諸外国籍者の受給問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:08 UTC 版)
「生活保護問題」の記事における「諸外国籍者の受給問題」の解説
2010年、大阪府大阪市西区に住む中国・福建省出身の姉妹の親族とされる中国人53人が日本への入国直後、大阪市に生活保護の受給を申請した問題が発覚した。法務省大阪入国管理局は大阪市に対し在留資格の再調査を行うよう指示した。大阪入管の調査で、入国してから3か月以内に生活保護を申請した中国人のうち8名が、申請書の職業欄に「生活保護」「無職」、扶養者のところに「区役所」と書いていたことが発覚した。 詳細は「生活保護の不正受給」を参照 2013年2月18日、群馬県大泉町でフィリピン人母が子どもたちを残して帰国中、3歳児が死亡したのを中学2年生の姉が通報した。胃に内容物がほとんどなく餓死の疑い。世帯は前年9月から生活保護を受給中であったが、母は帰国をケースワーカーに報告せず、子どもも母の不在を周囲に告げなかった。この長女は保護責任者遺棄致死の非行内容で前橋家庭裁判所に送致された。女児はフィリピン人母とインド人の父の間に生まれた子どもで、フィリピン国籍だった。 外国人が子どもを持って日本人と離婚、または日本人から認知を受けて出産した場合には、その子どもは日本国籍を持ち生活保護受給権があるが、その家庭に新たに外国人同士の子供が生まれ日本国籍を持たない場合では、その子は生活保護の外国人への法の準用を受ける に過ぎず、国籍が違えば兄弟間でも生活保護の法的根拠の違いが発生する。 国際結婚・恋愛の破綻により外国人母子世帯は全国で7千世帯(2010年)となっているが、その4割をフィリピン人が占めている。外国人は震災や自己都合で帰国するが、携帯電話は国際ローミング契約をすれば、海外で使用できるうえ、保護費が口座入金の場合には国際キャッシュカードまたはVISA/JCBデビットカードであれば引き出しが海外でも可能なため、不在が見過ごされがちで福祉事務所では出国の事実を把握しきれていない。世帯の帰国が長期に渡る場合は、不正受給となる。 2011年3月には東日本大震災による福島第一原子力発電所事故を受け、政府の指示を超えて自主避難が広がる中、生活保護を受ける外国人が日本人との間に生まれた子供を置き去りにして帰国するケースが相次いだ。関東地方の市の福祉事務所では中国籍の40代の母は「祖父が危篤で帰国する」と電話をしてきたが、自宅に残された高校2年と中学2年の子供に担当者が事情を聞くと、母は「原発が怖い」と中国へ帰ったという。このような帰国は少なくとも東日本の84福祉事務所で64件にのぼり、中国、韓国、フィリピン、タイ人などで、中国人が最も多かった。永住資格などを取得後に日本人男性と離婚した母子家庭や単身女性がほとんどを占め、子供と帰国した人が多い一方、友人の中国人や日本人へ預けて帰国したり、子供を置き去りにしたネグレクトも少なくないという。申告者はみな一様に「祖父母が危篤で」と言って帰国し、黙って帰国する方が多く実態がつかめないと福祉事務所の担当者は語っている。 外国人の受給者が海外に資産を持っていても調査に限界があり、2013年1月には約4100万円の資金を隠して不正受給したとして大阪府警に逮捕された中国人夫婦が「中国に持っていたマンションを売却して金を得ていた」と供述した事件も起こっている。神奈川県大和市では2013年3月、ベトナム人母子家庭が収入の有る同国人と同居し申告せず、不正受給をした事件もあった。 2013年5月には東京都新宿区歌舞伎町の韓国人クラブの経営で、少なくとも1億2700万円の売り上げがありながら無収入を装い生活保護を受給していたとして、警視庁は詐欺の疑いで、クラブ経営で韓国籍の女性(54)を逮捕した。 東京都足立区では、2014年2月に韓国籍の女性による1億を超える不正受給が発覚しているが、足立区は2013年9月から、公式サイトで「昨年度足立区において、不正受給と認められた額から返還額を除いた未収入額は、263世帯、1億6,700万円余という莫大な金額に上ります。」「不正受給が後を絶ちません」と訴え、また就労実態把握については「国からの通知により、日没以後の受給者宅への訪問は原則行わないよう規定されていることもあり、許される範囲で就労事実を把握する困難さも指摘されています。」と、その困難さを述べている。 2013年11月には東京都昭島市で、韓国籍の男性(66)と内縁の妻(61)が実際の所得よりも低い額が書かれた給与明細書を提出し、生活保護費を約578万円を市からだまし取った疑いで逮捕された。「月に5万円をパチンコに使うなどして金がなくなり、生活資金に充てていた」などと供述していた。 フィリピン人夫婦の夫が港湾作業員として働いて収入分を不正受給し逮捕された神奈川県横浜市の事例、日本人配偶者のフィリピン人妻が清掃やスナック勤めをした分を不正受給して逮捕された東京都の事例もある。
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