コウノトリ目とは? わかりやすく解説

コウノトリ目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 07:13 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
コウノトリ目
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
上目 : 新顎上目 Neognathae
階級なし : Neoaves
: コウノトリ目 Ciconiiformes
学名
Ciconiiformes Bonaparte1854

コウノトリ目(コウノトリもく、学名:Ciconiiformes)は、鳥類の1である。

かつては数科が属したが、単系統ではなかったため、近年の分類ではコウノトリ科のみを残してペリカン目に移される[1]

系統

コウノトリ目はペリカン目と近縁で、現代的な分類では姉妹群である[2]。伝統的な分類ではハシビロコウ科までがコウノトリ目だった。

コウノトリ目

コウノトリ科 Ciconiidae

ペリカン目

トキ科 Threskiornithidae

サギ科 Ardeidae

シュモクドリ科 Scopidae

ハシビロコウ科 Balaenicipitidae

ペリカン科

その他のペリカン目

ミズナギドリ目

ペンギン目

アビ目

特徴

ここでは伝統的なコウノトリ目について述べる。

クチバシ、首、脚が長い、中大型の渉禽類である。淡水や海岸にすみ、昆虫、小型の甲殻類など主に動物性の餌を捕食する。足は3前趾足(が前に3本、後ろに1本)で、水かきはないかあっても小さい。

渉禽という以外に共通性が少なく、以前から単系統性は疑問視されてきた。

歴史的な分類

コウノトリ目に何を含めるかについては諸説あったが、現代的な視点では、これらはいずれも単系統ではなかった。

伝統的な分類

コウノトリ科 Ciconiidae
コウノトリなど
サギ科 Ardeidae
コウノトリ目で最も大きなグループを形成していた。主に水辺に生息する。アマサギゴイサギヨシゴイなどが属している。ヒロハシサギ科 Cochleariidae を分けることもある。
トキ科 Threskiornithidae
トキヘラサギなど
シュモクドリ科 Scopidae
シュモクドリ1種
ハシビロコウ科 Balaenicipitidae
ハシビロコウ1種。以前からペリカン目に含める説があった。

Sibley & Ahlquist

DNA - DNA分子交雑法を用いたSibley-Ahlquist鳥類分類でのコウノトリ目は、2亜目30科1022種が属する(Sibleyらによる数であり、以前のあるいは現在の分類では異なる)非常に大きな目となっていた。鳥類全体の科の約20%、種の約10%である[3]。名称がコウノトリ目となったのは命名規則のためで、狭義のコウノトリ目が特別な位置にあるわけではない。

現在判明している系統図上にプロットすると、ネオアヴェスの非常に広い範囲に分散した多系統となっている[4]。4種類の記号●■▲★は4つの下目 ((サケイ下目, チドリ下目), (ハヤブサ下目, コウノトリ下目)) に対応している。

Neoaves
land birds

スズメ目+オウム目

ハヤブサ目

ノガンモドキ目

ブッポウソウ目+キツツキ目+サイチョウ目+キヌバネドリ目+オオブッポウソウ目

フクロウ目

ネズミドリ目

タカ目

コンドル科

タカ亜目

チドリ目

シギ亜目

カモメ亜目

ミフウズラ科

その他のカモメ亜目

チドリ亜目

warer birds

'狭義のコウノトリ目'

ペリカン目

ペンギン目

ミズナギドリ目

アビ目

エボシドリ目

ツル目+カッコウ目+ノガンモドキ目

アマツバメ目+ヨタカ目+ジャノメドリ目

ハト目+クイナモドキ目

ネッタイチョウ目

ツメバケイ目

サケイ目

フラミンゴ目

カイツブリ目

Sibleyらは系統樹をUPGMAで再構成したため、進化速度の不均一に対しては、進化速度が遅い系統同士を結びつける間違いをしやすい。実際、広義のコウノトリ目に含まれる系統は、進化速度が遅いものが多い[4]。進化速度はさまざまな要因で決まるが、要因のひとつとして世代期間があり、大型で世代期間が長ければ進化速度は遅くなる。Sibleyらも、世代期間が短く進化速度が速いミフウズラ科の系統位置が正しく求まっていない可能性に言及しており[5]、それは実際の系統図上では、進化速度が遅いチドリ目が広義のコウノトリ目に含まれた中で、例外的に進化速度が速いミフウズラ科は含まれないという形で現れている。

Sibleyらが正しかったように見える点として、広義のコウノトリ目には、当時は考えられていなかった2つの単系統

が含まれていた。特に water birds は、Sibleyらの系統ではコウノトリ下目内の単系統(だとSibleyらが考えたグループ)[5]であるカツオドリ小目+コウノトリ小目にほぼ一致する。ただしこのグループには他に、実際には類縁関係にないコンドル科フラミンゴ科も含まれていた。一方、フラミンゴ目とカイツブリ目はコウノトリ下目の中で離れた位置にあり、特に近縁とはされていなかった。

タカ目と狭義のコウノトリ目については「骨格が似ていること、樹上に巣を架ける習性、また孵化したばかりの幼鳥の相似」などから、両者は近い系統ではないかという指摘が Sibley 以前からあり、これを裏付ける結果となっていた。特にタカ目のコンドル科は複数の系統解析でコウノトリに近いとされ、アメリカ鳥学会でもコンドルはコウノトリグループに組み入れられていた。しかし実際には、タカ目と狭義のコウノトリ目は系統的に大きく離れている。コンドル科の系統位置は細部についてはまだ議論があるものの、他のタカ目と同じ land birds 系統の内部にとどまり、狭義のコウノトリ目に近縁ということはない。

Livezey & Zusi

Livezey & Zusi (2007)[6]は形態系統に基づき、コウノトリ目からサギ科とハシビロコウ科をサギ目とハシビロコウ目として分離し、新たにフラミンゴ科を加えた。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ IOC World Bird List 2.4 Frank Gill, David Donsker and the IOC team
  2. ^ Hackett, SJ.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320: 1763–1768 
  3. ^ Sibley-Monroe checklist
  4. ^ a b Hackett, S. J.; Kimball, Rebecca T.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320: 1763–1768 
  5. ^ a b Sibley, Charles G.; Ahlquist, Jon E.; Monroe Jr., Burt L. (1988), “A classification of the living birds of the world based on DNA-DNA hybridization studies”, Auk 105 (3): 409–423, http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v105n03/p0409-p0423.pdf 
  6. ^ Livezey, Bradley C.; Zusi, Richard L. (2007), “Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion”, Zoological Journal of the Linnean Society 149: 1–95, http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/118484502/PDFSTART 

コウノトリ目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/12 15:07 UTC 版)

化石鳥類の一覧」の記事における「コウノトリ目」の解説

コウノトリアオサギ、および新世界ハゲワシを含む多様なグループ。ここでリストしたもの側系統である。 †Ciconiidae – storks†Ciconiopsis antarctica Ameghino 1899 †Palaeoephippiorhynchus dietrichi Lambrecht 1930 (漸新世前期) †Grallavis edwardsi (Lydekker 1891c) Cheneval 1984 [Propelargus edwardsi Lydekker 1891c; Palaeoephippiorhynchus edwardsi (Lydekker 1891)] (中新世初期) – may be same as Prociconia †Pelargosteon tothi Kretzoi 1962 (更新世前期) †Prociconia lydekkeri Ameghino 1891 (更新世後期) †Sanshuiornis zhangi Wang et al. 2012 配置未確定Ciconiidae gen. et sp. indet. – formerly Aquilavus bilinicus (Laube 1909) Brodkorb 1964; Cygnus bilinicus Laube 1909 (中新世初期) Ciconiidae gen. et sp. indet. (中新世後期) cf. Leptoptilos gen. et sp. indet. – formerly Leptoptilos siwalicensis Harrison 1974 (中新世後期? - 鮮新世後期) Ciconiidae gen. et sp. indet. (更新世後期) 絶滅した属化石記録にある鳥類Ciconia (中新世初期? – 現在)†C. gaudryi Lambrecht 1933 †C. minor Harrison 1980C. sarmatica Grigorescu & Kessler 1977C. kahli Haarhoff 1988C. louisebolesae Boles 2005C. lucida Kuročkin 1982C. maltha Miller 1910 (Asphalt/La Brea stork) †C. nana (De Vis 1888) Rich & van Tets 1982 [Xenorhynchus nanus De Vis 1888] †C. stehlini Janossy 1992 Mycteria (中新世中期 – 現在)†M. milleri (Short 1966) [Dissourodes milleri Short 1966] †M. wetmorei Howard 1935 Ephippiorhynchus (中新世後期 – 現在)†E. tchoufour Louchart et al. 2008E. pakistanensis Harrison & Walker 1982 Leptoptilos (中新世後期 – 現在)†L. falconeri (Milne-Edwards 1868) Lydekker 1884 [Argala falconeri Milne-Edwards 1867] †L. pliocenicus Zubareva 1948L. inidcus (Harrison 1974) [Cryptociconia indica Harrison 1974] †L. lüi Zhang et al. 2012L. patagonicus Noriega & Cladera 2008L. robustus Meijer & Awe Due 2010L. richae Harrison 1974L. titan Wetmore 1940 Jabiru (鮮新世前期 – 現在)†J. codorensis Walsh & Sánchez 2008

※この「コウノトリ目」の解説は、「化石鳥類の一覧」の解説の一部です。
「コウノトリ目」を含む「化石鳥類の一覧」の記事については、「化石鳥類の一覧」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「コウノトリ目」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「コウノトリ目」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コウノトリ目」の関連用語

コウノトリ目のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コウノトリ目のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコウノトリ目 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの化石鳥類の一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS