皮骨と皮膚の印象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 09:49 UTC 版)
「ヘスペロサウルス」の記事における「皮骨と皮膚の印象」の解説
カーペンターは2001年にホロタイプの一部として10枚のプレートを記載した。それらは前後に長く上下に低いとされた。基部が左右非対称なのでそれらは2列に並んでいたことが示される。尾部の端部は、サゴマイザーthagomizer(2対のスパイク)があり、前の1対はより太く、後ろの1対はより細く水平で後ろ向きである。 2012年に、組織学的な研究が実施され、ヘスペロサウルスの皮骨(骨化した皮膚)は、その構造がステゴサウルスのそれと本質的に同一であると結論付けられた。CTスキャンでは以下の状態が確認された。薄いが高密度の外壁を有し、厚いスポンジ状の骨で満たされている。骨には骨化の過程で変形した形跡が認められる。広範囲にわたる長くて広い動脈の通った溝が確認できる。サゴマイザーのスパイクは壁が厚く、内部のスポンジ状の構造の空洞は小さい。一本の太いな血管がスパイクの縦軸に沿って走る。 2010年には、ビクトリアで見られる軟組織についての研究が発表された。周囲の堆積物に遺された皮膚の印象と、内臓などの柔らかい部分が腐敗する前にその空間が沈殿物で満たされたことで形状を保存している物が調べられた。さらにいくつかの部分では、黒い層が存在しており、おそらくは有機残留物または菌床(菌の培地)からなる。胴体側面の下部の一部は、直径が2〜7ミリメートルの小さな六角形で重なり合わない凸形の鱗の列が観察できる。側面の上部では大きな中央鱗と共に2つのロゼット状構造が確認でき、一方は20×10ミリメートル、他方は10×8ミリメートルである。鱗とは別に、約200平方センチメートルを覆う背中のプレートの下側の印象が見出されている。この表面には鱗はなく滑らかで、何本かの垂直で低い畝がある。これは本物の表皮の印象であるので、生体では溝が存在していたと思われる。これらの溝は、深さが約0.5ミリメートルであり、それぞれが約2ミリメートル離れていた。印象はおそらく、プレートが角質の鞘に覆われていたことを示しており、それは垂直に伸びる血管の跡から確認された。このような鞘の存在の証拠が記載されるのは、剣竜では最初のことである。角質層がプレート全体を強化し鋭いブレードを備えていたと考えられる。その事から、プレートはよく説明される体温調節ではなく(角質で断熱されるため)主に防御機能を有することを強く示すものとして分析された。骨板はプレートの芯であり、鞘は実際のプレートの面積をさらに拡大していたはずである。この構造はしばしば明るい色に復元されるが、この鞘によってディスプレイ機能も強化されていただろう。体温調節に関しては、現生のウシやアヒルが、角質で覆われているにも関わらず角やくちばしを使って余分な熱を放射することは完全には妨げられていないので、いくらかは利用された可能性はある。
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