校正 校正の過程

校正

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 06:21 UTC 版)

校正の過程

以下に、出版において行われる一般的な校正の過程を述べる。

  1. 初校(しょこう)
    版下(はんした)を作成する印刷の場合には版下のコピー、DTP(電子卓上出版)の場合にはプリンター出力、活版印刷の場合には活字を組み上げて刷った試し刷り(ゲラ刷り)を、原稿と突き合わせる。また、突き合わせの後で素読み(ゲラのほうだけを読んだときに不具合を感じるかどうかのチェック)を行う。レイアウト、デザインのチェックもここで行う。
  2. 再校(さいこう)
    初校の修正を反映したゲラ(再校紙)と初校とを突き合わせて、初校の修正が確実に行われていることをチェックする。
  3. 三校(さんこう)
    三校紙を再校紙と突き合わせる。回数はこれ以上に及ぶこともあり、四校、五校、……と続く。この過程は、特に慎重を要する場合に行われる。念のためということから「念校」(ねんこう)ということもある[3]
  4. 著者校(ちょしゃこう)
    ひと通り校正し終わった後の刷り原稿を、著者自身が確認する過程。著者が意図した表現が意に沿わぬ修正をされていた場合、表現を復元することもある[注釈 2]。編集の日程や校正の進行により、1回から数回行われる。
  5. 青焼き(あおやき)、清刷(きよずり)、色校正(いろこうせい)
    フィルム製版をする場合に、製版した後の状態をチェックする。黒1色刷りの場合には、フィルムの青写真青焼き)を取って、これを再校紙や三校紙と突き合わせ、また網掛けなどの製版指示が指示どおりに行われているかどうかを確認する。その他の場合には、清刷と呼ばれる、感光剤を塗布したアルミ板(PS版)に画像を密着転写し[注釈 3]、後に実作業を行う予定の印刷機による試し刷り(本機校正)を行い、ここで色合いを含めてチェックする。通常は色校正の段階で清刷まで作成することはなく、PS版を使用することは本機校正と同じでも、機械構造を簡略化・変換したコロタイプ式の校正用印刷機で色校正刷りや色校正紙を作成する。これは、上記の文字組み校正と同様に、初校・再校・三校・……と続く場合もある。なお、印刷工程を経ずに、写真技術を応用・利用した色校正術も利用される。
  6. 校了(こうりょう)
    校了とは、校正完了の略語である。校正の責任者が、最終チェックを行って、そこに誤りがないことを確認した、という意味である。なお、「責了」(せきりょう)とは責任校了の略語であり、校正責任者が誤りを発見したが、指示した修正が修正者の責任によって修正されるのを条件に「校了」とする、という意味である[4]
  7. 印刷現場における修正
    緊急の場合に、印刷現場で修正を行うことがある。文字などを削ることしかできないので体裁が悪くなりがちだが、それでも印刷されるよりよいという場合にこの措置がとられる。新聞記事で稀に何字分かの空白部分があるのは、この痕跡と思われる。

注釈

  1. ^ ヒキタクニオ『角』(光文社文庫、2005年)では角の生えた麻起子の上司が「日本語は我々潮光社校閲部が守る!」という気概をもっている設定だった[要ページ番号]
  2. ^ オノレ・ド・バルザックはしばしばこの段階で多大な変更を行ったので、十校以上にも及ぶことがあり、植字工・校正者泣かせであった[要出典]
  3. ^ フィルムから直接印刷することは、印刷の原理上できない。

出典

  1. ^ 色校”. 賢者の印刷用語集. ウイル・コーポレーション. 2024年1月15日閲覧。
  2. ^ 福地源一郎『『懐往事談』附録の「新聞紙実歴」』改造社(文庫)、1941年、197-200頁。 
  3. ^ 宮木あや子校閲ガールKADOKAWA、2014年、44頁。 
  4. ^ 責了”. 賢者の印刷用語集. ウイル・コーポレーション. 2024年1月15日閲覧。


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