ヒルメス一党
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「アルスラーン戦記の登場人物」の記事における「ヒルメス一党」の解説
ヒルメス、およびヒルメスを真のパルスの国王と仰ぐ者たち。 ヒルメス 声 - 池田秀一 / 同左 / 梶裕貴 第17代国王オスロエス五世の子。先王オスロエス五世の嫡男であったが立太子されることはなく、子供の頃に叔父アンドラゴラスによって火事に見せかけた暗殺に遭い、公式には死亡とされた。実際は未遂に終わったものの、顔の右半面に大火傷を負い、無意識に火を恐れるなど後の人生に影を落とした。一連の事件はアルスラーンの誕生前だったため、アルスラーンにとっては従兄にあたるが、その存在を知らされていなかった。火事から生き延びた後はマルヤムへ逃れてしばらく滞在したらしく、その際にマルヤムの内親王イリーナと交流し、互いに惹かれあう。基本シリアス一色のキャラだが、ナルサスとアルフリードのやり取りに呆れ、イノケンティスと互いに話題の内容を勘違いしたやり取りを繰り広げる面も。 自らを正当な王位継承者と信じており、王位を奪ったアンドラゴラスへの復讐のために十数年の歳月を準備に費やし、銀色の仮面を被って戦火に身を投じる。身分を偽ってルシタニアを手引きし、パルスを侵略させた。ルシタニア人に対しては銀仮面卿と名乗る。出生に本人の知らぬ秘密があり、本当は先王オスロエスの嫡子ではなく先々王ゴタルゼスの子であった。そのため、正しい王位継承順位はアンドラゴラスより下となる。 アルスラーンに敗れた後、チュルクへ流れ、しばし滞在する間にカルハナの謀臣として彼の即位に功績を立てた。この地で妻イリーナを失う。カルハナ王の命によりトゥラーン人を組織して仮面兵団を組織、シンドゥラを劫略するもアルスラーンにより撃破され、残兵を率いて海路ミスルへ逃れる。ミスルではクシャーフル卿と名乗り、ミスルを手中とするために暗躍を開始する。国王の寵姫となった「孔雀姫」フィトナの協力を得て、首尾よく南方軍都督(キャランタル)に就任するが、任地に赴く直前に自身の偽物である「黄金仮面」シャガードの叛意による国王弑逆事件が起こる。ヒルメスはこの事件を利用し、腹心ザンデの仇であるマシニッサを国王殺害の共犯者に仕立て上げ、これを討ち果たすと同時に幼少の新国王を擁立して権勢を握る。だが、外国人ゆえにミスルに足場がなく、それが後の失敗につながる。 苛烈な人柄こそ変わってはいないものの、自身の野心を正当化することはなく、自身の器量がアルスラーンより劣ることを自覚するなど、以前に比べ幾分か思考は軟化してきている。ミスルを手中に収める謀略についても、悪事と自覚して楽しんでいる節がある。民衆のための政治を行わなければ支配も長続きしないと自覚したり、元貴族という身分だけを理由に尊大に振る舞うクオレインを「己の能力に自慢できることはないのか」と嘲笑した挙げ句に斬り捨てたり、ナルサスに対する復讐に固執するあまり視野狭窄を起こしている「黄金仮面」の姿に、かつての自分のようだと自嘲するなど、視野も遥かに広くなっている。一方で武人としての技量はますます技量を高めたダリューンには劣るものの、ナルサスには勝る。 武勇に優れ、その技量は第1部時点でのダリューンと互角だった。原作2巻におけるペシャワール城塞にて、ダリューン、ナルサス、キシュワードに囲まれた際には、わずかな時間ではあるが3人の猛攻にさえ抗ってみせるなど、この時点ではダリューンと同等の実力を見せていたが、第二部以降では更なる実力をつけたダリューンに圧倒された。 著者の田中芳樹によると、中国の南北朝時代の人物である蕭宝寅が、まさしくヒルメスにそっくりの人物であるとのことである。しかし、田中がこの人物を知ったのは『アルスラーン戦記』執筆後であり、モデルではない。蕭宝寅は田中が評するところでは内政面でも優れた才能を示した人物であり、その後の作中においてはヒルメスが内政に関心を持つ場面が描かれた。 15巻で側近のブルハーンと共にマルヤムに戻り、ギスカールを脅す形でマルヤム軍に入った。再び銀仮面卿と名乗り、アルスラーンへの復讐を企む。蛇王侵攻に乗じようとギスカールに出兵させ、先行したところ偶然ナルサスの宿営地を奇襲する形となり、彼を殺害する。その際にアルフリードから左腕を傷つけられるも、援軍として駆け付けたパルス軍に腹心ブルハーンを捕らえられてしまう。メルレイン率いる部隊が襲撃してきた際は、放たれた火を見て単身で逃走。マルヤム軍はヒルメスが実質の司令官だったため、これがマルヤム軍大敗の要因となり、名目の指揮官ギスカールを討たれる。 その後、侵攻してきたミスル軍の陣頭に立つフィトナと再会し、パルス侵攻に乗じる形で小勢を率いて攻め込むもギーヴと遭遇し、「今エクバターナに行かないと後悔する事になるぞ」と言われ、手勢を見捨てエクバターナに向かう。しかしアンドラゴラスの身体を乗っ取った蛇王ザッハークに予期せぬ遭遇の挙句、怯えて逃げ惑った。最後は親友ナルサスの仇として意気の上がるダリューンと相対し、熾烈な決闘の末に討たれた。 カーラーン 声 - 松尾貴司 / 納谷六朗 / 大川透 アンドラゴラス三世の下での万騎長の一人。中年で重厚な声の持ち主にして諜報の名手。先王オスロエス五世の遺児であるヒルメスの正統性を信じて密かにアンドラゴラス三世を裏切り、第一次アトロパテネ会戦を偽情報によって敗戦へと導き、ルシタニアの侵略に協力した。ヒルメスと結びついた経緯については不明。ヒルメスの下で大将軍(エーラーン)を称するが、ナルサスの策略によっておびき出され、ダリューンと戦い半ば事故の形で落命する。ザンデの父親。 ザンデ 声 - 中原茂 → 子安武人 / 梁田清之 / 森田成一 万騎長カーラーンの子。父カーラーンの死後はヒルメスの側近として活躍する。年齢は20歳くらいの剛力を誇る巨漢で、剣よりも棍棒や槌鋒(メイス)をよく使う。ヒルメスの正統性を心から信じ、絶対の忠誠を誓っている。斥候を用いて情報にも通じ、単なる膂力だけの男ではないことはヒルメスも認めている。 第2部ではヒルメスを探してミスルに辿り着き、「黄金仮面」の下で反アルスラーン派のパルス人を束ねてパルス人部隊の指揮官となる。騎兵の訓練にも優れていたことが判明する。しかし、「黄金仮面」がヒルメスの名を騙る偽者であると見破ったため、ミスル国王の命を受けた将軍マシニッサに追われる。最期はマシニッサに騙し打ち同然に討ち取られる。 サーム 声 - 岸野一彦 / 家中宏 アンドラゴラス三世の下での万騎長。怜悧で思慮深い人物。城砦の攻防に優れた手腕を有することから、第一次アトロパテネ会戦には参加せず王都エクバターナの守備の任についた。エクバターナ防衛戦で敗れて捕らえられた後、ヒルメスの秘密を知らされ、苦悩の末、ルシタニア人をパルスから追い出すことを条件に配下となり、参謀として活躍する。しかし、彼自身は守りを任されたエクバターナの陥落以降、常に心に鬱屈を抱え込んでおり、クバードからは死に場所を探しているようだと評された。アルスラーンがエクバターナ入城を果たした直後、ザッハーク一党の手から宝剣ルクナバードを守るために命を落とした。
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