骨格
骨
別名:骨格系
【英】:Ossa,Systema skeletale,Bones
これまでの解剖学用語(Nomina Anatomica)では骨、骨格系(Ossa; Systema skeletale)を骨学(Osterlogia)と呼んでいた。 からだの支柱をなす「骨ぐみ」である。多数の「骨」といくらかの「軟骨」がその構成単位をなす器官であり、これらが多くは関節によって可動的に連結されている。骨格には昆虫や甲殻類に見られるような外骨格と、脊柱動物にみられるような内骨格とがある。内骨格の構成単位をなすものは骨という器官で、人体では骨の数は200あまりである。しかし、頭蓋の上部をつくる骨、顔面の骨の大部分、上肢帯の鎖骨は、本来は外骨格性の皮骨が動物の発達の過程で沈下して、内骨格の一部となったものと考えられている。これらの皮骨性の骨は、その形成から見て、その主要部が結合組織からすぐ骨組織がつくられたもの(結合組織骨、膜骨)であって、内骨格性の骨が先に軟骨性の原基を経て骨になる(原始骨、置換骨)のとは区別される。骨組織や軟骨組織は身体の支柱であり、筋とともに身体各部の運動を引き起こす。この支柱を骨格系といい、骨格系と関節系、および骨格筋を合わせて運動器という。また、頭蓋や脊柱はなかに中枢神経組織(脳と脊髄)を入れて、それを保護し、胸郭や、骨盤は内蔵の一部を入れて保護する。骨格系はカルシウムやリンなどの重要な鉱質の貯蔵庫でもある。身体の多くの器官が正しく機能するためにはカルシウムが必要で、血液と骨組織の間で絶えずカルシウムの交換が行われている。また、骨の内部は血液細胞の産生の場である。
骨格系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 18:58 UTC 版)
鳥類の骨および骨格は飛翔に対して高度に適応している。飛び立つ際、止まる際、また飛翔中に骨格にかかる大きな応力に耐える強度を持ち、かつ非常に軽量であり、骨をすべてあわせても全体重の5%程度である。一つの特徴として、尾端骨などにおいて複数の骨が融合、骨化して一つの組織になっていることがあり、それにより他の脊椎動物に比べて鳥類は骨の総数が少ない。さらに歯もなく、厳密にいうと顎もない。それらの代わりに、より軽量なくちばしを備える。多くの種では孵化したばかりの雛鳥のくちばしに、卵歯 (egg tooth) と呼ばれる卵殻を破るための小さな突起が見られるが、これは骨組織ではない。 鳥類の骨では、中空になっているところに多数の支柱が交差していて強度を保持する構造(桁構造)が多く見られる。そういった構造を持つ骨の数は種によって異なるが、大型で滑空するものほど多い傾向にある。また中空に近い構造を持つ骨が気嚢の膨らむスペースを確保している例もある。ペンギンやダチョウなど飛翔を行わない鳥類にはこのような中空の骨はない。この事実は、骨の中空構造が飛翔のための要件であることの傍証と考えられている。 鳥類では、頸椎の数が他の脊椎動物よりも多く、多くの種で13-25個の骨から成っている。また脊椎動物の中で鎖骨や胸骨が融合して、それぞれ叉骨、竜骨突起を持つ胸骨板を形成しているのは鳥類だけである。竜骨突起は飛翔に必要な筋肉の支点となる。ペンギンは飛翔しないが、泳ぐための筋肉がやはり竜骨突起を支点としている。他の飛翔しない鳥類では、大胸筋および小胸筋が飛翔するものに比べて発達しておらず、竜骨突起の存在もはっきりしているとはいえない。胸骨盤は泳ぐ鳥類では広く、地表を歩く鳥類では長い。一方飛翔する鳥類では胸骨盤の幅、長さは同程度である。 鳥類の肋骨には鉤状突起がある。これにより、肋骨が形成する「籠」形状の強度が維持される。ムカシトカゲにも同様の構造が見られる。また鳥類では脊椎の融合により、一部の爬虫類と同様に骨盤の一部が長く伸びている。骨組織の融合は肩帯においても見られる。頭骨は前涙腺窩 (pre-lachrymal fossa) を持つ爬虫類のような双弓類型の頭蓋骨を持っており、後頭顆 (occipital condyle) は1個である。 頭骨は前部(頭頂部)、頂部(後頭部)、前上顎骨および鼻部(上のくちばしの部位)、下顎骨(下のくちばし)の5つの骨から成る。多くの種で、頭骨の重量は体重の1%程度である。 脊柱は脊椎から成り、頸椎(13-16個の骨から成る)、複合仙骨(Synsacrum、脊椎が融合して骨盤とも癒合したもの)、尾骨の3つの部位に分けられる。 胸部は叉骨と烏口骨から成り、肩甲骨と融合して肩帯を形成している。胸部の側面の形状は肋骨が胸骨板とともに形成している。 肩部は胸部の骨格を成す肩帯と上腕骨が形成している。上腕骨は橈骨と尺骨とで肘を形成している。手根骨 (carpus) と中手骨は、手と手首に相当する部位を形成しており、指の骨は互いに融合している。より効率的な飛翔を可能とするため、翼を形成する骨は特に軽量である。 臀部を形成する骨盤は腸骨(骨盤上部)、坐骨(両脇)、恥骨(前部)の3つの部位から成るが、これらは融合して一つの骨組織になっており、寛骨と呼ばれている。寛骨は、成鳥が卵の上に座っても問題がないような形状になっている。3つの骨の融合部位は寛骨臼 (acetabulum) と呼ばれ、後肢の最上部を成す大腿骨との関節を形成している。 大腿骨は脛骨および腓骨の二つの骨と一か所で関節を形成しており、そこが膝の部位である。跗蹠骨 (Tarsometatarsus) が足の上部を、指(趾)の骨がつま先の部位を形成している。腿と脛の部位がもっとも重い骨であり、身体の重心を低くする役割を果たし、飛翔の助けとなっている。
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