グリーンコーヒー
(生豆 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/26 06:54 UTC 版)
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グリーンコーヒー(英: green coffee)とは、コーヒーの生豆のこと[1]。または、生豆かから抽出したコーヒー、または生豆そのものをグリーンコーヒーと呼ぶ。
概要
コーヒーに含まれる成分のうち、カフェインやカテキン、クロロゲン酸にはそれぞれ、
- カフェイン - 気管支を広げる作用があり、呼吸機能を改善することで呼吸器系の疾患での死亡リスクを減少させる。[2]
- カテキン - 動脈硬化防止に効果があり、心疾患、脳血管障害のリスクを減少させる。緑茶などにも含まれる。
- クロロゲン酸 - 血糖値を下げる働きがあり、ホルモンの分泌を促し、糖尿病などの罹患リスクを減少させる。[3]
また、コーヒーの香りや苦味の成分の1つであるクロロゲン酸は、加熱で壊れやすいために焙煎時間が長い「深煎り」(フレンチローストなど)だと分解されてしまう。クロロゲン酸を効果的に摂取するには浅煎りで飲む方が効果的だが、さらに生豆のまま飲む方がより効果が大きいとされる[4]。
こうした研究結果を受け、アメリカではグリーンコーヒーブームが起き、日本でもオーガニック系カフェや個人経営でこだわりを持つ喫茶店など一部では提供されているまた、生豆ではないが浅煎り豆をベースに深煎り豆をブレンドしさらにコーヒー豆マンノオリゴ糖を配合し、脂肪の吸収を抑える効果がある特定保健用食品としての缶コーヒー「ボス グリーン」や、スターバックス・コーポレーションと、サントリー食品インターナショナルにより、アラビカ種の焙煎前のグリーンコーヒーから作られた缶入りエナジードリンク「スターバックス リフレッシャーズ® ベリーベリーハイビスカス」「 同 クールライム」が全国のセブン‐イレブンで発売されるなど[6]、生豆や浅煎りコーヒーによる健康志向がいっそう強まってきている[7]。
臨床試験
近年「科学ジャーナル糖尿病情報誌」(The Scientific Journal Diabetes)誌上で、インドで22歳から46歳までの太りすぎの男女をグリーンコーヒーから抽出したドリンク剤を投与したグループと、プラセボ群に分けたグループとの臨床試験で、22週間後にグリーンコーヒーを与えたグループに平均8 kgのダイエットと体脂肪の平均15.8 %、BMI10.3 %の大幅減少が認められたことが発表された。同時に悪玉コレステロールの減少、血糖値の改善も確認された。これは後述するNagendranらによる試験の一部として行われたものである[8][9][10]。
2011年12月7日、日経メディカルはグリーンコーヒーのエキスに血糖コントロール改善の可能性があると報じた。これは、インドMallya HospitalのM.V.Nagendranらによる研究で、20歳から40歳の健康な男女60人(平均年齢29.9歳、平均BMIは21.6)を対象とした治験で登録時に、被験者全員に通常の経口ブドウ糖負荷試験を実施した後に、適切な期間を置き、50 %のクロロゲン酸を含むGCAの100 mg、200 mg、300 mg、400 mgを、それぞれ投与するという試験内容であった。GCAを投与後に100gブドウ糖を摂取させ2時間後までの血糖値の変化を調べ記録した。その結果、GCA投与後のブドウ糖負荷試験後血糖値は、GCAを投与しない群に比べ、GCA100 mg投与の場合で2時間後血糖値は13.4 %、GCA400 mg投与では31.5 %の減少が確認されるなど、GCAの投与量に応じて血糖値減少効果が増大していた。なお、GCA投与後約75分後から血糖値低減効果が始まり、90分から120分後に効果のピークがあることが判明した。副作用に関しては、胃腸、心血管、交感神経に関しては認められなかった[10]。
脚注
- ^ KREIS CAFE「コーヒー豆のおはなし」
- ^ “Caffeine: Addiction, Insomnia, Pregnancy Effects” (英語). 2022年12月13日閲覧。
- ^ “Chlorogenic Acid - Definition in the Coffee Dictionary” (英語). 2022年12月13日閲覧。
- ^ a b NHK「あさイチ」「コーヒーと緑茶が死亡リスクを下げる」2015年05月25日放送
- ^ ACS Publications "Contribution of Chlorogenic Acids to the Inhibition of Human Hepatic Glucose-6-phosphatase Activity in Vitro by Svetol, a Standardized Decaffeinated Green Coffee Extract"
- ^ スターバックス プレスリリース(2013/06/05)
- ^ 朝日新聞DIGITAL(「BOSS」もトクホ サントリー、缶コーヒー1月発売)2013年11月27日08時36分
- ^ The Scientific Journal Diabetes 2012
- ^ COACH IND,INC(Vinsonら、2012)
- ^ a b 日経メディカル2011/12/7 グリーンコーヒーのエキスに血糖コントロール改善の可能性
外部リンク
生豆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 01:08 UTC 版)
生豆はなままめ、あるいはきまめと発音される。一般には「きまめ」と読まれることが多いが、コーヒー業界での専門用語としては「なままめ」と呼ばれることの方が多い。これ以外にグリーン、グリーン・コーヒーと呼ばれることもある。 生豆は、まだ焙煎されていない生のコーヒー豆である。コーヒーの果実から果肉と内果皮(種皮、パーチメントとも呼ばれる)を取り除いた(精製された)状態で、厳密には種子そのものではなく胚乳と胚芽を合わせた部分を指す。通常、コーヒー豆はこの生豆の状態で生産地から消費国に輸出され、消費国にあるロースタリーと呼ばれる焙煎業者や、コーヒー豆販売業者、喫茶店主などの手で焙煎されることが多い。ただし一部は生豆の状態で、自家焙煎を行う消費者に販売されている。 生豆は収穫された年度によって以下のように分類されることがある。生豆の収穫年度は毎年10月1日を初日として計算される。 ニュークロップ その年度に収穫され出荷された新しいコーヒー豆。特に10月に新しい収穫年度になってから呼ばれることが多い。 カレントクロップ 最新の収穫年度に得られたコーヒー豆。ニュークロップと同じものを指す場合もあるが10月から時期が経過した場合にこう呼ぶ場合が多い。 パーストクロップ 前年度に収穫されたコーヒー豆。 オールドクロップ 広義にはそれ以前に収穫されたコーヒー豆を指す。ただし狭義にはパーチメントコーヒーの状態で数年保管していたものに対する銘柄として扱われる。なおこの狭義のオールドクロップに相当するコーヒー豆は現在ではほとんど入手不可能と言われる。 オールドビーンズ 狭義のオールドクロップとの混同を避けるため、広義のオールドクロップに相当する言葉として作られたもの。ふるまめ。 生豆は新しいほど緑色が強く、時間が経過するにつれて黄褐色に変化していく。ただしコーヒー豆の精製方法によっても色調が異なるため、色だけから判別することは出来ない。また時間が経過することにより、生豆の含水量が徐々に低下し、ロット内でのばらつきが少なくなると言われる。このため、古い生豆の方が焙煎のときに失敗することが少ないと言われている。 香味についても、新しい生豆と古い生豆では異なると言われている。一般に、新しい生豆は良くも悪くも豆の個性がはっきりとしていて香りにも優れていると言われ、古い生豆は個性に欠けるが味に落ち着きがあると表現されることが多い。どちらを嗜好するかは人それぞれであり、一概にどちらかが優れていると結論付けることは出来ない。
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