価格の設定(プライシング)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 20:46 UTC 版)
「クレジット・デフォルト・スワップ」の記事における「価格の設定(プライシング)」の解説
プレミアムの決定には金融工学的手法が利用される。それは単に買い手が、両者の期待値を一致させる価格を支払えばよいのではなく、売り手が引き受けるリスクに対する対価(リスクプレミアム)をも支払う必要があるからである。リスクプレミアムは通常、同じ参照企業Aが発行する社債などに織り込まれたものを使う。 CDSの売り手がデフォルトしないという仮定の下ではプレミアムの算出は容易である。しかし、売り手もデフォルトする場合には買い手のリスクが増大する。さらに参照企業Aと売り手のデフォルトに相関がある場合には、プライシングは容易ではない。 CDSのプレミアムを単純化して数式に表すと d ( 1 − r ) = s ( 1 − d ) {\displaystyle d(1-r)=s(1-d)\,} s:1年間のCDSプレミアム、d:1年デフォルト確率、r:デフォルトした際の回収率 と表せる。左項は期待損失率、右項は期待収益率といえる。ただし、この理論値は、カウンターパーティーリスクや流動性リスクなどを含んだプレミアムではないことに注意すべきである。上式では、左項の方が大きく、等式ではなかった。 およそ、1000bpsを超える一部の銘柄について、UP front取引がなされていた。計算は、ディールスプレッドを500bpと仮定し、その満期までの各キャッシュフローに対して累積生存確率とディスカウントファクターを掛け合わせたものの合計を、通常のフラットカーブのスプレッドで計算した満期までの各キャッシュフローに対して累積生存確率とディスカウントファクターを掛け合わせたものの合計から減じた金額を想定元本で割ることで求められる。現在ではCDS取引の標準化に伴いほぼすべての銘柄がUP front取引されている。 ISDA Japan Credit Derivatives Committee Research Working Group の解説によれば、日本企業を対象としたCDSの固定プレミアムは25bp、100bp、500bpの3通りである。市場実勢プレミアムは当然その3つと一致しないこともあるが、その場合の、固定プレミアムと市場実勢プレミアムとの差については、契約締結時(アップフロント)の支払で調整する。
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