新寶島の革新性とは? わかりやすく解説

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新寶島(新宝島)の革新性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 06:05 UTC 版)

手塚治虫」の記事における「新寶島新宝島)の革新性」の解説

手塚治虫最初期作品である酒井七馬との共作による1946年の『新寶島』は戦後ストーリー漫画原点とされ、本作読んで影響受けたり漫画家志した読者も多い。藤子不二雄石ノ森章太郎ちばてつや望月三起也楳図かずお中沢啓治など。劇画始めた辰巳ヨシヒロ桜井昌一佐藤まさあき衝撃語っている。 その一方で、「手塚が「新寶島」で映画から学んだ革命的な技法導入しこれまでのマンガスタイル一変させた」といったような話題生んだ。これは一部正しいか全て正しと言うわけではない呉智英著書現代マンガ全体像』(1986年)において、『新寶島』の1ページ3段コマ割りはむしろ平凡なもので、構図なども戦前作品である『スピード太郎』(宍戸左行)と比べて革新的なものとは言えないと指摘し、むしろ物語の展開の方に手塚天分」が見られるとしている。米澤嘉博も「1ページ3段割を基本としており、アップロング使い分けもない」として同様の指摘行いそれよりも戦前絵物語コミックストリップ映画少年小説など冒険物語要素一つにしたところに新しさ見ている。また、中野晴行著書『謎のマンガ家酒井七馬伝 「新宝島伝説光と影』において、元アニメーターだった酒井経歴触れてその後の手作品では「映画的表現」が後退していることから、『新寶島』の「映画的表現」には酒井功績大きかったではないか、と推測している。一方野口文雄中野の説を批判し、『新寶島』の革新性は、それまで主に登場人物セリフによる説明頼っていた時間状況進行を、セリフによらずスピーディアクションコマ割り構図による表現行ったことであるとし(これこそが「映画的手法」)、こういった表現それ以前の『スピード太郎』などにも見られず、むしろそれ以降酒井七馬作品にも影響与えたとする。 上記のような話題生まれた背景には、1938年内務省から「児童読物ニ関スル指示要項」が出され児童図書表現規制10年近くなされていたため、戦前漫画表現忘れ去られていたこと、そのような中で『新寶島』に触れた衝撃影響を、藤子不二雄Ⓐなど後の漫画界支えたベテラン作家語ったことなどがあった。 夏目房之介は、赤本時代の手漫画達成として「コマ読み方」を変えたことを挙げている。それまで日本の漫画は、現在の4コマ漫画同じように、1ページ内で右側配置されコマ縦に読んで行き次に左側移りまた縦に読んでいく、という形で読まれていた。しかしこの読み方ではコマ割り方法大幅に制限されるため、手塚赤本時代に、上の段のコマ右から左読んで行き次に下の段に移りまた右から左に読む、という現在の読み方少しずつ試み浸透させていった。これに加えて初期の手塚は登場人物絵柄をより記号化し、微妙な線の変化用いて人物造形表情ヴァリエーション格段に増やした流線や汗、擬音などの漫画的な記号従来比べて格段に増やしており、このような表現の幅の広さが、多数人物入り組む複雑な物語漫画で描くことを可能にし、また絵柄記号化進めたことは、絵を学ばずとも記号表現覚えることで、誰でも漫画を描くことができるという状況作ることにもなった。また物語という点において戦前漫画手塚漫画物語隔てるものは「主人公の死」などを始めとする悲劇性導入であり、死やエロティシズム作品取り入れていったことで多様な物語世界を描くことを可能にし、以降漫画界における物語多様さを準備することになった上記絵柄記号化体系化漫画制作の平行作業化分業化を容易とするもので、アシスタント雇いプロダクション制を導入することを可能にした。漫画制作に対してアニメーション制作類似のアシスタント制、プロダクション制を導入したのは手塚最初である。手塚漫画制作導入したものとしては他に、Gペン使用早く描けるという理由よる。それまで漫画では丸ペン使用一般的だった)、スクリーントーン採用などがある(注:日本漫画制作スクリーントーン導入したのは手塚治虫最初ではない)。

※この「新寶島(新宝島)の革新性」の解説は、「手塚治虫」の解説の一部です。
「新寶島(新宝島)の革新性」を含む「手塚治虫」の記事については、「手塚治虫」の概要を参照ください。

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