牡丹の花言葉
牡丹の花言葉の由来
# 中国の唐の時代に付けられた説「王者の風格」という花言葉は、牡丹の原産地である中国でそう呼ばれていたから付けられたとされている。中国の唐の時代に、すでに牡丹は王や王者のイメージが抱かれていたという。どちらかといえば男性的なイメージが投影されていたようである。唐代の中国では。宮廷の園芸植物の中でもとりわけ牡丹は人気が高く、尊ばれていた。宮廷に招かれた詩人たちも、牡丹の美しい花を見て「花王」「百花王」と表現している。
# 富の象徴だった説
「高貴」や「富貴」などの花言葉が付与された背景には、牡丹は明治時代の上流階級や富裕層しか楽しめなかった高価な花であったという要因があると思われる。牡丹は庶民は簡単に手に入れることが出来ない花だったのである。その手入れも素人には難しく、維持にも金がかかる。
現代では、芍薬の接ぎ木によって増やす技術が確立し、庶民にも手の届く花となっている。
# ギリシャ神話から付けられた説
牡丹の「思いやり」という花言葉は、ギリシャ神話から付けられたという説がある。海外では牡丹には病気を治す芍薬としての効能が信じられており、頭痛や腹痛、関節痛や婦人病などに有効だと考えられている。特にヨーロッパでは芍薬として処方されることも珍しくない。そんな芍薬全般を親しみを込めてピオニーと呼び、牡丹もその一つとしてピオニーと呼ばれている。そのピオニーという名前はギリシャ神話に登場する神々の医師であるペオンから来ていて、芍薬をピオニーと呼ぶようになった。ゼウスの愛人が激しい陣痛に見舞われたときにペオンが芍薬の根を使って苦痛を和らげ、無事に子供が生まれたとされている。そんなピンチを乗り越えた姿から「思いやり」という花言葉が加えられたのだろう。
また、ギリシャ神話に登場する妖精・パエオニアが花言葉の由来になっている説もある。妖精のパエオニアは誰もが振り返るほどの美貌の持ち主で、あらゆる男性神を虜にするほどだった。中でも男性の神であるオリンポス十二神のアポロンには可愛がられた。その姿に、美の女神であるアフロディテが嫉妬し、パエオニアを牡丹に変えてしまったという。牡丹(になったパエオニア)は幾重にも花弁を重ねて咲く。その姿は外から自分を隠して恥らっているようでもある。これが「恥じらい」という花言葉のイメージと結びつく。
# ヨーロッパから見たアジア人をイメージして付けられた説
牡丹の原産地と言われる地域周辺に住んでいるアジア人をヨーロッパ人が見ると、謙虚で恥らっている様子に見えることから、「恥らい」のような花言葉が使われるようになったという説がある。アジア人のつつましいイメージと牡丹の花びらの重なり方が表す恥じらいのイメージが合わさって、花言葉が付けられたとも言われている。
# 王妃たちが身に着けていた説
「壮麗」という花言葉は、古代中国の王妃たちが飾りとして身に着けていた花だからという説も存在する。優雅でふくよかな見た目の王妃たちがこぞって身に着けていた姿から、「壮麗」という花言葉が付けられた。また皇帝から愛される存在であった王妃と誰もがその美しさに魅力されて愛される牡丹の姿が重なり、この花言葉になったとされる。
# 植え替えを嫌う説
牡丹は植え替えをすると十分に根が張るまで時間が掛かり、なかなか花が咲かないとされている。地上に芽が出てくるまでも時間が掛かり、成長が遅くなってしまうのだ。新しい環境に移動すると姿を見せないことから、「人見知り」という花言葉が付いたという一説もある。
牡丹の英語の花言葉
牡丹の英語の花言葉は「compassion(思いやり)」「bashfulness(恥じらい、はにかみ)」だ。花の中心を隠すように咲き誇る姿が西洋人にとっては恥じらいがあり、はにかんだ様子を連想させることからこの言葉が選ばれたと考えられているのだ。徐々に花びらに色付く姿が頬を染めているようにも見え、そこから「恥じらい」「はにかみ」という意味が込められたという経緯もある。牡丹の色別の花言葉の解説
日本には決められた色別の花言葉はなく、古くからその牡丹の美しさにわざわざ色ごとに名前を付ける必要がなかったと推測されている。現代でも品種改良の際に付けるネーミングにその花の色や形、誕生の由来や生産者の想いなどを込める傾向があることから、あまり色別の花言葉は設けられていない。日本の牡丹の品種には110品種あり、有名なものだと「花王」「金閣」、「貴婦人」「太陽」がある。品種名を見れば意味が分かるのは、牡丹ならではである。ちなみに色別の花言葉がある中国の色別の花言葉は以下になる。- 赤色「富」「完全」「完璧」
- 白色「高貴」「威厳」「国一番の美人」「信頼」
- 紫色「幸運」「ロマンス」「幸せな結婚」
- ピンク「優雅」「成熟」「控えめ」「美しさ」
- 黄色「豪華」「永遠」「雄大」
- 緑色「期待」「人生」「上品な愛」
牡丹の本数別の花言葉の解説
牡丹には本数ごとに異なる花言葉がある。とはいえ、日本ではあまり本数ごとの意味を重視しない。牡丹を切り花としてではなく鉢ごと贈ることも多かった、という事情も背景にあるだろう。しかしながら、牡丹には本数ごとに異なる花言葉が一応ある。
何本になってもネガティブな意味に転じることはないため、否定的なメッセージとして伝わる心配は特にない。
牡丹の怖い花言葉(?)
牡丹の花言葉には、ネガティブな要素はない。しかし牡丹は「牡丹灯籠」という怪談が連想されやすく、牡丹=ちょっと怖いというイメージを持たれがちではある。「牡丹燈籠」では、若い女性の幽霊と生身の男が逢瀬を重ねる物語がおどろおどろしく語られる。牡丹燈籠は江戸時代に成立した怪談話で、「四谷怪談」と「皿屋敷」と並び「日本三大怪談話」のひとつにも数えられる。
若い幽霊の女性は毎夜、牡丹灯籠を下げて男性のもとを訪れ、逢瀬を重ねる。幽霊だと知らない男性は快く女性を受け入れていたが、ある日、寺の和尚が「女は幽霊だ」という事実を男に告げる。和尚は男性を幽霊から守るために御札を預け、御札を家の戸に貼って期限までに家に籠もるように指示する。また、朝まで必ず戸は開けないこと、外には一歩も出ないことを約束させるのだった。男は言われた通りに家に籠もる。そして幽霊の女性が夜中に再び訪ねてくるのだった……………。
題名「牡丹灯籠」は、牡丹の意匠をあしらった提灯のことである。
牡丹の花言葉そのものには特に怖い意味はない。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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