放線菌 感染症

放線菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 01:34 UTC 版)

感染症

口腔、咽頭、腸管の常在菌であることから、放線菌症と呼ばれる慢性の化膿性肉芽疾患を発症することがある[12]

ヒトでの好発部位は頸部、顔面、副鼻腔[13]で全体の半数を占めるとされる[14] が、[14][15]、腹部(腸管[16])では急性虫垂炎、消化性潰瘍、腸憩室穿孔に併発することもある[17][18]。しかし、抗生物質の乱用から発症頻度は減少し、典型的な臨床症状を呈さない症例が増加していると指摘されている[19]

ヒトに対し病原性を及ぼす嫌気性放線菌は少なくとも Actiomyces (以下A.と略す)israelii, A. naeslundii, A. viscosus, A. odontolyticus, Arachnia propionica (→ Pseudopropionibacterium propionicum に再分類されている)の5種類とされる。特に病原菌として問題となるのものは アクチノマイセス属A. israelii である。A. israelii は自然界からは分離されず、健康人の口腔、う蝕を生じている歯(う蝕)、歯垢、扁桃窩等に常在細菌叢として生息している。放線菌活性化の要因として、免疫力低下、他の菌による感染症、抜歯、顎骨骨折、外傷[20]などがあげられる[12]、 誤嚥された魚骨片が原因となる事も有る[17]

確定診断は培養により細菌学的な証明によって行われるが、嫌気性で有るため検出が難しく、且つ既に別の疾患や外科手術で抗生物質を使用している場合は検出が困難な場合があるが、病理組織学的検査(顕微鏡検査)により確定が可能である[12]

治療は、ペニシリン系抗生物質が多く使用されるが、セファロスポリンなどのセフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質カルバペネム系抗生物質[21]ニューキノロン系抗生物質も使用される[12]


  1. ^ Harz CO (1877-1878). “Actinomyces bovis, ein neuer Schimmel in den Geweben des Rindes”. Deutsche Zeitschrift für Thiermedizin 5: 125-140. 
  2. ^ R. E. Buchanan (1 March 1917). “STUDIES IN THE NOMENCLATURE AND CLASSIFICATION OF THE BACTERIA II. THE PRIMARY SUBDIVISIONS OF THE SCHIZOMYCETES”. Journal of Bacteriology 2 (2): 155-64. doi:10.1128/jb.2.2.155-164.1917. PMC 378699. PMID 16558735. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC378699/. 
  3. ^ Phylum Actinomycetota”. List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature. 2023年1月12日閲覧。
  4. ^ a b 鈴木伸一、幻の放線菌を探せ 新薬天然物探索ソースとしての放線菌 化学と生物 Vol.44 (2006) No.3 P163-171, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.44.163
  5. ^ a b c 齋藤明広「キチン分解の分子微生物学と土壌微生物学」『土と微生物』第68巻第2号、2014年、79-80頁、doi:10.18946/jssm.68.2_79 
  6. ^ a b 『図解でよくわかる土壌微生物の基本』pp24-25.
  7. ^ 高麗寛紀 (2013年11月6日). よくわかる微生物学の基本と仕組み. 秀和システム. pp. 58. ISBN 978-4-7980-3963-3 
  8. ^ よくわかる微生物学p59
  9. ^ a b よくわかる微生物学p60
  10. ^ 『よくわかる微生物学』p61
  11. ^ 山中高史、岡部宏秋「ヤマハンノキの根粒から分離されたフランキア菌」『日本林學會誌』第77巻第3号、一般社団法人日本森林学会、1995年5月1日、269-271頁、NAID 110002830676 
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  13. ^ 山崎芳樹、岡崎千重『前頭洞放線菌症例について』 耳鼻咽喉科, 44巻 9号,p.605-610, 1972/9/20
  14. ^ a b 駒林優樹、片田彰博、野村研一郎ほか、舌放線菌症の1例 口腔・咽頭科 Vol.15 (2002-2003) No.1 P.77
  15. ^ 森田志保、本田泰人、藤島卓哉ほか、経気管支肺生検で診断し得た肺放線菌症の1例 日本胸部疾患学会雑誌 Vol.32 (1994) No.7 P. 676-679, doi:10.11389/jjrs1963.32.676
  16. ^ 伊藤浩信、中村眞一、岡本和美ほか、虫垂周囲放線菌症の1例 日本臨床外科医学会雑誌 Vol.58 (1997) No.9 P.2080-2083, doi:10.3919/ringe1963.58.2080
  17. ^ a b 菅淳一、上田祐滋、亀井隆史ほか、『誤嚥された魚骨片により惹起された腹壁放線菌症の1例』 臨床外科 39巻 4号, p. 551-553, 1984/4/20
  18. ^ 齋藤孝晶、小谷野憲一、松田巌、小児における腹部放線菌症の1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.64 (2003) No.2 P.474-478, doi:10.3919/jjsa.64.474
  19. ^ 木村幸紀、荒木和之、花澤智美ほか、顎放線菌症のCT・US所見 歯科放射線 Vol.41 (2001) No.4 P.231-239, doi:10.11242/dentalradiology1960.41.231
  20. ^ 貴島孝、白尾一定、桑畑太作ほか、大網放線菌症の1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.75 (2014) No.9 p.2569-2573, doi:10.3919/jjsa.75.2569
  21. ^ 前島将之、安藤俊史、佐藤泰則、医原性異物に関連して発症した上顎洞放線菌症の1例 日本口腔外科学会雑誌 Vol.52 (2006) No.10 P.523-526, doi:10.5794/jjoms.52.523
  22. ^ George Garrity, ed (2005). Bergey's Manual of Systematic Bacteriology Volume 2 : The Proteobacteria. Springer US. ISBN 978-0-387-29299-1 
  23. ^ 'The All-Species Living Tree' Project.16S rRNA-based LTP release 123 (full tree)”. Silva Comprehensive Ribosomal RNA Database. 2016年3月20日閲覧。


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