経過・推移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 15:28 UTC 版)
「固定価格買い取り制度」の記事における「経過・推移」の解説
2013年4月17日、北海道電力は売電申請のあった出力2000kW以上の太陽光発電所計画の4分の1しか発電電力を受け入れられないと発表した。同年12月3日、経済産業省は沖縄本島における太陽光発電の接続容量の接続限界に近づきつつある状況であると発表した。2013年中に、北海道電力と沖縄電力は一定規模以上の太陽光発電の新規受け入れを停止・制限することになった。沖縄電力は更に接続量が限界に近づいているための措置として2014年4月1日以降、一般家庭の新規の買い取り受付に対し、回答を保留して接続しない状態となる。同年7月25日、九州電力は離島での買い取り受け付けを1年間程度停止することを発表した。九州本土と送電線で結ばれていない離島での申し込みが増え、島内の電力供給が不安定になる可能性が高まった為としている。 2014年9月24日、九州電力は翌25日より、離島のみならず管内全域で再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく新規契約を中断し、既に申し込みを受け付けた分についても回答を当面保留すると発表した。9月30日、北海道電力・東北電力・四国電力・沖縄電力の大手電力4社でも買い取りの新規受け入れを10月1日より管内全域で停止すると発表した。沖縄電力を除き、一般家庭からの買い取りについては従来通り継続するとしている。 10月2日、九州電力は再生エネルギーの新規契約を中断したことについて、鹿児島県内の事業者向けの説明会を開いた。会場では事業者らが九州電力幹部に詰め寄り、「時期を示せ」「自己破産したらどうしてくれる」と怒号も上がり、会場は騒然とした。 経済産業省は、10月10日に同日付で北海道電力・東北電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の5社に対し、より丁寧な説明などを求める要請文を出した。11日には、大規模な太陽光発電の新規認定を一時停止する検討に入った。15日、同省の「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会」(以下「小委員会」と呼ぶ)で固定価格買い取り制度見直しの具体化に入った。小委員会では、国民負担の抑制策の一つに、スペイン、ドイツが採用している入札制度の導入が提議された。小委員会の下に設けた「系統ワーキンググループ」の初会合を16日に開き、送電網受け入れ能力の拡大策などを検討することとなった。 一方、10月11日の経済産業省の大規模太陽光発電の参入凍結検討の報道を受け、週明けの14日の株式市場では太陽光発電関連企業の株価が急落した。 10月21日、九州電力は低圧と呼ばれる出力50kW未満の小口案件の一部について、買い取り手続きを再開すると発表した。戸建て住宅の屋根に付ける太陽光パネルなどが、おおむね対象となる。九州電力が全面停止を発表した9月24日までに書面で申し込みをした案件が受け入れの対象である。なお、21日時点で九州電力を除く新規受け入れ停止中の電力4社のうち、東北電力が50kW以上、北海道電力と四国電力が10kW以上、沖縄電力は全ての案件について受け入れを停止している。 2014年10月には、小委員会が太陽光発電による電気の買い取り価格を半年ごとに引き下げることや電気の買い取り価格が決まる時期を現在の「国の事業認定時」から「事業開始時」に改めることを政府に提案する見通しであると報道されたがこれらは現在まで実施されていない。一方で価格を決める基準を、「発電業者全体の平均的な費用」から「最も安い業者の費用」にして、買い取り価格がより下がるようにするトップランナー制度や買取価格決定時期を先に延ばすことにより、なるべく買い取り価格が安くなるような制度の導入は後に行われた。また、経済産業省は地熱発電や中小水力発電を優先的に買い取るようにする方針を固めた。 11月5日、経済産業省は小委員会に対し、政府の認定を受けた後、発電を開始しない再生可能エネルギー事業者への対応策の検討を指示した。発電開始が見込めない場合は電力会社が買い取りを拒否したり、発電開始のめどがついている事業者を優先的に受け入れる仕組みにしたりすることで、再生エネ事業者の新規参入の機会を拡大する方向だという。買い取り価格は、政府の認定を受け、電力会社に買い取りを申請した時点の価格が適用されている為、太陽光パネルの価格下落を見越して発電開始を先延ばしし、利益を得ようとするケースが問題になっている。2014年度からは50kW以上の太陽光発電設備について認定後180日以内に場所及び設備の確保をおこなわなければ認定が失効するルールが導入された。また経産省は、一定期間内に発電事業を始めない場合、電力会社が買い取りをやめたり買取期間を短縮することができるようにする方向だという。また、運転開始後に設備を増設した場合、増設時の買い取り価格を適用することも検討するとしている。 2017年4月1日より通称改正FIT法が施行され固定価格買取制度が大きく変更されている。2017年3月31日までに固定価格買取制度の認定を受けていても電力会社との接続契約が締結出来ていない場合には、原則、認定が失効することとなった。また10kW未満の太陽光では1年の運転開始期限を超過すると認定失効、10kW以上の太陽光では3年の運転開始期限を超過すると調達期間が短縮される。また、認定取得時に価格決定される点は変更されないが、電気事業者による接続についての同意が認定の条件となった。 改正FIT法では、改正前の旧制度で認定を取得している場合、2017年4月1日から、新制度で認定を取得したとみなされることとなった。これを「みなし認定」と呼ぶ。みなし認定における事業計画も2017年9月30日までに提出しなければならない。なお、経済産業省は周知が不充分として一般家庭が中心となる10kW未満の太陽光発電システムについては期限を改正FIT施行から9ヶ月以内、つまり2017年12月末まで延長している。改正FIT法への移行に伴うFIT認定案件の失効は1610万kW、27万件に上った。 2017年8月31日、経済産業省・資源エネルギー庁は固定価格買取制度(FIT)に関する法施行規則と告示を改正した。事実上、太陽光パネルの増設が規制されることとなり、「太陽電池の合計出力」の変更手続きが「変更届出」から「変更認定申請」に変わり、太陽光パネルの合計出力を3%以上、または3kW以上増加させる場合、もしくは20%以上減少させる場合は、売電単価が変更となる。売電単価の変更は、増設分のみが対象という訳ではなく発電設備全体に及ぶ為、高いFIT価格の発電所に関しては事実上増設できないことになった。また、3%未満かつ3kW未満の増加であっても、全て変更認定申請が必要になった。 2018年10月11日、九州電力は13、14両日に太陽光発電や風力発電の再生可能エネルギーの発電事業者に一時的な発電停止を求める「出力制御」を九州地方で実施する可能性があると発表し、13日に43万キロワット分の広域出力制御を開始した。太陽光発電の一時停止は、これまで離島での実施例はあるが、管区内全域での本格的な実施は全国初となる。ただし、家庭用の太陽光など10kW未満の事業者は出力制御の対象外とされている。
※この「経過・推移」の解説は、「固定価格買い取り制度」の解説の一部です。
「経過・推移」を含む「固定価格買い取り制度」の記事については、「固定価格買い取り制度」の概要を参照ください。
- 経過推移のページへのリンク