ケースワーカーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 労働 > 就労 > ワーカー > ケースワーカーの意味・解説 

ケースワーカー

英語:caseworker

ケースワーカーとは

ケースワーカー(英: caseworker )とは、精神心身社会的に問題抱える人の相談援助業務につく専門職のことである。英語の caseworker は、名詞 casework社会援助必要な人を、ケースに応じて問題解決のために援助すること)に接尾辞er(~する人)が付いた名詞である。

ケースワーカーは、アメリカなどでは1つ専門職として扱われるが、日本では社会福祉主事児童福祉司などの福祉関連仕事に就く者が、後述する業務を行う場合にケースワーカーと呼ぶ。ケースワーカーになるには社会福祉主事任用資格取得と、地方公務員試験合格する必要がある社会福祉主事任用資格取得するには、次の5つの手段が挙げられる



日本におけるケースワーカーの業務は、「社会福祉六法児童福祉法生活保護法老人福祉法身体障害者福祉法知的障害者福祉法母子及び寡婦福祉法)」に基づいて支援を必要とする人の援護更生育成などを行うことである。ケースワーカーは、初期面接問題点整理する面接相談員」と、各家庭訪問し、生活の保障状況調査を行う「地区担当員」に分かれている。日本のケースワーカーは、各自治体福祉事務所地方公務員として勤務することが多い。その他、老人福祉施設養護施設児童相談所などで勤務する場合もある。

ちなみにソーシャルワーカーは、広義では社会福祉事業携わる全般(ケースワーカーもその一部)を指し狭義では社会福祉士資格有して相談援助業務を行う人を指す。

ケースワーカー【caseworker】


ケースワーカー

読み方:ケースワーカー

概要解説 地域福祉サービスを必要としている人の相談乗り保育所などの福祉施設入所生活保護を必要とする人への適用手続きをするのが、ケースワーカーの主な仕事で、市町村役所福祉課や、児童相談所保健所病院福祉施設などで働いてます。各地方自治体福祉事務所社会福祉士として勤務する公務員のことをケースワーカーと呼びます。この仕事に就くには、大学短大専門学校などで社会福祉系の専門コース履修し社会福祉主事任用資格取得(これらの学校で、卒業と同時取得できる)した後、地方公務員試験受験します必要な能力資格など 関連する職業

ケースワーク

(ケースワーカー から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 16:47 UTC 版)

ケースワーク英語: casework)とは、困難な課題、問題をもった対象者(クライエント)が自立して生活できるように支援、援助していく個人家族といった個別に対するソーシャルワーク(社会福祉援助技術)のことである。元来は英語で、日本語では個別援助技術(こべつえんじょぎじゅつ)と翻訳され、専門書でも実際にそのように表記されるが、指導・ディスカッション等の福祉における現場では「ケースワーク」の呼称の方が一般化している。

歴史

ケースワークの起源は、19世紀後半のイギリスに求められる。英国での慈善組織協会が貧困に苦しむ人々に対して友愛訪問員を送り慈善事業を展開したが、その際の訪問員に対する訓練を通じて次第に専門的な技法として確立されていった。

1920年代以降はアメリカで発達。アメリカCOS指導者で、自身も友愛訪問員でもあったメアリー・リッチモンドなどによってケースワークの理論化、体系化がなされていった。

技術上の作法

実践主体をケースワーカー(もしくはワーカー)、対象者をクライエントと呼ぶ。

ケースワークは、クライエントの生活における諸問題(生活困難、問題解決、社会生活に関するニーズの充足)について、様々なアプローチをもって改善を行う。

バイステックの7原則

ケースワークの原則として「バイステックの7原則」がある。バイステックの7原則とは、アメリカのケースワーカーで社会福祉学者のフェリックス・バイステック(英語版)が1957年に著書『ケースワークの原則』で記したケースワークの原則である。バイステックの7原則は、現在においてケースワークの基本的な作法として認識されている。バイステックの7原則とは、以下の7つのことである。

  1. 個別化 (individualization)
    クライエントの抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても、人それぞれの問題であり「同じ問題(ケース)は存在しない」とする考え方。この原則においてクライエントのラベリング(いわゆる人格や環境の決めつけ)やカテゴライズ(同様の問題をまとめ分類してしまい、同様の解決手法を執ろうとする事)は厳禁となる。
  2. 受容 (acceptance)
    クライエントの考えは、そのクライエントの人生経験や必死の思考から来るものであり、クライエント自身の個性であるため「決して頭から否定せず、どうしてそういう考え方になるかを理解する」という考え方。この原則によってワーカーによるクライエントへの直接的命令や行動感情の否定が禁じられる。ただし、この受容の原則を理解する際には注意が必要である。バイステックは、人を受け入れることと道徳や社会のルールに反する行為を受け入れることは違うとし、あくまで「ケースワーカーが受けとめる対象は現実である」と述べている[1]。そのような意味でケースワーカーはクライエントをあるがままの姿で捉えることが必要であるとバイステックは主張しているのであり、何もかもを受け入れるべきであると主張しているのではない。
  3. 意図的な感情表出 (purposeful expression of feeling)
    クライエントの感情表現の自由を認める考え方。特に抑圧されやすい否定的な感情や独善的な感情などを表出させることでクライエント自身の心の枷を取り払い、逆にクライエント自身が自らを取り巻く外的・内心的状況を俯瞰しやすくする事が目的。またワーカーもクライエントに対しそれが出来るように、自らの感情表現を工夫する必要がある。
  4. 統制された情緒的関与 (controlled emotional involvement)
    ワーカー自身がクライエント自身の感情に呑み込まれないようにする考え方。クライエントを正確にかつ問題無くケース解決に導くため「ワーカー自身がクライエントの心を理解し、自らの感情を統制して接していく事」を要求する考え方。
  5. 非審判的態度 (nonjudgmental attitude)
    クライエントの行動や思考に対して「ワーカーは善悪を判じない」とする考え方。あくまでもワーカーは補佐であり、現実にはクライエント自身が自らのケースを解決せねばならないため、その善悪の判断もクライエント自身が行うのが理想とされる。また人間は基本的に当初において自らを否定するものは信用しないため受容の観点からも、これが要求される。
  6. 利用者の自己決定 (client self-determination)
    あくまでも自らの行動を決定するのはクライエントである、とする考え方。問題に対する解決の主体はクライエントであり、この事によってクライエントの成長と今後起こりうる同様のケースにおけるクライエント一人での解決を目指す。この原則によって、ワーカーによるクライエントへの命令的指示が否定される。
  7. 秘密保持 (confidentiality)
    クライエントの個人的情報・プライバシーは絶対に他方にもらしてはならない、とする考え方。いわゆる「個人情報保護」の原則。他方に漏れた情報が使われ方によってクライエントに害を成す可能性があるため。

これらは、利用者と援助者間の「信頼関係(ラポール)」を構築するための倫理と行動の原則として著されている。この信頼関係は「私的な個人間の関係」とは異なる「専門的な援助関係」であるとされている。バイステックはその信頼関係を「水路」に例えて説明しており、そのためには、上記の7つの原則が大切であると説明している。ただし、バイステックの『ケースワークの原則』を翻訳した尾崎新は、バイステックの7原則が現代のような人権意識や倫理観が磨かれていなかった古い時代に書かれたものであるという時代背景をよく理解した上で注意深く読む必要があることを述べている[2]。なお、この「専門的な援助関係」を原則の1つと捉える学説があり、その学説を持っている研究者は「バイステックの8原則」と言っている[3]

4つ(6つ)のP

アメリカのケースワーカーヘレン・ハリス・パールマンが提唱した『ケースワークに共通な(もしくは必要となる)四つの要素』の事。要素を示す英単語の頭文字が全てPのために提唱当初は『4つのP』と呼ばれた。提唱後、1986年に更に2項目が補追され『6つのP』として補完された。内容は以下の通りである。

★=4つのPとして当初より組み込まれていたもの / ☆=新規に追加され6つのPとして構成されるもの

  1. (person)★
    援助を必要とする人。
  2. 専門職 (professional person)☆
    援助を行うための的確な知識を持つ人。
  3. 問題 (problem)★
    解決するべき問題。調整されるべき各種関係。
  4. 制度 (provisions)☆
    援助を行うために必要な制度。ないしは援助を阻害する制度を改正させるための行動。
  5. 場所 (place)★
    問題に対する援助を行うための場所。
  6. 過程 (process)★
    問題解決に至るまでの行動や選択の過程。

脚注

  1. ^ Biestek, Felix Paul (1957). The Casework Relationship. Chicago: Loyola University Press. p. 85. ISBN 9780829402247  (=尾崎新・福田俊子・原田和幸 訳『ケースワークの原則-援助関係を形成する技法』(新訳改訂版)誠心書房、2006年、137頁。ISBN 9784414604047 )
  2. ^ 尾崎新「訳者あとがき」『ケースワークの原則-援助関係を形成する技法』(新訳改訂版)誠心書房、2006年、230-231頁。ISBN 9784414604047 
  3. ^ 四訂介護支援専門員基本テキスト3巻では、「8原則」として解説されている。

関連項目

外部リンク


「ケースワーカー」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



ケースワーカーと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ケースワーカー」の関連用語

ケースワーカーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ケースワーカーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2025実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
職業図鑑職業図鑑
All contents Copyright(C)2025 Foundation.,All rights reserved.
A six Japan職業図鑑
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのケースワーク (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS