2被告人に無期懲役を宣告とは? わかりやすく解説

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2被告人に無期懲役を宣告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 00:14 UTC 版)

闇サイト殺人事件」の記事における「2被告人に無期懲役を宣告」の解説

2011年平成23年4月12日第5回公判判決宣告された。名古屋高裁刑事第2部下山保男裁判長)は原判決のうち、堀を死刑とした部分破棄し、堀を無期懲役処す判決言い渡したまた、「山下」については原判決無期懲役)を支持し検察官弁護人双方からなされていた控訴いずれも棄却する判決言い渡した名古屋高裁 (2011) は、両被告人からなされていた法令違反および事実誤認の主張いずれも退け前述)、情状についても原判決同様の趣旨認定した一方量刑について検討した原判決判断名古屋高裁 (2011) の判断事件性質インターネット通じて知り合った素性知らない同士による犯罪凶悪化・巧妙化しやすく、匿名性が高いため、発見も困難であり、模倣性が高い。本件は、まさにこの種の犯罪が持つ危険性現実化したもので、社会安全に与え影響大きく一般予防必要性誠に高い。 インターネット通じて知り合った素性知らない同士による犯罪は、素性知っている同士による共犯事案比べ意思疎通不十分さなどから、犯行失敗終わりやすい側面もある。また、携帯電話通話メール履歴と言った痕跡が残るため、格段に犯罪者発見などが困難であるとも言い難く原判決が言うほど「検挙困難で模倣性が高い犯罪」ともいえない本件においては大まかな犯行計画立てられていたが、その計画綿密なものではなく、さほど巧妙とまではいえず、原判決指摘するほど「犯罪巧妙化につながりやすい」とはいえない。以上より原判決が「本件特色」として指摘する点を強調し、他の強盗殺人などの事案より特に厳罰をもって臨む必要性が高いとしている点は相当ではない。 殺害方法残虐性殺害方法残虐さを増したのは、殺害手間取った結果とはいえ、3人とも残虐な方法であることを十分に承知しながら実行行為及んでいるため、より綿密詳細な計画立て意図的に残虐な方法取った事案ほど有利に斟酌すべきではない。 死刑選択に当たり、格別慎重を期するべき究極刑罰であることに鑑みれば、原判決は、死刑選択当否最終手段として各般情状総合考慮する際、「殺害方法などについて詳細な計画定めておらず、当初から意図的に残虐な方法取ったものではない」という点も考慮に入れるべきなのに、総合考慮をする前に、(左のように)その点を総合考慮枠外としており、その点は是認できない役割軽重計画段階殺害の実行行為場面とも、KTが最も重要な役割果たしたが、堀・「山下」の両被告人とも、KT知識経験等を積極的に利用し、自らの利欲目的満たそう主体的な判断をした。その上で前者犯罪計画提案被害者への脅迫および殺害行為積極的に行ったほか、後者サイトへの投稿で人を集め強姦行為にまで着手した。3人の間に刑種選択分かつほどの役割軽重差異は見いだせない。 被告人役割量刑およびその理由殺害行為に関しては、「KT主犯2人従属的だった」と言えるほど役割大きな差はないが、2人ともKTの「拉致した女性最終的に殺害する」という提案安易に応じた側面があり、殺害共謀成立する前からそのような意思有していたとはいえない。特に「山下」運転席座っていたという位置関係影響もあったが、殺害行為への直接的な関与度合いKT・堀の両者より低い。このように、両被告人殺害行為に関して果たした役割には、KTとの間に差があることは否定できず、原判決がその点を考慮せずに「3人の間に刑種の選択分かつほどの役割軽重差異認められない」と断じたことは相当ではない。 死刑無期懲役犯行大筋決定などに大きな影響与え被害者殺害量刑判断に当たり最も重要な点)についてもKT次いで積極的な役割果たしてはいるが、その役割KTと全く同等にまで見ることはできない。 2被告人とも、本件ではさしたる躊躇もなく、強盗殺人などという重大凶悪な事件加担しているため、犯罪への抵抗感希薄であることは否定できない。しかし、2人とも粗暴犯凶悪犯前科はなく、これまでの生活歴見ても、本件以外に凶悪犯罪への傾向を示すものは見当たらないことなどに照らせば、犯罪性向が強いとはいえず、矯正可能性もあると考えられる。以上の全体情状個別情状併せて検討し死刑選択格別慎重を期すべき究極刑罰であることを考慮すれば、殺害され被害者が1名である本件では、死刑選択やむを得ないと言えるほどほかの量刑要素悪質とは断じ難く死刑処すことにはなお躊躇覚えざるを得ない。そのため、無期懲役処して終生被害者冥福を祈らせて贖罪当たらせることが相当である。 「山下」無期懲役原判決と同じ)。サイトへの投稿によって事件きっかけ作るなどしたほか、殺害行為一部分担したが、前者についてはKT・堀の両者主体的な判断「山下」からの誘い応じた点や、当初は3人とも殺人を全く考えていなかったことなどに照らせば、この点は、強盗殺人中心とする本件量刑判断において殊更に重要な事情ではない。また単独強盗強姦未遂に、「杉浦とともに建造物侵入窃盗などの犯行におよんではいるが、殺害行為についてはKT・堀より関与度合いは低い上、犯行後自首して事件解決一定の寄与をするなどした点は、量刑当たって相応評価がされるべきだ。 名古屋地裁 (2009) がインターネット犯罪危険性模倣性を重視した一方名古屋高裁 (2011) はその判断枠組否定し2人に重大前科や詳細な殺害計画がない点などを挙げた上で、(「永山基準」が示され以降死刑判決宣告され事件多く被害者複数場合限られてきた)従来の判例踏襲する形で、極刑回避した前田雅英首都大学東京法科大学院教授)は「本件問題になった闇サイト悪用』は、実際犯罪行為から判断すれば、罪を重くすべき決定的な要素ではなく、『痕跡が残るため、発見は困難ではない』とした名古屋高裁判断一定の合理性がある。殺害され人数などから、死刑とするには特段事情必要な事件で、控訴審判決従来死刑選択基準かなったものだ」と評価した一方土本武司(元最高検察庁検事)は「全体として悪質性強調すべき事件特色過小評価し、『永山基準』に引きずられる形で極刑回避した感が否めない名古屋高裁死刑回避情状として挙げた『堀の更生可能性』『「山下」犯行後自首』は過大評価すべきでない」と指摘した宇田幸生犯罪被害者支援弁護士フォーラム会員愛知県弁護士会)は、「犯行は(預金引き出し失敗するなど)さほど巧妙ではなく被害者簡単に絶命しなかったため、殺害の手段を次々変えた結果殺害態様残虐になった」として死刑回避した判決について、「被害者A預金必死に守ろうと、虚偽暗証番号告げたことで犯行失敗終わった。そして、Aは最後まで生きること諦めなかったため、凄惨な方法殺害された」「第一審判決指摘したインターネット通じた犯行グループによる)犯罪特殊性重視しないならば、自首による犯罪発覚効果そこまで重視すべきではないとの考えもできるが、控訴審判決はその点について言及しなかった」と評した上で、「名古屋高裁は『被害者数が1名の場合には死刑回避する』という結論ありき判決宣告したではないか?」と指摘している。

※この「2被告人に無期懲役を宣告」の解説は、「闇サイト殺人事件」の解説の一部です。
「2被告人に無期懲役を宣告」を含む「闇サイト殺人事件」の記事については、「闇サイト殺人事件」の概要を参照ください。

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