並行輸入品
読み方:へいこうゆにゅうひん
並行輸入品と呼ばれるブランド商品は、主にインターネットを通じて購入することができるものを指している。インターネットの普及率の良さから商品に対するニーズも高まり、大手のショッピングサイトで見かけることも増えてきている。あまり見慣れない言葉じりから不信感を持つかもしれないが、販売しているブランド商品は偽物ではなく正規品なので本物だ。
並行輸入品の多くは、通常より安い設定で販売するケースが多い。これは輸入業者が商品を仕入れるルートが、本来とは違うからである。海外で製造・販売されているブランド商品を輸入する場合、通常であれば製造・販売元と正式な輸入販売契約を交わした業者が正規代理店となる。正規代理店が、メーカーと消費者との仲介者としての役割を果たすのが本来の姿である。これに対して正式な正規代理店以外の第三者となる業者が、輸入販売すること自体は可能で違法にはあたらない。消費者にとっては同じ商品なら、より安い方を選択したくなる気持ちをうまく利用した販売方法である。正規ルートより価格が安くなるのは、価格の設定基準に違いがあるからだ。
正規ルートの場合は値崩れ防止やブランド商品のイメージを損なわないようにするために、日本での販売価格を固定することが決められている。そのため簡単にはセールになることはなく、送料や手数料を含めると現地で購入するよりもかなり割高にはなる。並行輸入品には固定価格の取り決めがなく、為替相場の影響で変わってくる。相場が円高になれば輸入コストが抑えられるので、その分を値下げに回すことができるから安くなるのだ。
並行輸入品が扱われるようになったのは昭和時代からで、時代により対応が変化してきている。昭和40年代では、商標権を侵害するものとして取り締まる対応をしてきた。審査が厳しく輸入の差し止めになることも多かったが、昭和45年におきたパーカー事件の判決後から並行輸入品には実質的な違法性がないことを認められる。昭和47年に当時の大蔵省関税局より各税関長へ通達が出され、正規品の並行輸入は商標権の侵害に当たらないものとして取り扱うようになった。昭和60年代に入ると円高が急激に進み、円高ドル安のニュースが頻繁に登場する。それにより輸入品が大幅に増えてくる、いわゆるバブル景気の到来で様々な分野でブランドブームが起ったのである。
平成時代に入り消費税の導入に伴い物品税は廃止になることで、高級品とされてきた万年筆などの価格が下がり始めた。国内外との格差が小さくなったもののブランドブームは健在で、服やバッグの注目度が上がった。特に20世紀の終わりにかけてネームバリューの高いメガブランドが盛り上がりをみせる。しかし、人気の高かった名ブランドであるプラダの偽造品が大量に市場に出回ったことで問題が発生。これを解決すべく並行輸入市場を適正化するために、日本流通自主管理協会が発足する。平成も中頃になると不況が続いていた日本では、ブランド商品の購入にリサイクルショップを利用する消費者が増えた。ブランドブームは消えることはなく、中古市場が拡大している。
並行輸入品の購入のメリットは商品価格の安さにあるが、さらに魅力的なのが商品のラインナップである。日本で販売されている商品は、当然のことながら日本人の好みに合うようなデザインやスペックの商品が展開されている。そのため本来の種類より少なく選ぶ楽しみが狭められてしまっている。ブランド側が売り上げを考慮して厳選してきた結果だが、商品のスペックやサイズにカラーといった種類の縛りのない並行輸入品ならば、まだ日本未入荷の商品を手にすることができるチャンスである。個性的なものも多いので、掘り出し物が見つかるかもしれない。
並行輸入品を購入する際に、気をつけなければならないデメリットもある。購入後に商品が不良品だった場合や商品そのものが間違っていたりしても、返品や交換ができないケースが多い。他にも商品の修理やメンテナンスといった、本来ならばあるはずのアフターサービスが受けられないことは要注意だ。正規の流通ルートで用意されているメーカーの品質保証がないからである。日本未入荷の商品の場合は、添付されている取扱説明書が日本語ではない。翻訳の機能を駆使しなければならず、とても面倒な作業に没頭されることになる。またスペックによっては、日本の気候風土に合わない物もあるので見極めが難しい。
そもそも並行輸入品が認められているのは、以下の条件を全てクリアしているからである。条件を満たしていない場合は商標権侵害となり、犯罪行為とみなされ刑罰を受けることになる。
1.当該商品に付された商標が外国の商標権者等により適法に付されたものであること。(適法性の要件)
商品に付された商標が適正でないものは、偽造品となり輸入・販売することはできなくなる。
2.外国の商標権者と日本の商標権者が同一人、又は法律的、経済的に同一視できる関係にあること。(同一人性の要件)
商標権はそれぞれの国ごとに登録する必要があり、正規品であっても日本と海外の商標権者が違う場合は違法となる。必ず同一であることを事前確認する必要があり、これを怠るとトラブルの元になる。
3.当該商品と、日本の商標権者が扱う商品とが、品質において実質的に差異がないこと。(品質管理性の要件)
各ブランドの委託契約工場では、製造することは許可されていても販売することは許可されていない。いくら正規品でも商標権者から委託されている工場から直接買ってしまった場合、品質管理性の要件を満たさないとして商標権を侵害することになる。本来ならば権利者が行う品質コントロールを、工場が無断で販売することは品質管理において著しく信用を損なう行為となるからだ。その物品は商標権侵害物品になり、ダメージを与えてしまう。
いずれにせよ並行輸入品を扱う業者は、必ず条件をクリアできなければならない。
並行輸入品の扱いにおいて、一番の問題は正規品ではなくブランドだからこそ起こりうる偽物やコピー商品を販売する悪質な業者が存在することである。どうしても購入したいのであれば、安全面や安心面でリスクが伴うことを考慮して慎重に検討してから購入するべきだろう。特に化粧品や食品のように人体に影響のあるものにおいては、健康被害が出る可能性があるので注意が必要だ。一方で、独自の保証やアフターサービスのフォローが充実している並行輸入業者もいる。そのような業者であれば、ハードルも下がるので購入しやすい。メリットもデメリットもある並行輸入品だが、どちらにせよ並行輸入品を購入するならば自己責任であることを念頭に置いておきたい。
「並行輸入品」とは・「並行輸入品」の意味
「並行輸入品」とは海外で製造・販売されているブランドの正規品を、違法ではないが正規代理店以外の業者が輸入・販売するものである。並行輸入品と呼ばれるブランド商品は、主にインターネットを通じて購入することができるものを指している。インターネットの普及率の良さから商品に対するニーズも高まり、大手のショッピングサイトで見かけることも増えてきている。あまり見慣れない言葉じりから不信感を持つかもしれないが、販売しているブランド商品は偽物ではなく正規品なので本物だ。
並行輸入品の多くは、通常より安い設定で販売するケースが多い。これは輸入業者が商品を仕入れるルートが、本来とは違うからである。海外で製造・販売されているブランド商品を輸入する場合、通常であれば製造・販売元と正式な輸入販売契約を交わした業者が正規代理店となる。正規代理店が、メーカーと消費者との仲介者としての役割を果たすのが本来の姿である。これに対して正式な正規代理店以外の第三者となる業者が、輸入販売すること自体は可能で違法にはあたらない。消費者にとっては同じ商品なら、より安い方を選択したくなる気持ちをうまく利用した販売方法である。正規ルートより価格が安くなるのは、価格の設定基準に違いがあるからだ。
正規ルートの場合は値崩れ防止やブランド商品のイメージを損なわないようにするために、日本での販売価格を固定することが決められている。そのため簡単にはセールになることはなく、送料や手数料を含めると現地で購入するよりもかなり割高にはなる。並行輸入品には固定価格の取り決めがなく、為替相場の影響で変わってくる。相場が円高になれば輸入コストが抑えられるので、その分を値下げに回すことができるから安くなるのだ。
「並行輸入品」の読み方
「並行輸入品」は、へいこうゆにゅうひんと読む。業者がブランド商品輸入の正規ルートと並行するように別の流通ルートで輸入してきた商品を指す。似ているものに「個人輸入品」があるが、個人での使用を目的に海外から輸入した商品なので並行輸入品とは全くの別物である。並行輸入品が扱われるようになったのは昭和時代からで、時代により対応が変化してきている。昭和40年代では、商標権を侵害するものとして取り締まる対応をしてきた。審査が厳しく輸入の差し止めになることも多かったが、昭和45年におきたパーカー事件の判決後から並行輸入品には実質的な違法性がないことを認められる。昭和47年に当時の大蔵省関税局より各税関長へ通達が出され、正規品の並行輸入は商標権の侵害に当たらないものとして取り扱うようになった。昭和60年代に入ると円高が急激に進み、円高ドル安のニュースが頻繁に登場する。それにより輸入品が大幅に増えてくる、いわゆるバブル景気の到来で様々な分野でブランドブームが起ったのである。
平成時代に入り消費税の導入に伴い物品税は廃止になることで、高級品とされてきた万年筆などの価格が下がり始めた。国内外との格差が小さくなったもののブランドブームは健在で、服やバッグの注目度が上がった。特に20世紀の終わりにかけてネームバリューの高いメガブランドが盛り上がりをみせる。しかし、人気の高かった名ブランドであるプラダの偽造品が大量に市場に出回ったことで問題が発生。これを解決すべく並行輸入市場を適正化するために、日本流通自主管理協会が発足する。平成も中頃になると不況が続いていた日本では、ブランド商品の購入にリサイクルショップを利用する消費者が増えた。ブランドブームは消えることはなく、中古市場が拡大している。
「並行輸入品」の見分け方
通常の正規品と並行輸入品との見分け方は簡単で、商品名や商品の説明文などに並行輸入品であることが記載されている。この記載が無いにもかかわらず、異常に価格が安い商品には注意が必要である。並行輸入品の購入のメリットは商品価格の安さにあるが、さらに魅力的なのが商品のラインナップである。日本で販売されている商品は、当然のことながら日本人の好みに合うようなデザインやスペックの商品が展開されている。そのため本来の種類より少なく選ぶ楽しみが狭められてしまっている。ブランド側が売り上げを考慮して厳選してきた結果だが、商品のスペックやサイズにカラーといった種類の縛りのない並行輸入品ならば、まだ日本未入荷の商品を手にすることができるチャンスである。個性的なものも多いので、掘り出し物が見つかるかもしれない。
並行輸入品を購入する際に、気をつけなければならないデメリットもある。購入後に商品が不良品だった場合や商品そのものが間違っていたりしても、返品や交換ができないケースが多い。他にも商品の修理やメンテナンスといった、本来ならばあるはずのアフターサービスが受けられないことは要注意だ。正規の流通ルートで用意されているメーカーの品質保証がないからである。日本未入荷の商品の場合は、添付されている取扱説明書が日本語ではない。翻訳の機能を駆使しなければならず、とても面倒な作業に没頭されることになる。またスペックによっては、日本の気候風土に合わない物もあるので見極めが難しい。
そもそも並行輸入品が認められているのは、以下の条件を全てクリアしているからである。条件を満たしていない場合は商標権侵害となり、犯罪行為とみなされ刑罰を受けることになる。
1.当該商品に付された商標が外国の商標権者等により適法に付されたものであること。(適法性の要件)
商品に付された商標が適正でないものは、偽造品となり輸入・販売することはできなくなる。
2.外国の商標権者と日本の商標権者が同一人、又は法律的、経済的に同一視できる関係にあること。(同一人性の要件)
商標権はそれぞれの国ごとに登録する必要があり、正規品であっても日本と海外の商標権者が違う場合は違法となる。必ず同一であることを事前確認する必要があり、これを怠るとトラブルの元になる。
3.当該商品と、日本の商標権者が扱う商品とが、品質において実質的に差異がないこと。(品質管理性の要件)
各ブランドの委託契約工場では、製造することは許可されていても販売することは許可されていない。いくら正規品でも商標権者から委託されている工場から直接買ってしまった場合、品質管理性の要件を満たさないとして商標権を侵害することになる。本来ならば権利者が行う品質コントロールを、工場が無断で販売することは品質管理において著しく信用を損なう行為となるからだ。その物品は商標権侵害物品になり、ダメージを与えてしまう。
いずれにせよ並行輸入品を扱う業者は、必ず条件をクリアできなければならない。
並行輸入品の扱いにおいて、一番の問題は正規品ではなくブランドだからこそ起こりうる偽物やコピー商品を販売する悪質な業者が存在することである。どうしても購入したいのであれば、安全面や安心面でリスクが伴うことを考慮して慎重に検討してから購入するべきだろう。特に化粧品や食品のように人体に影響のあるものにおいては、健康被害が出る可能性があるので注意が必要だ。一方で、独自の保証やアフターサービスのフォローが充実している並行輸入業者もいる。そのような業者であれば、ハードルも下がるので購入しやすい。メリットもデメリットもある並行輸入品だが、どちらにせよ並行輸入品を購入するならば自己責任であることを念頭に置いておきたい。
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