近年の車両
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:46 UTC 版)
一般路線用 いすゞ自動車製、三菱ふそう製の車両が基本的に配属される。2006年11月に上石神井営業所へ投入されたA6-156号車(PJ-LV234L1:エルガ)を皮切りに、東京都内の営業所及び新座営業所にはいすゞ自動車製の車両が、また数は少ないものの埼玉県内の各営業所には三菱ふそう製や日産ディーゼル製の車両が配属された。またメーカー再編や車種の減少などにより、現在ではこの法則は崩れている。 車体は、いすゞ自動車製の車両は純正の「エルガ」である。日産ディーゼル製の車両は長年富士重工業製のボディを選択してきたが、同社がバスボディ生産から撤退したために西日本車体工業製のB型(96MC)ボディを選択。更に日産ディーゼルと三菱ふそうのバス事業提携により、2008年からは三菱ふそうバス製造(MFBM)製のボディを架装する「スペースランナーA」を投入した。三菱ふそう製の車両は「エアロスター」である。日野自動車製のハイブリッドバスはブルーリボンシティハイブリッドであり、いすゞ自動車製と同じくジェイ・バスで製造されている。 いすゞ自動車製のノンステップバスの一部には、「レイアウト変更車」と呼ばれる中扉付近の座席数を減らして混雑時の収容力を上げた車両が在籍しており、国土交通省ノンステップバス標準仕様ではない独自仕様である。これは後に「ラッシュ型」としていすゞ自動車製の路線バスの仕様に追加された。日産ディーゼル・スペースランナーAや三菱ふそう・エアロスターのワンステップバスにも、前中扉間の座席を公式側はホイール上の1席のみとし、その後部は座席を設けず立ち席や車椅子等のスペースとした上で、非公式側は優先席と折り畳み座席(いずれもロングシート)とした車両がある。一方、貸切輸送に兼用できるよう座席数を増やして簡易な貸切装備を設けた「用途外車」も配置されている。この用途外車はワンステップバスとなっている。また、かつては日産ディーゼル製の一般路線用車両において大型長尺車が多数投入されていたが、1999年入籍された車両を最後に大型長尺車の投入は見られていない。中には降車時間短縮を目的とした4枚折戸車や3扉車もあったが、現在では3扉車は全廃となり、前乗り路線の多い東京都内の営業所では4枚折戸を装備するワンステップバスが2016年まで投入されていた。 なお、埼玉県内にある新座営業所にいすゞ自動車製の車両が配置されなかったのは、新座営業所の前身である清瀬営業所(1992年12月24日に廃止・移転)が新座営業所の母体であり、東京都内の営業所と同一扱いで配属車両を決められているからであった。しかし、前述の通り2006年11月に東京都内の営業所である上石神井営業所へいすゞ自動車製の車両が配置されたのち、新座営業所と滝山営業所西原車庫にもいすゞ自動車製の車両が投入された(その後西原車庫からいすゞ車は転出し配置がなくなっている)。 2008年以降に投入された車両では、左折時の警告音が変更となり、車内の吊革も持ち手が丸型から三角型に変更された上で優先席付近のものはオレンジ色とし(三菱ふそう製のボディを架装する車両は全て該当する)、2009年以降に投入された車両では、ホイールの塗装が省略され銀色に変更されている。 2011年以降は、全ての営業所でいすゞ自動車製が一旦投入終了となり、その後は基本的に三菱ふそう製を投入していたが、2013年には上石神井営業所と滝山営業所にいすゞ・エルガハイブリッドが投入されたほか、2015年からは新座営業所などにいすゞ・新型エルガが配置されるようになった。2013年の投入車両から、初期投入分を除いて中扉開閉ランプ付きチャイム装置が採用されるようになった。(2014年製や小型車両など一部例外あり) 2016年度を最後にワンステップバスの導入は行われていない。なお2016年度に登場した三菱ふそう・エアロスターのワンステップ車は、前面の塗り分けが既存車と異なる。2017年度は三菱ふそう製の導入数よりもいすゞ製の導入数が上回り、その後継続していすゞ製のバスの導入数が上回っている。 新車の導入により日産ディーゼル製の車両は数を減らしている。特に西日本車体工業製の車体を架装した車両は急激に数をは減らし、日産ディーゼル・スペースランナーRAは風前の灯火である。用途外車は2013年を最後に以後導入されておらず、経年化による除籍や貸切車両への転用(後述)により数を減らしている。 コミュニティバス用 コミュニティバスは自治体によって車両が異なる。多くは小型車だが、練馬区みどりバス保谷ルート用には日産ディーゼル・スペースランナーRM、三菱ふそう・エアロミディMKといった中型車も在籍し、2021年にはいすゞ・エルガミオが導入された。 かつては日産ディーゼル・RN、日野・リエッセ(CNG車を含む)が主力であったが、最近ではグリーンバスの路線追加の際の車両増備、はなバスやにじバスのクセニッツ車の置き換え、ちょこバスの三菱ふそう・エアロミディMEの置き換え、てぃーろーどのRNの置き換え、きよバスの開設の際などに日野・ポンチョ(2代目)が導入され、ところバスでも2016年に日産ディーゼル・RMを置き換える形で導入されるなど、徐々にポンチョが増えている。2022年1月にはみどりバス大泉ルートの日野・リエッセがポンチョへ置き換えられ始めた。また、はなバスやにじバス、グリーンバスなどは既にポンチョ同士の代替も見られる。 高速路線用 最近はいすゞ自動車製の車両の比率が上がっている。空港路線には4列シートのハイデッカー車、それ以外はスーパーハイデッカー車が使われるが、4列シート車(乗客定員34名)を使う路線・便と3列シート車(同29名)を使う路線・便が存在する。路線バスと同じく日産ディーゼル製の車両は富士重工→西日本車体工業→三菱ふそうバス製造と導入車両のボディメーカーが変遷しており、路線バスに続き2009年から三菱ふそうからOEM供給を受けた「ペースアローA」が導入されている。いすゞ自動車製の車両については2006年より「ガーラ」が導入され、日産ディーゼル(現UDトラックス)がバスの製造・販売を縮小した現在においては西武高速路線バスの中心的な車両となりつつある。なお、いすゞ製の車両については高速路線用にも関わらず、西武ではスーパーハイデッカー車を導入せずハイデッカー車導入となり、後に導入される日産ディーゼル「スペースアローA」でもそれを踏襲している。既存路線の3列シート化を進めるため、2013年ごろから3列シートのガーラを大量導入し、4列シートのスーパーハイデッカー車を順次軽井沢に転属させ、千曲線に充てることを行った。3列シート化が完了したのちは経年化した3列シート車の置換のため継続的に導入されている。近年では路線廃止や減便等で車両が余剰しており、3列シート車を中心に減車が進んでいる。空港連絡バスには2013年より三菱ふそう・エアロエースを導入している。2017年を最後に1度エアロエースの導入をやめたものの、2020年に再び導入を再開した。4列シート車(乗車定員34名)は軽井沢に転属し千曲線で運用していたが、経年化により空港連絡バス向けの新車で押し出された日産ディーゼル・スペースアローやいすゞ・ガーラ、近年は三菱ふそう・エアロエースが転入し置換を行われている。 貸切用 国内4メーカー全ての車両が揃っている。2006年より大型車は日野・セレガ・いすゞ・ガーラを主力車種として導入している。小型車は三菱ふそう製の車両を導入していたが、同社が小型車の生産を終了したためにいすゞ・ガーラミオへ切り替えることとなった。なお、日野・セレガに関してはラインナップされるハイデッカー・スーパーハイデッカー・ショートデッカーの3種類全てが導入されている。かつては日産ディーゼル「スペースウイング3軸車」に回転シートやキッチンなどを装備した特別車両の「ブルーアロー」と呼ばれる車両が在籍していたが現在は廃車され、代わりにガーラベースの「レグルス」が特別車両として在籍している。車両の経年化により最後の日産ディーゼル・スペースアローの貸切車だった1649(PKG-RA274RBN)が2021年に引退したため、日産ディーゼル製の観光タイプの車両は全廃した。近年は貸切免許を保持するため、西原車庫を除く貸切車両が所属していなかった西武バスの各営業所に路線バスタイプの車両が配置され、いずれも4桁の車番で管理されている。これらの車両は同営業所の用途外車やワンステップ車を転用しているが、上石神井営業所と滝山営業所には西武総合企画のスクールバスで使用していたいすゞ・エルガのトップドアツーステップ車が笹カラーに変更されて配置されている。また埼玉の一部営業所ではスクールバスの応援としてこの路線バスタイプの貸切車両を使用したり、西武園競輪や多摩川競艇の送迎バスとして同じ路線バスタイプの車両が使われていた。 特定輸送用 特定輸送(契約輸送)用の車両については全額出資会社である西武総合企画が担当している。一般路線用の車両に則したメーカーの車両を直接新車で投入する場合が多いものの、三菱ふそう・エアロミディMKや日産・シビリアン」、トヨタ・ハイエースコミューターなど西武バス本体では見られないような車種を投入したり、日野・ブルーリボンなど自家用車として稼働していた車両を引き継いだものもある。また、もともと西武バスの一般路線用の車両として活躍していたものを転用したというパターンも見られ、使われている車両は多岐に渡っている。2019年度には日野・ブルーリボンシティハイブリッドが西武バスより移籍した。 いすゞ「エルガ」ノンステップ(A4-997)撮影:大宮駅西口 日産ディーゼル「UA」ワンステップ(A4-20)撮影:曙橋 いすゞ「エルガミオ」ノンステップ(A7-241)撮影:大宮駅西口 日産ディーゼル「スペースランナー」ノンステップ(A7-182)撮影:立川駅 三菱ふそう「エアロスター」ノンステップ(A4-758)撮影:練馬高野台駅
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