竜骨突起とは? わかりやすく解説

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りゅうこつ‐とっき【竜骨突起】

読み方:りゅうこつとっき

鳥類胸骨下面中央に、船の竜骨のように突き出ている突起。翼を動かす胸筋付着する。胸峰。


竜骨突起

英訳・(英)同義/類義語:keel

鳥類が飛ぶために必要な翼筋を付着させるため、胸骨拡大した部分

竜骨突起

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 23:28 UTC 版)

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竜骨突起の発達する胸骨(水色)

竜骨突起(りゅうこつとっき)または胸骨稜(きょうこつりょう)とは、翼を持つ鳥類に見られる骨部分。棒状の骨ではなく、鳥の胸骨の中央で縦に走る突起である。飛翔に用いられる浅胸筋(大胸筋)や深胸筋などの数多くの筋肉が付着し、飛翔能力を支えている[1][2]

進化

鳥類以前に飛翔性脊椎動物としての生態的地位を確立していた爬虫類翼竜にも竜骨突起は認められる。すなわち、鳥類の竜骨突起は翼竜との収斂進化により獲得されたこととなる[3]。一方で同じく飛翔性脊椎動物である哺乳類翼手目は竜骨突起を持たず、大型の鎖骨肩甲骨が筋肉を支持している[4]

竜骨突起の発達しない鳥群である、パタゴプテリクス英語版(左)とヘスペロルニス(右)。

始祖鳥として知られる後期ジュラ紀のアーケオプテリクスの胸骨は竜骨突起が発達しておらず、高度な飛翔能力を持たなかったことが示唆される[3]真鳥類エナンティオルニス類を包括する分類群として鳥胸類英語版があり、このグループは発達した竜骨突起が共有派生形質の一つとされている。ただし、真鳥形類の中にも二次的に飛翔能力を失って竜骨突起が退化したものが知られている。その代表例が後期白亜紀パタゴニアに生息したパタゴプテリクス英語版である[5]。より派生的な系統群として、ヘスペロルニス類英語版イクチオルニス類英語版新鳥類からなるオルニトゥラエ類がある。このうちイクチオルニス類と新鳥類は共に発達した竜骨突起を持つことから、胸峰類に纏められることもある[5]。他方、ヘスペロルニス類は後肢推進性の潜水鳥類として進化を遂げており、竜骨突起の無い平らな胸骨を持つ[6]

飛べない鳥類であるダチョウエミューなど平胸類は、発達した竜骨突起を持たない[1]。ダチョウと近縁のシギダチョウは、小さめの翼をもち、竜骨突起を持つ。翼がヒレのようになったペンギンや退化しかけているドードーも発達した竜骨突起が確認される(ただしドードーは絶滅種)。

語源

船の底で縦に走る竜骨に似ているのでこの名がある。竜骨というのは、木造船(など)の、船首から船尾までをつらぬく弓状の太い部材のこと。英語では、船の竜骨も鳥の竜骨突起も、ともに keel と呼ばれる。鳥の竜骨は keel bone と呼ばれる。

出典

  1. ^ a b 竜骨突起(りゅうこつとっき)”. 小鳥のセンター病院. 2022年2月26日閲覧。
  2. ^ 間島信男「フライドチキンの骨学(<特集>古生物学入門)」『地学教育と科学運動』第19巻、1991年、 39-42頁、 doi:10.15080/chitoka.19.0_39
  3. ^ a b George C. Kent、Robert K. Carr『ケント 脊椎動物の比較解剖学』谷口和之、福田勝洋訳、緑書房、2015年、163頁。ISBN 978-4-89531-245-5
  4. ^ 名取通弘、岸本直子「コウモリの構造」『日本航空宇宙学会誌』第47巻第551号、1999年、 277-282頁、 doi:10.14822/kjsass.47.551_277
  5. ^ a b 青塚圭一「中生代の鳥類における骨格及び生態の進化」『日本鳥学会誌』第67巻第1号、2018年、 41-55頁、 doi:10.3838/jjo.67.41
  6. ^ 田中公教、小林快次ヘスペロルニス目:白亜紀の潜水鳥類の起源と進化」『日本鳥学会誌』第67巻第1号、2018年、 57-68頁、 doi:10.3838/jjo.67.57

関連項目

外部リンク


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