避難活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 03:02 UTC 版)
「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の記事における「避難活動」の解説
以下、避難準備・避難勧告・避難指示発令状況と、参考として安佐南区八木小学校避難所運営状況を示す。避難指示の数は避難勧告の中に含まれているため括弧表記。上記#避難勧告も参照。八木小避難者数は、八木小学区自治防災会が公表する数字を中心として県の資料で補う形で記載している。 避難情報 日時対象対象数安佐南区八木小-世帯人数8月20日04時10分 - - 八木自主防災会に避難場所開設依頼 8月20日04時15分 安佐北区大林・可部・亀山の一部・可部南・三入・三入東に避難勧告 16,0610 36,3370 - 8月20日04時30分 安佐南区梅林・緑井・八木・山本に避難勧告 17,5570 42,2990 - 8月20日04時35分頃 - - 八木自主防災会役員が八木小体育館を開放し避難所開設 8月20日05時15分 安佐北区井原・志屋・落合・落合東・亀崎・口田・口田東・倉掛・深川・真亀・三入(南原)に避難勧告 25,7170 61,8010 - 8月20日06時頃 - - 広島市職員到着のち八木小関係者到着 8月20日07時 - - 避難者0人、こののちに避難者到着八木小関係者が中心となって運営 8月20日07時08分 安芸高田市八千代町(地区名不明)に避難勧告 10 30 - 8月20日07時58分 安佐南区八木四丁目42-43、48-50番街区に避難指示 (52) (113) - 8月20日08時00分 安佐南区伴・伴東に避難勧告 5,5220 13,9770 - 8月20日08時00分 安佐南区長束西に避難勧告 7030 1,9520 - 8月20日08時20分 安佐北区亀山・亀山南に避難勧告 3,2530 7,7420 - 8月20日11時40分 安芸高田市八千代町(地区名不明)の避難勧告解除 - 8月20日21時 - - 避難者113人 8月21日07時 - - 避難者131人 8月21日21時 - - 避難者160人 8月21日21時15分 安佐南区緑井七丁目17・20-27・32-33番街区に避難指示 (314) (799) - 8月22日07時 - - 避難者223人 8月22日08時10分 安佐北区可部東二丁目・可部東六丁目・可部町大字桐原・三入四丁目に避難指示 (1,408) (3,474) - 8月22日08時22分 安芸高田市全域に避難準備 13,1880 30,1690 - 8月22日11時30分 安佐南区八木町渡場地区に避難指示 (17) (40) - 8月22日15時55分 安佐南区八木三丁目37-40番街区に避難指示 (84) (201) - 8月22日21時 - - 避難者283人(ピーク) 8月23日08時00分 安芸高田市、避難準備全解除 - 8月23日21時 - - 避難者227人、この日から市と自主防災会が中心となって運営 8月24日07時 - - 避難者203人 8月25日07時 - - 避難者192人 8月26日07時 - - 避難者190人 8月27日07時 - - 避難者158人 8月28日07時 - - 避難者121人 8月29日07時 - - 避難者106人 8月30日07時 - - 避難者86人 8月31日07時 - - 避難者68人 8月31日08時00分 安佐北区避難指示・避難勧告全解除 - 8月31日16時30分 安佐南区長束・伴・山本の避難勧告解除 - 9月01日07時 - - 避難者53人 9月02日07時 - - 避難者49人 9月02日11時30分 安佐南区八木・緑井に出された避難指示全解除、避難勧告に切替 - 9月09日16時00分 安佐南区緑井八丁目25番街区の避難勧告解除 - 9月12日07時 - - 避難者29人この日から市だけで運営 9月19日15時00分 安佐南区八木六丁目19番街区の避難勧告解除 - 9月19日22時 - - 避難者9人(県発表) 9月25日15時00分 安佐南区八木八丁目9-10番街区の避難勧告解除 - 10月01日15時00分 安佐南区緑井八丁目19-20番街区・八木三丁目15-16・25-26・40-41番街区の避難勧告解除 - 10月07日15時00分 安佐南区緑井七丁目27・32-33番街区・緑井八丁目7-9・28-32・34・36番街区・八木三丁目45-51番街区・八木四丁目42-43・48-50番街区・八木八丁目3番街区の避難勧告解除 - 10月17日15時00分 安佐南区緑井七丁目24-26番街区・緑井八丁目14-15番街区・八木三丁目6-7・10-13・29-36番街区・八木四丁目44-47・51番街区の避難勧告解除 - 11月01日 - - 避難者全退所に伴い避難所閉鎖 11月20日17時00分 安佐南区八木八丁目31-32番街区の避難勧告解除。広島市内の避難勧告は全て解除された。 - ピーク時である8月22日18時現在での避難所別避難数-世帯数人数安佐南区佐東公民館 155 530 梅林小学校 270 600 八木小学校 120 283 緑井小学校 45 118 山本集会所 4 10 山本小学校 6 25 長束小学校 32 80 安佐北区可部南小学校 8 22 可部高校 14 39 可部小学校 46 108 三入小学校 55 165 三入東小学校 112 280 大林小学校 18 41 口田東小学校 1 3 真亀小学校 1 1 亀山南小学校 17 49 計904 2,354 避難所として使われていた梅林小学校(10月9日に閉鎖) 遅れた避難勧告のあとにも問題が出ている。この災害で避難勧告が出された際に、サイレンを鳴らさなかった、FAXの送信設定、防災メールを活用していなかったなど、市から住民への情報伝達方法に不手際があった。避難勧告が出された時点で道路が冠水していたため、二次災害を懸念し自治会役員達の判断で住民への電話連絡を見送ったケースもある。また避難勧告と同時に避難所が開設できなかったところが多かった。これは自主防災会への連絡がつかなかったり、避難所が被災したため代わりを探していたためである。 福祉避難所については、広島市は要配慮者への避難支援体制づくりに関して先進的な自治体であり福祉施設との協定締結が進んでいたため対応が早く、家族やケアマネ・消防が早急に手配したことから、1次避難所に滞在した要配慮者はほとんどなかった。ただし、1福祉施設のみ避難者が10人を超えたため書類作成のゆとりがないとの判断により2日で福祉避難所を打ち切り、ほかの任意受入施設への移動などに切り替えている。 ペットの状況は、屋内飼育の場合は犬・猫ともに飼い主と同行避難することができた。倒壊した家屋で飼われていた猫がそこから出てこないことが数例あった。屋外飼育の場合は行方不明になったケースが多い。避難所においては、1家族ごとに区切られたスペース内にいた、あるいは一か所に集められたケースなど避難所ごとに対応が異なっている。 避難所利用で問題になったのが学校の利用であり、災害日が夏休み終盤であったため授業再開に向け、さらに長期化が予想されたため生活空間の改善のために2次避難所が検討された。まず9月1日から公共宿泊施設の神田山荘が9月30日まで2次避難所として用いられた。こうした中で9月1日から避難所となっていた小学校のうち梅林小を除いて授業が再開、梅林小の再開はその時点では未定であった。そこでもうひとつの2次避難所として広島共立病院が活用されることになった。当時、共立病院は建て替えをしており、災害日から約10日後にあたる9月1日から新病院で活動することになっていたため、旧病院棟を避難所として用いるよう病院側が市に提案、9月5日から利用が始まった。梅林小に避難していた一部が病院へ移転したことを機に、9月8日から梅林小でも授業が再開した。 右表にピーク時の各避難所人数を示す。避難所は最終的に1次・2次避難所延べ数で30か所(安佐南区11・安佐北区19)、福祉避難所は安佐南区のみに3か所(すべて特養)設けられている。これに福祉施設や民間企業の中には任意で空家を提供したところもある。ほか、民間企業・公共団体の中には物資やサービスの形で被災者に提供したところもある。 避難者の多い避難所には保健師が常駐し、保健師・薬剤師・理学療法士からなる広島県災害時公衆衛生チームが巡回した。さらに広島DPATによる心のケアを行っている。陸上自衛隊による仮設浴場の設置もあった。 8月28日、厚生労働省は広島県にエコノミークラス症候群対策として予防に関するQ&Aを送付している。9月6日・7日安佐南・安佐北区の避難所9か所での巡回診察の中で血栓を調べたところ、24歳から81歳の男女86人のうち8人に見つかった。いずれも安佐南区の避難所の65歳以上で、佐東公民館に2人、梅林小と(梅林小から移ったばかりの)共立病院に3人ずついた。 こうした中で、行政側の避難者発表が実際に滞在していた人数と大きく異なることが明らかになった。9月9日付『中国新聞』では、佐東公民館での9月7日21時現在での公表が267人だったのに対し、同日23時に実測したところ59人、同様に梅林小での公表が242人だったのに対し22人だったことを報道している。これは入所時は名簿記入が求められるが退所時には求められず、実際は別の場所で生活していた人がいたためである。いつでも避難所に戻れるよう一応登録していた人もいた。避難勧告が解除されたあとも天候悪化にともない避難所を離れなかったり、自主避難してきたりする者に対応するため閉鎖した避難所を再開したところもある。 避難勧告が解除されたあとも、住む家がなかなか見つからなかったため退去できなかったり、県営緑丘住宅は県による安全度調査のため12月下旬まで帰れなかったり と、避難所を退去できなかったものもいた。最後まで残った3つは、八木小避難所(11月1日閉鎖)、佐東公民館(11月28日閉鎖)、広島共立病院旧棟避難所(12月25日閉鎖)。
※この「避難活動」の解説は、「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の解説の一部です。
「避難活動」を含む「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の記事については、「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の概要を参照ください。
- 避難活動のページへのリンク