闞沢とは? わかりやすく解説

闞沢

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/11 23:31 UTC 版)

闞沢

太子太傅・侍中・都郷侯
出生 生年不明
揚州会稽郡山陰県
死去 赤烏6年(243年
拼音 Kàn Zé
徳潤
主君 孫権
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闞 沢[1](かん たく)は、中国後漢末期から三国時代の政治家・儒学者。徳潤揚州会稽郡山陰県の人。『三国志書に列伝が立てられている。

生涯

貧農の家に生まれたが、苦学して優れた学識を身に付け、郷里において名を知られるようになった。孝廉に推挙されて銭唐県長となり、次いで郴県令を務めた。やがて孫権驃騎将軍になると招聘を受け、西曹掾に任命された。

孫権の即位に伴い尚書となり、嘉禾年間には中書令に遷り、侍中を兼務した。嘉禾6年(237年)、孫和の講師となり、諸学や儀礼を教えた。赤烏5年(242年)に孫和が皇太子に立てられると、太子太傅を兼務して引き続き孫和の教育にあたった。闞沢は孫和と孫覇の二皇子のため、諸学説を勘案し注釈を施したものを教科書として授けた。

諸学に通じた闞沢であったが、中でも暦数に通暁していた。当時、呉で用いられていた乾象暦(後漢末の劉洪が作成)は暦と実際の季節の間に誤差が生じていた。そこで闞沢は『乾象暦注』を著して修正を加えた。この結果、乾象暦の誤差は解消され、呉の滅亡に至るまで用いられた。この他にも朝議で経典の解釈が問題になると、孫権は必ず闞沢に諮問した。

これらの儒学者としての功績により、都郷侯に封じられた。

赤烏6年(243年)冬に死去。孫権はその死を悼み、数日に渡り食事を摂ろうとしなかった。

謙虚で慎み深く、一度も他人の短所を口にする事が無く、宮廷の小役人に対してさえも礼儀を尽くし接した。容貌は威厳を欠いていたが、その深い見識には誰も及ばなかった。

逸話

若い頃は学費を稼ぐために写本の請負をし、余った紙や墨を用いて勉学に励んだ。また写本のために借りた書籍は、返す頃には暗誦できるほど読み込んでいた。

曹丕が後漢より禅譲を受けて帝位につくと、孫権は壮年の曹丕による治世が長きに亘るのを憂慮し、群臣に意見を求めた。これに対して闞沢は「丕という字は不と十から成っており、これは十年を経ずして死去する徴です」と答えてみせた。果たして曹丕は在位七年にして急死した(闞沢伝注引『呉録』)。

後に、専横を極めた呂壱が処分を受ける事になると、群臣の中には死罪は当然の事、火焙りや車裂き等の漢代に廃止された刑を持ち出す者もいた。これに対し、闞沢は「賢君の治世でそのような残虐な刑を復活させてはならない」と反対した。また、官庁の不正撲滅のため、禁令や監視を強めようとする意見が出ると、闞沢は礼と律に則るべきだと反対し、いずれも孫権の称賛を受けた。

あるとき、孫権から「世の経書や注釈、散文や韻文の中で最も優れたものは何か」と尋ねられたため、国家の治乱を知ってもらおうと考え、賈誼の『過秦論』を読むよう薦めた。

評価

同郷の虞翻は学者揚雄董仲舒を引き合いに出し、闞沢の博識・儒学・徳行を絶賛した(闞沢伝注引『呉録』)。

赤烏4年(241年)に死去した孫登は遺言の中において、国家のために尽力し誠心をもって仕える良臣として、闞沢らの名を挙げている(三国志呉主五子伝)。

『三国志』の編者陳寿は、列伝の評において「厳畯程秉と共に一代の名儒であった」と称賛している。

三国志演義での活躍

小説『三国志演義』では、まず孫権の時代に集まった人材の一人として名が登場する。赤壁の戦いでは、黄蓋苦肉の策を見抜き進んでこれに協力し、甘寧達と謀議を巡らしている。さらに曹操の下へ使者として赴き、黄蓋の降伏を疑った曹操を、優れた弁舌で丸め込むなどの活躍を見せている。さらに夷陵の戦いでは、相次ぐ敗戦にうろたえる孫権に対し、陸遜を大都督に任命するよう推挙し、陸遜を過小評価する張昭顧雍歩騭らの反対を弁舌で退けている。

参考文献

  • 陳寿『三国志』
  • 羅貫中『三国志演義』
  1. ^ 繁体字表記では「闞 澤」。

闞沢

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 21:42 UTC 版)

三国志 (横山光輝の漫画)」の記事における「闞沢」の解説

呉の政治家。黄蓋と共に三代仕え古参の将。黄蓋周瑜苦肉の策成功させるために曹操軍への使者買って出る一度計略見破られそうになるがこれを豪胆な態度を以てかわし、策を成功導いている。

※この「闞沢」の解説は、「三国志 (横山光輝の漫画)」の解説の一部です。
「闞沢」を含む「三国志 (横山光輝の漫画)」の記事については、「三国志 (横山光輝の漫画)」の概要を参照ください。

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