皮骨とは? わかりやすく解説

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皮骨(ひこつ) dermal bone


皮骨板

(皮骨 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 03:05 UTC 版)

皮骨板が見られるドクトカゲ科皮膚の近接写真
アルマジロの骨格

皮骨板(ひこつばん)[1]またはオステオダームは、鱗や板あるいは他の真皮を元とする構造を形成する骨質の沈着物。皮骨板は爬虫類両生類の現生種および化石種の多くに見られる。皮骨板を持つ具体的な分類群として、トカゲワニカエル分椎類、様々な恐竜(特に曲竜類剣竜類)、翼竜植竜類鷲竜類板歯目フーペイスクス類がある。

皮骨板は哺乳類では一般的ではないものの、数多くの異節上目アルマジロなど)では発生する。重い骨質の皮骨板は異なる系統で独立に進化を遂げてきた[2]。アルマジロの皮骨板は真皮の線維中で発達したと考えられている[3]。これらの様々な構造は解剖学的相同器官ではなく相似器官と考えられるべきであり、また単系統性を示唆するわけでもない。しかし、この構造は鱗板から派生したものであり、有羊膜類には共通であり、ディープホモロジー英語版の一例でもある[4]。多くの事例において、皮骨板は防御のアーマーとして機能する可能性がある。皮骨板は骨組織から構成されており、生命体の胚発生の間に scleroblast neural crest cell の集団から分化する。scleroblastic neural crest cell の集団は真皮に関連する複数の相同な特徴を共有する[5]。神経堤細胞は、上皮-間葉転換を経て皮骨板の発達 (enに寄与すると考えられる[6]

現生のワニの皮骨板は血管が多く通っており[7]、アーマーだけでなく熱交換にも寄与することが可能であり[8]、それゆえこれらの大型爬虫類は急速に体温を上昇・下降させることが可能である。また長期間水に浸っていると血中の二酸化炭素濃度が上昇してアシドーシスが誘発されるが、皮骨板の持つもう一つの機能としてこれの中和がある[9]膜性骨英語版中のカルシウムマグネシウムは血流中にアルカリイオンを放出し、血液の酸性化に対して緩衝の効果を発揮する[10]

出典

  1. ^ Michael Greshko. “ギャラリー:装甲車のような恐竜ズール、強力な尾や装甲 写真5点”. 日経ナショナルジオグラフィック. 2023年2月4日閲覧。
  2. ^ Hill, R.V. (December 2006). “Comparative anatomy and histology of xenarthran osteoderms”. Journal of Morphology 267 (12): 1441–1460. doi:10.1002/jmor.10490. PMID 17103396. 
  3. ^ Nasoori, Alireza (2020). “Formation, structure, and function of extra‐skeletal bones in mammals”. Biological Reviews 95 (4): 986–1019. doi:10.1111/brv.12597. PMID 32338826. https://archive.org/details/formation-structure-and-function-of-extra-skeletal-bones-in-mammals. 
  4. ^ Vickaryous, M.K.; Hall, B.K. (April 2008). “Development of the dermal skeleton in Alligator mississippiensis (Archosauria, Crocodylia) with comments on the homology of osteoderms”. Journal of Morphology 269 (4): 398–422. doi:10.1002/jmor.10575. PMID 17960802. 
  5. ^ Vickaryous, Matthew K.; Sire, Jean-Yves (2009-04-01). “The integumentary skeleton of tetrapods: origin, evolution, and development” (英語). Journal of Anatomy 214 (4): 441–464. doi:10.1111/j.1469-7580.2008.01043.x. ISSN 1469-7580. PMC 2736118. PMID 19422424. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2736118/. 
  6. ^ Nasoori, Alireza (2020). “Formation, structure, and function of extra‐skeletal bones in mammals”. Biological Reviews 95 (4): 986–1019. doi:10.1111/brv.12597. PMID 32338826. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/brv.12597. 
  7. ^ Clarac, F.; Buffrénil, V; Cubo, J; Quilhac, A (2018). “Vascularization in Ornamented Osteoderms: Physiological Implications in Ectothermy and Amphibious Lifestyle in the Crocodylomorphs?” (英語). Anatomical Record 301 (1): 175–183. doi:10.1002/ar.23695. PMID 29024422. 
  8. ^ Clarac, F.; Quilhac, A. (2019). “The crocodylian skull and osteoderms: A functional exaptation to ectothermy?”. Zoology 132: 31–40. doi:10.1016/j.zool.2018.12.001. PMID 30736927. https://hal-mnhn.archives-ouvertes.fr/mnhn-02557596/file/S0944200618300795.pdf. 
  9. ^ Jackson, DC.; Andrade, D.; Abe, AS. (2003). “Lactate sequestration by osteoderms of the broad-nose caiman, Caiman latirostris, following capture and forced submergence.”. Journal of Experimental Biology 206 (Pt 20): 3601–3606. doi:10.1242/jeb.00611. PMID 12966051. 
  10. ^ Antacid armour key to tetrapod survival”. ABC Science (2012年4月24日). 2017年3月6日閲覧。

皮骨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 04:42 UTC 版)

クンバラサウルス」の記事における「皮骨」の解説

クンバラサウルスは頭、背、腹、足、そして尾に骨質装甲をもっていた。クンバラサウルスには数種類装甲知られている。小さな骨の塊、体側並行並んだ小さなキールのある盾の列、鼻の上の隆起のないキール付いていない大きな盾、肩と腰そしておそらくは尾のスパイク起伏のある尾の三角プレート構成される。首の周り保護する1つハーフリング有していた。仙骨の盾は存在しない装甲配置については、尾部のものは不明であるが、三角プレートが尾の両側走っていた可能性がある。長い溝が尾の上沿って列を形成している。

※この「皮骨」の解説は、「クンバラサウルス」の解説の一部です。
「皮骨」を含む「クンバラサウルス」の記事については、「クンバラサウルス」の概要を参照ください。

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