ISO 9000 検証と妥当性確認 (Verification and Validation)

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ISO 9000

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 06:00 UTC 版)

検証と妥当性確認 (Verification and Validation)

ISO 9000シリーズでは、検証と妥当性確認を以下のように定義している。

検証 (Verification)
客観的証拠を提示することによって、規定要求事項が満たされていることを確認すること。
妥当性確認 (Validation)
客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に関する要求事項が満たされていることを確認すること。

他のISO 9000シリーズの規格

2013年現在、ISO 9000シリーズを構成するとされる規格は、ISO 9001:2008の他に以下のようなものがある[33][注 1]

ISO 9000

ISO 9000国際標準化機構が制定する品質管理システムの基礎と用語に関する規格である。

規格番号は9000、名称は「Quality management systems — Fundamentals and vocabulary」である。ISO 9000シリーズ "Quality management systems" の1つ。本規格は品質管理システムの基本的な考え方を示し用語を定義している。例えば、八つの品質マネジメントの原則がISO 9000 シリーズの基礎をなしていることは、この規格で説明されている[30]

対応する日本産業規格は「JIS Q 9000 品質マネジメントシステム − 基本及び用語」である。

表. 改訂歴
名称 発行年 対応JIS
ISO 9000:2015 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary 2015-09 JIS Q 9000:2015
ISO 9000:2005 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary 2005-09 JIS Q 9000:2006
ISO 9000:2000 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary 2000-12
ISO 8402:1994 Quality management and quality assurance — Vocabulary 1994-03
ISO 8402:1986 Quality — Vocabulary 1986-06

ISO 9004 2009 組織の持続的成功のための管理方法-品質マネジメントアプローチ

本規格は組織が持続的な成功を実現するための手引きである[34]。品質マネジメントシステムの持続的な成功とは、顧客や関係者の期待や必要に合った製品を長期にわたって持続的に供給できるということである。このことは組織の効率的なマネジメントによって実現することができる[34]。ISO 9001:2000とは相互補完関係にあり[35]、ISO 9001:2000 と容易に比較・対象できるようによく似た構成になっている。

ISO 19011 2011 マネジメントシステム監査の指針

これはマネジメントシステム監査一般の指針で、品質マネジメントシステム以外にも、環境マネジメントシステム(ISO 14001)やサプライチェーン安全マネジメントシステム(ISO 28000)など他のマネジメントシステムの監査にも共通して使用する規格である。ただし、第三者機関によるマネジメントシステム認証のための監査は2011年度版からは外され、内部監査(自分の組織の自己監査)とサプライヤーに対する監査を対象にしている[36]。第三者機関によるマネジメントシステム認証の監査の指針は、2006年に発効されたISO/IEC 17021(2013年現在の最新版はISO/ICE 17021:2011)が対象としている[36]

ISO 9000シリーズを取り入れた産業別の独自規格

ISO 9001は様々な産業に適用することを想定しているため、特定の産業に対しては不十分であると考えられることもある。そのような場合に、ISO 9001を土台にし、それに変更・追加を加えた規格を各産業で独自に制定する場合がある。自動車業界は、このようなISO 9001ないしISO 9000シリーズを土台にした業界独自の品質マネジメントシステムの規格・制定を早い時期から始めていた。1991年にはVDA(ドイツ自動車工業会)がVDA6.1を発表した。これは当時のDIN EN ISO 9004 を基準にしたチェックシートで、新しい要求事項を付け加えることを意図したものではないが、自動車部品メーカーの品質管理システムを監査するために作られているので[37]、自動車業界の標準的な考え方が反映されている。1994年にはアメリカのクライスラーフォードゼネラルモーターズが統一の品質マネジメントシステム規格、QS-9000を発表した。これはISO 9000:1994の4章を発展させたもので、クライスラーのサプライヤー品質保証マニュアル、フォードのQ-101 品質システム規格、 ゼネラルモーターズのターゲット・フォー・エクセレンス(優秀たることへの目標)の内容も網羅している[38]。その後、欧米の主要な自動車生産国の自動車工業会と各メーカーがIATF(国際自動車タスクフォース)を結成し、統一の品質管理システムの仕様[注 2]である ISO/TS 16949 を作成した。

他の産業でも以下のような、ISO 9000 (特に ISO 9001 ) を発展させた独自の規格が制定されている。

  • TickIT: 情報技術、ソフトウェアに関する品質管理システムのガイドライン。
  • AS/EN/JIS Q 9100: 航空宇宙産業の品質管理システム規格
  • TL 9000: 電話・通信産業の品質管理システム規格
  • ISO 13485: 医療機器製造に関する品質管理システム規格
  • ISO/IEC 90003: ソフトウェア業界の品質管理システム規格
  • ISO/TS 29001: 石油化学業界の品質管理システム規格

注釈

  1. ^ ISO/TC176技術委員会が作成したものをISO 9000ファミリーと考えるのであれば、ここに挙げた4つにとどまらない。ISO/TC 176 - Quality management and quality assuranceを参照のこと。
  2. ^ 規格ではなく、仕様と名付けられている

出典

  1. ^ "3.6.1 対象(object)... 認識できるもの又は考えられるもの全て。 例 製品 ... サービス ... 組織 ... システム" JIS Q 9000:2015
  2. ^ "“本来備わっている”とは,あるものに内在していること,特に,永久不変の特性として内在していることを意味する。"
  3. ^ "3.10.1 特性 ... 特性には,次に示すように様々な種類がある ... 感覚的(例 嗅覚,触覚,味覚 ..." JIS Q 9000:2015.
  4. ^ "3.6.4 要求事項 ... 明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ又は期待。" JIS Q 9000:2015.
  5. ^ Hoyle、p.7
  6. ^ 久米、p.37
  7. ^ ISO 9000:2005, 3.4.2
  8. ^ Kiliński、pp.13-14.
  9. ^ "3.3.11 活動(activity)... 明確にされた作業の最小の対象" JIS Q9000:2015
  10. ^ "活動の中には,あらかじめ定められ,組織の目標についての理解によって決まるものがあるが,他方で,あらかじめ定められておらず,外部からの刺激に応じてその性質及び実行を決定するものもある。" JIS Q9000:2015
  11. ^ "3.4.1 プロセス(process) インプットを使用して意図した結果を生み出す,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。" JIS Q9000:2015
  12. ^ "活動を,首尾一貫したシステムとして機能する相互に関連するプロセスであると理解し" JIS Q9000:2015
  13. ^ "プロセスでは,インプットを用いてアウトプットを出すための相互に関連する活動が行われる。" JIS Q9000:2015
  14. ^ "プロセスアプローチ  活動及び関連する資源が一つのプロセスとして運営管理されるとき,望まれる結果がより効率よく達成される。" JIS Q9000:2006
  15. ^ '組織内で用いられるプロセス ... を体系的に明確にし,運営管理することを“プロセスアプローチ”と呼ぶ。' JIS Q9000:2006
  16. ^ J. P. Womack, et al. p.26.
  17. ^ Tidd J., Bessant J., Web resources, p.2.
  18. ^ J. P. Womack, et al. p.25.
  19. ^ REGURATORY GUIDE 1.28, p.1.
  20. ^ Carter, p.3.
  21. ^ ISO/TC 176 Quality management and quality assurance
  22. ^ Carter, p.4.
  23. ^ 『ISO9001の2008年改訂について』
  24. ^ ISO 9000 - Quality management
  25. ^ Hamrol, pp.176-177.
  26. ^ a b E. Noveh, P23.
  27. ^ F. Buttle, p.945.
  28. ^ E. NAVEH, et al., p.24.
  29. ^ ISO/TC 176/SC 2N 376
  30. ^ a b ISO 9000:2005 0.2.
  31. ^ Hoyle、p.22.
  32. ^ Hoyle、pp.22-23.
  33. ^ ISO 9000:2005, 0.1.
  34. ^ a b ISO 9004:2009 Introduction.
  35. ^ ISO 9001:2008, 0.3.
  36. ^ a b ISO 19011:2011 Introduction
  37. ^ Hoyle, p.101
  38. ^ QS-9000:1994 Introduction.






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