A事件(第1の事件)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:12 UTC 版)
「広島タクシー運転手連続殺人事件」の記事における「A事件(第1の事件)」の解説
事件発生:1996年4月18日22時50分ごろ(殺害時刻) 被害者:少女A(事件当時16歳の女子高生・広島県賀茂郡黒瀬町切田在住 / 広島県立広高等学校定時制課程1年生) - 1995年(平成7年)に地元の中学校を卒業してから町内の美容院などで働き、1996年4月9日に広高校定時制の入学式へ出席したが、4月17日(事件前日)に広島県安芸郡音戸町(現:呉市)内から自宅に電話して以降は消息が途絶えた。Aの上下6番目の大臼歯4本には治療痕があり、歯も下側5番目の小臼歯2本が「先天性欠如歯」だったため、それが身元確認の決め手となった。 殺害現場:広島県呉市上二河町・広島県道31号呉平谷線沿い空き地 死体遺棄現場:広島県広島市安佐南区沼田町大塚・林道脇側溝(幅1.5 m×深さ1 m / 水深10 cm) Hは勤務中の1996年4月18日20時に流川・薬研堀一帯をタクシーで流し、売春・援助交際のメッカとして知られていた新天地公園を通りかかった際、公園で少女Aを見つけ「遊ばないか?」と声を掛けた。被害者Aが料金2万円で応じたため、HはAをタクシーに誘い乗車させるとコンビニエンスストアで缶ビールを購入し、21時ごろに広島駅付近のラブホテルに入った。そのまま2人で缶ビールを飲み、HはAに2万円を渡したが、Aは身の上話として「行方不明になった父親の借金を返済するため大阪から広島まで働きに来た。あと10万円返せば完済できる。今日はその返済日だから10万円を用意して、広島駅から呉駅(呉市)に行く」と話した。Hはこの話を聞いて内心「やられた」と思いつつも「なんか(セックス)するのは悪いね」と言ってAに呉市まで送っていくことを約束し、Aをタクシーの助手席に乗せ、呉市(広島市中心街から約20 km先)方面へタクシーを走らせた。 しかしその途中でHは「Aの言う通り所持金が10万円なら、自分の渡した2万円を足して計12万円あるはずだ。それだけあれば今月の借金の返済は賄える。身寄りのないよそ者なら殺して金を奪っても発覚しないだろうから好都合だ」と考えたが、「窃盗を行い発覚すれば被害届を出されて逮捕される。しかし『身寄りが大阪にしかない』という話が本当ならば、殺して山に遺体を隠せば発見されないだろう。もし遺体が発見されても自分とは接点はないから、自分が疑われることはない」と考え、最終的に「いっそ(Aを)殺して(金を)奪ってしまおう」と決意した。呉市街地の街灯りが見えるようになったところ、Hは人気のない道に乗り入れて殺害現場の空き地でタクシーを停車し、タクシーのエンジンの仕組みを知らない被害者Aを油断させる目的で、燃料切り替えスイッチの操作だけでエンジンが自動的に停止するタクシーの仕組みを悪用してエンストを装った。その上で後部座席にいた被害者Aに対し修理を口実に「エンジンの調子が悪い。配線をチェックしたいから足元のシートをめくってくれ」と声を掛けた。 22時50分、被害者Aが身をかがめて後部座席に回ったところ、Hはネクタイを緩めて運転席を降り、背後から被害者Aに忍び寄るとネクタイをAの首に巻き付けて絞めつけ、被害者Aを窒息死させて絞殺した。Hは被害者Aを殺害した直後「咄嗟の判断でやったにしてはうまくいった」と思いながら被害者Aの所持品を物色したが、Aが所持していた現金は5万円しかなかったため「嵌められた」と立腹した。Hはその現金約5万円を奪った上で、23時ごろにはタクシーにAの遺体を乗せたまま殺害現場を立ち去った。そして約25 km離れた広島市安佐南区内(遺体遺棄現場)まで戻り、翌日未明には身元判明を防ぐためにAの遺体から衣服を剥がして全裸にした上で、遺体を用水路土管内に遺棄した。 HはAの遺体を遺棄後にタクシー会社まで戻って虚偽の運転日報を作ったが、奪った金を遣って広島市中区内の繁華街で飲酒した後に自分の軽自動車を飲酒運転し、翌日(1996年4月19日)早朝には広島市中区流川の路上で駐車してあった原動機付自転車(原付)に衝突する物損事故を起こし、同日9時ごろに通報を受けて駆け付けた広島東警察署(広島県警察)管内交番の警察官がそのまま車内で寝ていたHを発見した。Hは事情聴取できないほどに泥酔していたが、目撃者がいなかったことから飲酒運転が立証できなかったため立件されず、結局は交番がHの勤務先(広島市東区内のタクシー会社)に連絡し、上司にHを連れて帰らせた。 1996年4月20日、Hは遺体遺棄現場に2回行き遺体がうまく隠されていることを確認した。前述のように被害者AはHに「大阪在住」と話していたため、Hは「殺しても(身元は)発覚しないだろう」と考えていたが、殺害から18日後の1996年5月6日に少女の遺体が発見され、後述のように広島県警広島北警察署(現:安佐南警察署)は殺人・死体遺棄事件として捜査を開始した。遺体発見・身元判明をニュースで知ったHは「大阪の女じゃなかったのか」と驚き、同時に「自分の身辺に捜査の手が迫るかもしれない」と考えた。それ以降は「(Aが自分と)同じ県内に住んでいたなら自分も疑われて逮捕されるかもしれない」と恐怖していたが、やがて時間が経過するにつれてA事件の報道は少なくなっていた一方、Hの周囲に警察の動きはなかったため、1996年7月ごろには「警察の捜査能力にも限界がある。セックスを商売にしている行きずりの女なら自分と接点はないし、行方不明になっても捜索願は出ないだろうから自分が逮捕される不安はない」と安堵して自信を深めるようになっていた。
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