び我々にとって悪くなっている」と説明した。彼はリシチャンシク-セベロドネツク間の道路について、「ロシア軍はこの道路を支配していないが、道路全体が砲撃をうけている。ロシア軍は大量の予備役を集めているので、彼らがこの道路を制圧するのに十分な戦力を持つようになるかは時がたてばわかるだろう」と述べた。ロシア軍は数と装備の点で「単純にとてつもない」と述べた。ハイダイはロシア軍は「スタンダードな焦土戦術」を実行していると主張した。ウクライナ軍情報部のトップ、Kyrylo Budanov少将は大砲で敵に10倍のアドバンテージがあるにも関わらず、ウクライナ軍は徐々に進軍していると主張した。ロシアはウクライナ軍が撤退していると主張した。 同日、ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーはセベロドネツクから南に数キロにあるリシチャンシクを訪問した。ゼレンスキーは「我々は持ちこたえている」とし、「セベロドネツクにロシア軍はもっとおり、彼らはより強い」と語りつつも、「我々の英雄達はセベロドネツク内の拠点を放棄したりはしない。市内では激しい市街戦が続いている」と述べた。6月8日、ウクライナ軍参謀本部はロシアの攻撃を「抑えた」と発表した。しかしながら、BBCによると、軍事アナリストは「どちらの軍がどの地域を制圧しているかを知るのは困難だ」という。 6月8日、セルヒイ・ハイダイは「誰もセベロドネツクをあきらめていない。市内が絶えず砲撃されているため、たとえ我が軍がより強化された陣地へと引かなければならなくなったとしても、それでもセベロドネツクを放棄したという意味にはならない」と語った。ロシアは「ドンバスのウクライナグループは人員、武器、軍装備に重大な損失を被っている」と発表した。英国防省は「この24時間でどちらかが大きく前進したとは考えにくい」と分析した。その日の午後、セルヒイ・ハイダイはウクライナ軍が都市郊外に押し戻されたことを認めた。ロシア軍の激しい砲撃のためだという。 アゾット化学工場の所有者Dmytro Firtashの弁護士は、工場に民間人800人が残っており、その内200人は従業員だと明らかにした。セルヒイ・ハイダイはウクライナ軍は市内に取り残された民間人の救助は行えないと述べた。 6月9日、セルヒイ・ハイダイはセベロドネツクの90%以上が「一時的に」ロシアの支配下にあると語った。 スヴォボタ国家親衛隊大隊指揮官のPetro Kusykは、ウクライナ軍は砲撃を無効化するためにロシア軍を市街戦へと引き込んでいると述べ、さらに「昨日は我々にとって成功した。我々は反攻を開始し、一部地域でロシア軍を1、2ブロック押し戻すことに成功した。他の地域ではロシア軍に押し戻されたが、1、2棟分だけであり、昨日は占領者は甚大な被害を被った。もし毎日が昨日の様ならば、これはすぐに終わるだろう」と述べた。 彼はまた、大砲と医薬品が足りないことに不満をあらわにしており、「それらのシステムがなくても我々は元気に持ちこたえている。我々の陣地を保持せよとの命令があり、我々はそれらを守っている。兵士の命を救うための適切な器具無しで軍医が(治療を)行っているということは信じ難い」と語った。
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