現代の日本における帰化と条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 00:16 UTC 版)
「帰化」の記事における「現代の日本における帰化と条件」の解説
帰化条件 日本国への帰化条件は7つあり、国籍法5条1項の1から6号に定められている。①5年以上継続して日本に住所を有すること、②20歳以上で(日本)本国法によって能力を有する者、③前科や違反歴が無く、素行が善良であること、④申請者自身または、生計を同じくする親や夫・妻等の同じ財布の親族と生計を営むことが出来て、生活保護等の公共の負担になっていないこと。、⑤日本国籍に帰化した(日本人になった)ときに以前有していた国籍を失うことが出来ること、⑥日本国・日本政府・日本国憲法に反する思想を持っていた過去が無いこと、⑦上記国籍法6条項には無いが、自筆で審査を突破出来る日本語の読み書きができること、である。国籍法第6条から第8条によって、特別永住権者の子女等の日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本国国籍者であった者等で一定の者については上記の帰化の条件を一部緩和している。 概説 国籍法では、帰化を許可する権限は法務大臣にあり、普通帰化、特別帰化(簡易帰化)、大帰化の3種類(この区分名はいずれも通称)が認められている。帰化を望む者は各地の法務局へ帰化の申請手続きを行う。 申請が許可されると新戸籍を編製するかまたは日本人配偶者等の既存戸籍に入籍することができる。前者の場合、氏が任意に設定される。ただし、日本で使用されている漢字と仮名以外の文字(中国独特の漢字、アルファベットなど)を使用することができない。 帰化後の名は自由に設定できるが、字種に関しては氏と同じ制限がある。 許否の結果が出るまでの期間は個々人で異なるがおおむね半年から2年程度を要するとされる。帰化申請の内容が認められた場合は、法務大臣による許可行為として官報に日本国内の現住所・帰化前の氏名(片仮名または漢字表記)・生年月日(和暦)が告示掲載され、告示の日からその効力を生じることとなる。 告示における氏名表記に外国文字(アルファベット・ハングル等)は用いられず、すべて日本語(漢字・片仮名)に置き換えて表記される。過去においては、当該告示には帰化前の氏名に加え帰化後の日本名(帰化前に日本的通称名を複数使用していた者についてはそれらすべて)が括弧付きで原則併記されていたが、1995年(平成7年)3月以降は帰化前の氏名だけが記載されるようになっている。 なお、国籍法には、届け出による国籍の取得の規定(第3条:認知された子の国籍取得、第17条:国籍留保届の未提出により国籍を喪失した者の再取得)があり、この場合、要件を満たしていれば法務大臣の許可によらず届出のみによって国籍を取得することができる。これを「帰化」と区別して「(届出による)国籍取得」といっている。 1988(昭和63年)までに帰化した者の総数は191,757人に上る。ただし、そこに含まれている旧国籍法(明治32年施行)の下の帰化者の累計は300名程度である。1989年(平成元年)以降の年ごとの帰化の許可者数は、下表のとおり、約6100人から約1万7600人の間で推移し、平成年間の前半は顕著な増加が起きたが、その後の10年間の2004年(平成16年)から2013年(平成25年)までは減少傾向にあった。2014年(平成26年)以降は下げ止まっており年間平均およそ九千人の帰化が許可されている。申請者のうち、不許可者数は90人から900人の間で推移しており、概して人数、割合ともに上昇傾向にある。近年(平成26年以降)の許可者のうち、半数前後は韓国・朝鮮籍の者で占められており、およそ3割が中国籍の者で占められている。一方で、2021年(令和3年)に韓国・朝鮮・中国籍以外の国籍の割合が初めて25%を超えた。ブラジル国籍(5%)、ベトナム国籍(3%)、フィリピン国籍(3%)、ペルー国籍(2%)、バングラデシュ国籍(2%)が上位を占めている。 暦年 申請者数 許可者数 不許可者数 合計 韓国・朝鮮 中国 その他 平成01年 8,702 6,089 4,759 1,066 264 399 平成02年 9,904 6,794 5,216 1,349 229 274 平成03年 10,373 7,788 5,665 1,818 305 223 平成04年 11,479 9,363 7,244 1,794 325 162 平成05年 12,706 10,452 7,697 2,244 511 126 平成06年 12,278 11,146 8,244 2,478 424 146 平成07年 12,346 14,104 10,327 3,184 593 93 平成08年 14,944 14,495 9,898 3,976 621 97 平成09年 16,164 15,061 9,678 4,729 654 90 平成10年 17,486 14,779 9,561 4,637 581 108 平成11年 17,067 16,120 10,059 5,335 726 202 平成12年 14,936 15,812 9,842 5,245 725 215 平成13年 13,442 15,291 10,295 4,377 619 130 平成14年 13,344 14,339 9,188 4,442 709 107 平成15年 15,666 17,633 11,778 4,722 1,133 150 平成16年 16,790 16,336 11,031 4,122 1,183 148 平成17年 14,666 15,251 9,689 4,427 1,135 166 平成18年 15,340 14,108 8,531 4,347 1,230 255 平成19年 16,107 14,680 8,546 4,740 1,394 260 平成20年 15,440 13,218 7,412 4,322 1,484 269 平成21年 14,878 14,785 7,637 5,392 1,756 202 平成22年 13,391 13,072 6,668 4,816 1,588 234 平成23年 11,008 10,359 5,656 3,259 1,444 279 平成24年 9,940 10,622 5,581 3,598 1,443 457 平成25年 10,119 8,646 4,331 2,845 1,470 332 平成26年 11,377 9,277 4,744 3,069 1,473 509 平成27年 12,442 9,469 5,247 2,813 1,409 603 平成28年 11,477 9,554 5,434 2,626 1,494 607 平成29年 11,063 10,315 5,631 3,088 1,596 625 平成30年 9,942 9,074 4,357 3,025 1,692 670 令和01年 10,457 8,453 4,360 2,374 1,719 596 令和02年 8,673 9,079 4,113 2,881 2,085 900 令和03年 9,562 8,167 3,564 2,526 2,077 863 計 423,509 393,731 241,983 115,666 36,091 10,497 ・なお、上記表中、各年度の申請者数と、許可・不許可者数は、それぞれ「その年度中に、申請した数、許可・不許可された数」に過ぎず、複数年度にわたって審査される事が多い帰化申請の性質上、同じ年度の申請者数と許可・不許可者数は関連が無く、「不許可者数/申請者数」が不許可率と短絡的に言えるものではない。
※この「現代の日本における帰化と条件」の解説は、「帰化」の解説の一部です。
「現代の日本における帰化と条件」を含む「帰化」の記事については、「帰化」の概要を参照ください。
- 現代の日本における帰化と条件のページへのリンク