Aspergillusとは? わかりやすく解説

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アスペルギルス【(ラテン)Aspergillus】

読み方:あすぺるぎるす

コウジカビ学名


アスペルギルス

同義/類義語:コウジカビ, コウジ菌, 麹菌
英訳・(英)同義/類義語:Aspergillus, Aspergillus oryzae

糸状菌類に属すカビ一群で、古くから人間の生活や研究用利用されており、コウジカビクロカビなどが含まれる2005年コウジ菌の全ゲノム構造決定された。

アスペルギルス


アスペルギルス(属) [Aspergillus]

 真菌(かび)の中の不完全菌類の1属で、コウジカビ属ともいわれるアスペルギルス属のかびの中でも黒かびアスペルギルス・ニガー(A.niger)や麹かびアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)は食品とくに酒、焼酎味噌醤油味醂(みりん)、甘酒などを製造する際に有用であるが、前者タマネギヤマイモニンニクチューリップなどの黒かび病菌として農業園芸上でも重要である。
  後者醸造食品のほかにアミラーゼ(デンプン分解酵素: amylase)やプロテアーゼ(タンパク質分解酵素: protease)などの製造にも利用されている。また、薄緑色のアスペルギルス・グラウカス(A.glaucus)などは食品の腐敗である。アスペルギルス属のかびは自然界広く分布し一般に果物野菜パンなどにもよく生え黒かびその1種である。
   形態的には隔壁のある無色分岐した長い菌糸をもち、菌糸から伸びる分生芽胞柄の先端肥大した頂嚢から更子となり、さらに分生芽胞(分生子)ができる。その分芽胞の色は菌種違い黄色緑色褐色黒色などである。

麹かび(コウジカビ) [Koji mold,Aspergillus]

 一般的には酒類味噌醤油味醂(みりん)、甘酒などの製造利用されているかびを麹かびとよんでいる。分類上で真菌の中の不完全菌類含まれるアスペルギルス属(コウジカビ属)のかびをいう。黒麹かび、黄麹かび、白麹かびのほかに黄緑色青緑色褐色などのかびもあるが、多く食品工業発酵工業では黄麹かびアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の変異株使用されている。また、アスペルギルス・ソジェ(A.sojae)も醤油製造に、黒麹かびアスペルギルス・ニガー(A.niger)は発酵工業種々の酵素のほかクエン酸グルコン酸製造有用である。

コウジカビ

(Aspergillus から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 22:37 UTC 版)

コウジカビ(麹黴)は、アスペルギルス (Aspergillus) 属に分類されるごく普通の不完全菌の一群である。1876年にヘルマン・アールブルクにより麹から微生物として分離された[1]。このうち一部のものがとして味噌醤油日本酒を作るために用いられてきたことからこの名が付いた。


  1. ^ 村上英也、「アスペルギルス・オリゼーの発見 コウジカビの独立性」 『日本釀造協會雜誌』 1971年 66巻 2号 p.117-121, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.66.117, 日本醸造協会
  2. ^ 醸造の知識あれこれ 参考書「改定醸造学」と書いてある。
  3. ^ 松浦慎治, 中野政弘、「種麹に関する研究(第10報)」『日本食品工業学会誌』 1962年 9巻 9号 p.396-402, doi:10.3136/nskkk1962.9.396, 日本食品科学工学会
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n 萩原大祐「アスペルギルス属糸状菌:国民的fungal group」 生物工学会誌 第98巻 第8号(2020)続・生物工学基礎講座―バイオよもやま話―、2022年3月26日閲覧。
  5. ^ a b 加藤直樹, 徳岡昌文, 篠原靖智 ほか、「麹菌においてマイコトキシン生産を防ぐセーフガードとシクロピアゾン酸生合成機構」『マイコトキシン』 2014年 64巻 2号 p.197-206, doi:10.2520/myco.64.197, 日本マイコトキシン学会
  6. ^ 町田雅之、「麹菌とゲノム解析(レーダー)」『化学と教育』 2006年 54巻 7号 p.392-393, doi:10.20665/kakyoshi.54.7_392, 日本化学会
  7. ^ 麹菌のゲノム解析を完了 2005/12/22 産業技術総合研究所
  8. ^ 一 英治、「日本の国菌コウジキン」『日本醸造協会誌』 2004年 99巻 2号 p.83, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.99.83, 日本醸造協会
  9. ^ a b c Declaration 日本醸造学会、2022年3月26日閲覧。
  10. ^ a b c 後藤哲久、「ビギナーズラック:Aspergillus section Flavi」『マイコトキシン』 2016年 66巻 1号 p.57-62, doi:10.2520/myco.66.57, 日本マイコトキシン学会
  11. ^ アフラトキシン非生産の証明キッコーマンHP
  12. ^ 加藤直樹、徳岡昌文、篠原靖智, 徳岡昌文, 篠原靖智 ほか、「麹菌においてマイコトキシン生産を防ぐセーフガードとシクロピアゾン酸生合成機構」『マイコトキシン』 2014年 64巻 2号 p.197-206, doi:10.2520/myco.64.197, 日本マイコトキシン学会
  13. ^ 松戸隆直、醤油の安全性に関する有機分析化学的研究 東京大学 学位論文要旨 N o.212123 , 1995
  14. ^ 資料No.1-3 コウジ酸を含有する医薬部外品 (PDF) 厚生労働省
  15. ^ “Sexual structures in Aspergillus: morphology, importance and genomics”. Med. Mycol. 47 Suppl 1: S21–6. (2009). doi:10.1080/13693780802139859. PMID 18608901. https://academic.oup.com/mmy/article-lookup/doi/10.1080/13693780802139859. 




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