貴腐ワインとは? わかりやすく解説

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きふ‐ワイン【貴腐ワイン】

読み方:きふわいん

貴腐ブドウ原料とする高級白ワイン。高い糖度濃厚な香りをもつ。ハンガリートカイフランスソーテルヌなどで造られるものが有名。

[補説] 貴腐ブドウとは、不完全菌類カビ)の一種ボトリチスシネレアがブドウ果皮につき、水分蒸発して糖分などが凝縮されものをいう


貴腐ワイン

貴腐葡萄からつくられる甘味の強いワイン
このワイン日本では貴腐ワイン、ドイツではトロッケンベーレンアウスレーゼ(TrockenBeerenauslese)と呼びますフランスでは、特に貴腐ワインに対す呼び名はありませんが、ボルドーソーテルヌ(Sauternes)地区シャトー・ディケムChateau d'Yquem)で代表的な貴腐ワインをつくってます。歴史的にハンガリートカイ地方古くオーストリアでも貴腐ワインがつくられています。
日本ではサントリー山梨ワイナリー1975昭和50)年に始めて貴腐葡萄収穫し3年後1978年に「サントリーシャトーリオン ノーブル・ドール」、「 同 ノーブル・ダルジャン」が発売されました。
貴腐のおこりやすい品種は、セミヨンリースリングなどの果皮の薄い品種黒葡萄品種では色調悪くなってしまいますが、ドイツでは黒葡萄原料とし、ごくまれに貴腐葡萄からベーレンアウスレーゼやトレッケンベーレンアウスレーゼのロゼワインつくられています。

貴腐

(貴腐ワイン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/28 18:07 UTC 版)

セミヨンの貴腐果。ソーテルヌ地方。

貴腐(きふ)とは、白ワイン用品種ブドウにおいて、果皮がボトリティス・シネレアBotrytis cinerea[* 1])というカビ)(灰色かび病も参照)に感染することによって糖度が高まり、芳香を帯びる現象である。 貴腐化したブドウを「貴腐ブドウ(きふぶどう)」と呼び、それを用いて造られた極甘口のワインが「貴腐ワイン」と称される。これらはフォアグラと伴に、あるいはデザートワイン食前酒として飲まれる。ハンガリーエッセンシアが、全ての原料を貴腐ブドウによるものとして唯一のものである。

「貴腐」とは、貴腐ブドウの腐敗したかに見える外見からは想像しがたい芳香と風味のワインが得られることからそのように呼ばれるものである。ドイツ語ではエーデルフォイレ (Edelfäule) 、ハンガリー語ネメシ ロトゥハダーシュ(nemesrothadás)、フランス語プリテュール ノブル (pourriture noble)と言い、いずれも「高貴なる腐敗」を意味し、日本語の「貴腐」はその直訳である。

貴腐果のでき方

ボトリティス菌は世界中に分布し、果樹野菜類、豆類花卉など様々な植物の重要な病原菌である。この菌による病気は灰色かび病と名づけられているものが多い。ブドウでも、生食用、醸造用ともに重要な病原菌であり、被害も大きい。

ところが、セミヨンリースリングなど白ワイン用品種の成熟した果粒にこの菌が単独感染した場合には好影響をもたらすことがある。感染した菌が果皮のクチクラ層のワックスを溶かすことで果汁中の水分が蒸発し、その結果、外観はカビに包まれている上に干しブドウの様なしなびた状態であるが、内部の果汁は飴色で粘度が高く、糖度もBrix30~60ほどになる。さらに、菌の代謝により、果実は貴腐香と呼ばれる独特の香りを持つようになる。この果実を「貴腐果」「貴腐ブドウ」と呼ぶ。

歴史

トカイ・エッセンシア

1650年頃、ハンガリートカイ地方で、オスマン帝国による侵略の影響でブドウの収穫が遅れたために偶然造られたトカイワインが世界最初の貴腐ワインであるとされる。ドイツでは1775年にシュロス・ヨハネスブルク (en) で収穫許可が遅れたためにブドウが貴腐化し、偶然できあがった貴腐ワインが有名である。

ルイ14世は贈られたトカイ産貴腐ワインを「ワインの王にして王のワイン」と絶賛したと伝えられている。1779年には、オーストリアマリア・テレジア女王(マリー・アントワネットの母)が、黄金色に輝く貴腐ワインに金が含まれているのではないかと思いウィーン大学で分析させたとの逸話も残っている。

日本でもサントリー山梨県の自社ワイナリー1975年に貴腐ワインの生産に成功して以降、長野県北海道などでも貴腐ワインが造られている。

脚注

注釈

  1. ^ Botrytis cinerea は不完全世代の学名で、子嚢菌門チャワンタケ亜門Pezizomycotinaに属する糸状菌で、その完全世代はBotryotinia fuckeliana である[1]

出典

  1. ^ 柘植 (2004)、pp.189-199

参考文献

関連項目


貴腐ワイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 01:55 UTC 版)

ワイン」の記事における「貴腐ワイン」の解説

貴腐ワインは、ボトリティス・シネレアというカビ一種貴腐菌呼ばれることもある)がついたブドウから作ったワインのことを指す。貴腐菌により果皮に無数の穴が開き、そこから余分な水分蒸発して糖度上がり、非常に甘いワインとなる。またによる代謝を受けるため組成分変化し貴腐香と呼ばれる独特の香りを持つ。食後酒デザートワインとして珍重されるフランスソーテルヌハンガリートカイが特に有名である。オーストリアの「ノイジードラーゼー」や、ドイツの「ベーレンアウスレーゼ」「トロッケンベーレンアウスレーゼ」も貴腐ワインとなる。

※この「貴腐ワイン」の解説は、「ワイン」の解説の一部です。
「貴腐ワイン」を含む「ワイン」の記事については、「ワイン」の概要を参照ください。

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