きく【×麹】
こうじ〔かうぢ〕【×麹/×糀】
麹(こうじ)
麹(こうじ)
麹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 17:50 UTC 版)
麹、糀(こうじ)は、米・麦・大豆などの穀物にコウジカビなどの食品発酵に有効なカビを中心にした微生物を繁殖させたものである。コウジカビは、増殖するために菌糸の先端からデンプンやタンパク質などを分解する様々な酵素を生産・放出し、培地である蒸米や蒸麦のデンプンやタンパク質を分解し、生成するグルコースやアミノ酸を栄養源として増殖する。コウジカビの産生した各種分解酵素の作用を利用して日本酒・味噌・食酢・漬物・醤油・焼酎・泡盛など、発酵食品を製造する時に用いる[1][信頼性要検証]。ヒマラヤ地域と東南アジアを含めた東アジア圏特有の発酵技術である。発酵食品に使われる本ページで言及する広義の意味での麹の技術は中国に由来すると考えられているが、中国と朝鮮が長い間に伝統的な酒造りや醤造りに使用していたカビはクモノスカビ (Rhizopus) やケカビ (Mucor) の一種であり[2][3][4]、しばしば狭義で「麹」として言及される、日本人が見出して伝統的に発酵食品に使用し、現在は東アジアでも広く使用されているニホンコウジカビ (A. oryzae) とショウユコウジカビ (A. sojae) ではない[3][5][6]。
- ^ 醸造の知識あれこれ 参考書「改定醸造学」と書いてある。
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- ^ Kiyoko Hayashi (2021年7月19日). “日本の発酵技術と歴史”. Discover Japan Inc.. 2022年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
- ^ ウ音便化による(カモシ > カウジ > コージ)。 ほかに、院政期の『類聚名義抄』などに「麹」を「カビダチ」(黴立ち)と訓ずるのに拠り、これの転訛(カビダチ > カウヂ > コージ)とする説もあるが、このような変化は不規則であることに加え、「ヂ」で終わる語形は実際には確認されていない。
- ^ 元禄5年(1692)刊『異體字辨』の「和俗字」の部門に「糀(カウジ)」がみられる(右・91ウ)。
- ^ 日本酒が出来るまで<工程>
- ^ 日本酒の「水」を理解する:灘の男酒と伏見の女酒
- ^ 龍野の醤油について
- ^ 一例として、秋田県総合食品研究センター開発の「あめこうじ」。
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- ^ 上田誠之助、「生澱粉の直接アルコール発酵の発見とその後の研究について」 澱粉科学 1987年 34巻 2号 p.113-118, doi:10.5458/jag1972.34.113
- ^ ネパール産餅麹ムルチャの乳酸菌フロラ ネパール産餅麹の微生物に関する研究 (第2報) 日本醸造協会誌 1996年 91巻 12号 p.901-905, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.91.901
- ^ ブータン産餅麹チャン・ポーにおける糖化菌の検討 アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第2報) 日本醸造協会誌 1990年 85巻 12号 p.881-887, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.85.881
- ^ 内村泰, 新村洋一, 小原直弘 ほか、「タイ国産食酢醸造に用いる餅麹ルクパンの微生物相 アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第5報)」 日本醸造協会誌 1991年 86巻 1号 p.62-67
- ^ *麴菌をわが国の「国菌」に認定する (PDF) (平成18(2006)年10月12日、日本醸造協会)
- 麴菌をわが国の「国菌」に認定する-宣言-(平成18(2006)年10月12日、平成25(2013)年11月28日一部改正、日本醸造協会)
- ^ 一島英治、日本の国菌コウジキン 日本醸造協会誌 Vol.99 (2004) No.2 P.83, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.99.83
- ^ 文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
- ^ 岸本間市、大豆麹製法ノ研究 日本釀造協會雜誌 1916年 11巻 8号 p.37-44, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.11.8_37
- ^ 南場毅、好井久雄、豆みそのアミン類に関する研究(第1報) 熟成豆みそおよび豆麹中のアミンの定性 日本食品工業学会誌 Vol.14 (1967) No.5 P.199-203, doi:10.3136/nskkk1962.14.199
- ^ 小笠原博信、高橋克文、飯塚兼仁ほか、麦焼酎もろみの発酵特性改善に対する白麹の寄与 日本醸造協会誌 Vol.86 (1991) No.4 P.304-307, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.86.304
- ^ 岩野君夫、三上重明、福田清治ほか、焼酎白麹の各種酵素の活性調査について 日本釀造協會雜誌 1986年 81巻 7号 p.495-498, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.81.495
- ^ 山田修:黒麴菌の系統解析と OTA 非生産性 マイコトキシン Vol.63 (2013) No.2 p.187-190, doi:10.2520/myco.63.187
- ^ a b 上田誠之助:生澱粉の直接アルコール発酵の発見とその後の研究について 澱粉科学 Vol.34 (1987) No.2 P.113-118, doi:10.5458/jag1972.34.113
麹(正字は「麴」)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:45 UTC 版)
日本酒に用いる麹は、蒸した米に麹菌(ニホンコウジカビの胞子)を振りかけて育てたものであり、米麹(こめこうじ)ともいう。これが米のデンプンをブドウ糖に変える糖化の働きをする。 日本酒が原料とする米の主成分は多糖類であるデンプンだが、そのままでは酵母がエネルギー源として利用できない(デンプンから直接アルコール発酵を行えない)ので、まず麹の働きによって分子量の小さな糖へと分解する必要がある。つまり、酵母がブドウ糖からアルコールを生成できるように、下ごしらえとしてデンプンを糖化してブドウ糖を生成する役割を担うのが米麹である。米麹は、コウジカビが生成するデンプンの分解酵素であるα-アミラーゼやグルコアミラーゼを含み、これらの働きによって糖化が行われる。ほかにタンパク質の分解酵素も含んでおり、タンパク質を分解して生じるアミノ酸やペプチドは、酵母の生育や完成した酒の風味に影響する(参照:#麹造り)。 洋酒を代表するワインでは、原料であるブドウ果汁の中に既にブドウ糖が含まれているので、こうした糖化の工程が要らない単発酵文化圏となった。東洋においては、日本酒だけでなく、他の酒類や味噌・味醂・醤油など多くの食品に麹が使われ、食文化的に複発酵文化圏、カビ文化圏などとも呼ばれる。これは東南アジアから東アジアにかけての中高温湿潤地帯という気候上の特性から可能であった、微生物としてのカビの効果を利用した醸造法である。東洋で使われる麹菌にはさまざまな種類があり、焼酎には白麹・黒麹(黒麹菌)・黄麹、泡盛には黒麹、紹興酒には赤麹が用いられるのが通常だが、日本酒の場合は味噌、味醂、醤油と同じく黄麹(きこうじ、黄麹菌・黄色麹菌)が用いられる。ただし、「黄」と言っても実際の色は緑色や黄緑色に近い。 酒造会社が使う麹や酒蔵に以前から定着している微生物以外の納豆菌や雑菌などは、酒に悪影響を与える。特に納豆菌が麹米に繁殖すると、スベリ麹と呼ばれるヌルヌルした納豆のような麹になる。このため見学者らに来訪直前は納豆を食べないよう求める造り酒屋もあり、また酒造期の蔵人が納豆を食さない所もある。 日本で用いられる麹は、肉眼で見る限り米粒そのままの形状をしており、散麹(ばらこうじ)と呼ばれる。それに対して、中国など他の東洋諸国で用いられる麹は餅麹(もちこうじ)と呼ばれ、原料となる米・麦など穀物の粉に水を加えて練り固めたものに自然界に存在するクモノスカビやケカビの胞子が付着・繁殖してできるものである。
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麹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:54 UTC 版)
米のデンプンをブドウ糖に変えるための仕込みには、主にアスペルギルス属(Aspergillus)の3種の麹が使い分けられる。専門の種麹メーカー(もやし屋)から種麹を入手して使用する。 黄麹(きこうじ) - 蒸した米にコウジカビ(Aspergillus oryzae)を繁殖させたもの。胞子の色が黄土色から緑色を呈する。清酒、味噌、醤油など、日本の本土で発酵食品に多用されている。独特の華やかな香りを産み出す。旧来の薩摩芋焼酎や明治、大正時代の奄美の各種焼酎にも使われたが、現在はやんご花、碧い海、瓶仕込など、ごく一部の銘柄に限られる。 黒麹(くろこうじ) - 蒸した米にアワモリコウジカビ(Aspergillus luchuensis)を繁殖させたもの。コロニーは胞子の性質で黒く見える。琉球泡盛の製造に伝統的に用いられているもので、黄麹に代わって使い始められた。重厚な風味がでるため、コクのある、個性の強い焼酎になる。龍宮、まーらん舟、らんかん、うかれけんむん、黒麹彌生不濾過、氣黒こうじ仕込、あじゃ黒、黒奄美、俊寛、壱乃醸朝日、陽出る國の銘酒、黒潮、めんしょりなどが使っている。芋焼酎、麦焼酎などに利用される例もでている。クエン酸を生成する性質があり、高い気温条件に強い。 白麹(しろこうじ) - 白麹と呼ばれるものには黄麹の変種もあるが、黒糖焼酎を含む焼酎に用いられているのは1910年に河内源一郎が黒麹から分離した突然変異の変種カワチコウジカビ(Aspergillus luchuensis mut. kawachii。通称河内菌)である。胞子は純白ではなく、淡いベージュ色。軽い風味で、すっきりと飲みやすく、柔らかい口当たりの焼酎になるだけでなく、黒麹同様に品質も安定するため、現在の黒糖焼酎や芋焼酎などの主流として大多数の製品に使われている。木樽熟成して樽の風味を生かすのにも適する。西平本家、西平酒造などが最初に使い始めて広がった。
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麴
麹
麴
麹
「 麹」の例文・使い方・用例・文例
- 麹を寝かす
- 麹屋
- 発酵している大豆と大麦か麹から作られた密度の濃い練り物
- 稲麹病という,稲の病気
- 清酒造りに使う麹
- 麹色という色
- 麹黴というかび
- 麹菌というかび
- 麹黴の発酵により生じる有機酸
- 麹漬けという食べ物
- 麹菌が繁殖して胞子が付き,淡黄色になったもの
- 麹味噌という食品
- 麹室という設備
- 麹を作る種として,蒸米などに麹菌を繁殖させたもの
- 練り麹という,麹に塩と煮つめた酒を加えて練り混ぜた食品
- 生干しダイコンを薄塩と麹,みりんなどで漬けた食品
- 麦麹という食品
- 麹を蒸しかもす室
- 上等な麹と白米とからつくった上等の酒
- 味噌をつくるための麹
麴と同じ種類の言葉
- >> 「麴」を含む用語の索引
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