それ以降の規制関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 08:35 UTC 版)
「自動車排出ガス規制」の記事における「それ以降の規制関連」の解説
三元触媒/酸化触媒/還元触媒 - 三元触媒として機能するためには、排気中の酸素濃度(O2センサーで測定)に対する空燃比のフィードバック制御が必須である。酸化触媒を経て登場した三元触媒は、後にほぼ全てのメーカーに採用された。スズキ・TC-53 - ハニカム構造の酸化触媒を二重に配置(Twin Catalyst)し、エアポンプで二次空気も供給する事で、2ストローク機関に置ける排ガス浄化を強化。これによりスズキは軽乗用車向けのT4A型とT5A型で昭和53年規制をクリアした。 NAPS - 日産自動車の排ガス対策技術の総称。当初は酸化触媒を採用。 排気再循環 (EGR) - 吸気に排気ガスを加えることで吸気中の酸素濃度を下げ、燃焼温度を下げることで窒素酸化物(NOX)の生成を抑制する。一旦排気バルブから出された排ガスを再度取り込む外部EGR方式と、可変バルブタイミング機構を用いて内部的に行う内部EGR方式とがある。EGRで取り込む排気ガスを冷却して効率を高めるクールドEGR式も実用化されている。 ツインプラグ日産・Z型エンジン (NAPS-Z) / 日産・CAエンジン (NAPS-X) - 大量のEGR化でも安定した燃焼を行う目的で、燃焼室に2本の点火プラグを配置するツインプラグによる急速燃焼技術を採用。 スズキ・EPIC - 排気孔点火浄化装置(Exhaust Port Ignition Cleaner)の意。2ストローク機関に置ける排ガス浄化を強化する為に、燃焼室と排気ポートに1本ずつの点火プラグを配置し、未燃焼ガス(HC)を再燃焼。併せてエアポンプでCOも浄化する仕組みである。1970年には既に特許を取得していた機構であり、LC10W型(英語版)は更に前述のSRISも組み合わせられたものが、アメリカ合衆国環境保護庁のマスキー法試験に挑んだ記録が残っている。これによると、1973年に未対策のLC10型(フロンテGX)での試験では75モデルイヤー規制値に適合しなかったが、翌1974年にEPIC機構搭載の試作型フロンテは日本の50年正規規制値よりも遙かに低い値で合格している。しかし、この装置が必要となる1977年の50年正規規制値発効当時には既にLC10/10W型は550ccへの移行により姿を消しており、後継のT5A及びLJ50はいずれもEPICとは異なる機構で規制への適合を図った事から、市販車両への採用は行われなかったようである。 DPF - ディーゼルエンジンの排気ガスから粒子状物質を捕集するフィルター。 エンジンコントロールユニット(ECU) - エアフロメーターとO2センサーによる空燃比制御も排ガス規制に貢献した。OBD - ECUの自己診断機能の統一規格。各社まちまちであった通信規格の統合により、当局による排ガス基準値チェック体制の強化に貢献した。 電子制御燃料噴射装置(EFI/EGI) - ガソリンエンジンでは精密な空燃比制御が必要になるにつれ普及し、キャブレターと置き換わっていった。噴射する位置により、シングルポイント(SPI)、マルチポイント(MPI)、筒内直噴(DI)に大別される。 電子制御式キャブレター(ECC) - EFIに比較して安価であり、万一ECUが故障してもフィードバック制御が無くなるのみで走行自体は一応可能である点が、初期のEFIと比較して長所とされた。いすゞ・I-CAS - Izusu Clean Air System。GMより供与された酸化触媒技術が主体。1975年式117クーペでは、70年に登場した日本初のEGIであるECGIに酸化触媒、EGR、二次空気導入装置を組み合わせたシステムを採用した。 希薄燃焼トヨタトータルクリーンシステム (TTC) - トヨタの排ガス対策技術。この内のTTC-L(ダイハツではDECS-L)が希薄燃焼方式。 SEEC-T - スバルの排ガス対策技術の総称。 ミツビシクリーンエアシステム (MCA) - 三菱自動車工業の公害対策技術。この内のMCA-JETは、希薄混合気や大量EGR下での燃焼を安定させた方式。 排気デバイススズキ・ERV(エキゾーストロータリーバルブ) - 1975年、2ストローク2気筒のL50型にて採用され、昭和50年規制を通過。3気筒化されたLJ50では排気干渉を利用した集合エキゾーストマニホールドのみで規制を通過できた事から、ごく短期間のみの採用となった。 ディフィートデバイス - 上記の排ガス対策機器とは全く逆に、検査ラインでの排ガステストの時のみ有害物質の排出量を低く抑えるように意図的に調整されたシステムで、一般走行時には高出力や高燃費と引き換えに有害物質が大きく増加する「不正なコンピュータプログラム」である。一般的にはECUのプログラム内に隠し機能として実装される事が多く、2015年9月に発覚したフォルクスワーゲンの排出ガス不正問題(英語版)では、部品供給元のボッシュも不正に絡んでいた事もあり、それまでも自動車各社に時折存在していたディーゼルエンジンの排出ガス不正問題(英語版)の枠を大きく飛び越え、同社のガソリンエンジン車や他の欧州車にまで不祥事が飛び火する事態になり、ヨーロッパ全体を巻き込んだ排ガス規制史上最大の不正行為に発展した。2017年2月、フォルクスワーゲン会長ハーバート・ディエス(ドイツ語版)は、英国デイリー・テレグラフの取材に対して、ディフィートデバイス問題が契機となり、同社が2006年以降TSIエンジンなどで推進してきたダウンサイジングコンセプトが事実上終焉に向かう事を明言。米国誌ロード・アンド・トラック(英語版)は、排出ガスと出力、燃費の全てを満足するにはアップサイジングコンセプトへの回帰が避けられないとも指摘している。
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