種選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 07:30 UTC 版)
種選択の研究は集団内や個体に加わる自然選択の検証では分からない絶滅や進化のパターンを明らかにする可能性がある。エリザベス・ヴルバは種選択に解明すべき一定の法則やパターンがあると考えている。ドーキンスはこの議論を経て、ある系統は他の系統よりも絶滅しにくい場合があるのではないかと考え「進化しやすさの進化」を考慮するようになった。しかしメイナード=スミスはほとんどの適応的な形質を種選択と絶滅によって説明することは量的困難が存在すると述べ、個体選択よりも種選択が重要になるケースはあったとしても多くはないだろうと述べている。 ある種の誕生や絶滅が種選択の結果だと呼べるには条件がある。グールドは種選択がまれではないことを示す例として、干上がる池の魚を例に挙げた。池の乾燥は突発的な出来事であり、それまでの池への適応では対処できない。たまたま低酸素状態や乾燥に強い性質を持っているがそれまでは少数だった種の魚だけが生き残るかも知れない。このような事態は頻繁にありそうである。しかしアヤラは「低酸素や乾燥に強いという性質は種の性質ではなく個体の性質である。それは個体選択だ」と指摘する。種選択が働くために必要な「種が持つ特徴」が実在するかには議論がある。メイナード=スミスは存在するかも知れないと認めたが、マイアは種の持つ形質は全て個体の遺伝子型の一部であると主張した。例えば分散しやすさは種の特徴でもあるが、種を構成する個体の特徴でもある。 また、種選択はそのような現象が起きるとしても、個体選択とは異なり累積しないため、複雑な形質が発達する原動力とはなりそうにない。さらに種選択は提唱されてから30年間、個体選択よりも重要な働きをするという証拠を提示していないという問題がある。
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