沿革・特色
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メディアワークスの若者向け文庫レーベルとして、角川スニーカー文庫の作家陣と作品群が移行する形で、1993年6月に創刊された。初回刊行タイトルは『漂流伝説 クリスタニア 1』(水野良)・『聖マリア修道院の怪談 極道くん漫遊記外伝』(中村うさぎ)・『ダーク・ウィザード 蘇りし闇の魔道士』(寺田憲史)・『瑠璃丸伝 当世のしのび草紙 1』(松枝蔵人)の4タイトル。 創刊当初は角川スニーカー文庫を基盤に活動していた深沢美潮、中村うさぎ、あかほりさとるなどのベテラン作家陣による作品と、テレビゲーム・アニメ等のノベライズ・翻訳小説を中心に出版していたが、新人作家を積極的に発掘するため、1994年「電撃ゲーム3大賞」の小説部門扱いで「電撃ゲーム小説大賞」(2004年に「電撃小説大賞」と改称)が創設された。この新人賞からは、長期シリーズ化でレーベルの看板的作品となった『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム小説大賞を受賞した上遠野浩平、『アクセル・ワールド』で第15回電撃小説大賞を受賞した川原礫を筆頭に、高畑京一郎、古橋秀之、秋山瑞人、三雲岳斗、高橋弥七郎、成田良悟、支倉凍砂など多くの人気作家を輩出、レーベルの隆盛に貢献した。また、緒方剛志、黒星紅白、原田たけひと、灰村キヨタカなど、若手イラストレーターの登用も意欲的に行い、ライトノベルに於けるイラストレーションの世代交代を推し進めた。 レーベルの特徴は、初期は角川スニーカー文庫から枝分かれしたこともあり、それほど差異はなかったが、黒丸尚が翻訳したウィリアム・ギブスン、ルディー・ラッカーらのサイバーパンクSFを、よりコンピューター・ゲーム的なSFファンタジー小説として描いた第2回電撃ゲーム小説大賞受賞の『ブラックロッド』と、眉村卓などのジュブナイルSF小説を現代的にアップデートした『ブギーポップは笑わない』の金字塔的ヒットにより、過去のSFファンタジー小説や青春小説を青少年向けライトノベルとして現代的にアップデートする手法と路線が意識的に採られるようになった。 2000年代以降は電撃小説大賞出身のレーベル生え抜き作家によるオリジナル作品が中心となったが、上記の路線は1990年代後半から2000年代前半の時点では、SFや一般文芸などの既存ジャンルからほとんど無視されていたことが逆に幸いし、多種多様なタイプのヒット作が生まれ、少年向けライトノベルの代表的レーベルとして[要出典]「ライトノベル」ジャンルでの国内最大シェアを維持している。この成功には、テレビアニメ化や『月刊コミック電撃大王』『月刊少年ガンガン』などでのコミカライズといった積極的なメディアミックス展開に加え、イベント開催、「電撃組」と呼ばれる書店への優先配本による効率化、書店での販促用ポストカードの配布など、多様な販売戦略も奏功した。 2000年代後半以降は有川浩や橋本紡など、一般文芸へ越境する作家も出てきたが、既にライトノベルでしか描けない小説ジャンルが確立されており、致命的なダメージには至っていない。 2020年現在、新刊の発売日は毎月10日で、月に10冊前後の新刊が発売されている。2004年10月発売の『キノの旅VIII the beautiful world』で通算1000タイトル、2010年9月発売の『ゴールデンタイム1 春にしてブラックアウト』で通算2000タイトル、2015年10月発売の『ヘヴィーオブジェクト 外なる神』で通算3000タイトルを記録した。2009年11月、総発行部数は累計1億冊を突破し、それを記念したキャンペーンが行われた。また、『とある魔術の禁書目録』(2010年10月)と『ソードアート・オンライン』(2014年7月)と『魔法科高校の劣等生』(2019年9月)は国内累計1000万部突破を達成している。 「電撃の単行本」として単行本(ハードカバー)形態で出版されるものもあり、初期の「電撃ゲーム小説大賞」受賞作品の刊行や、普段ライトノベルを読まない層を狙ったタイトルの発売が行われている。特に『図書館戦争』は新聞や雑誌の書評で大きな話題を呼んだ。2019年1月には、WEB系エンタメノベルを扱うサブレーベルとして「電撃の新文芸」が単行本(ソフトカバー)形態で創刊されたり、文庫形態では、2009年12月に姉妹レーベル的な存在として“非ラノベレーベル”を意識した新レーベル、「メディアワークス文庫」が創刊され、「電撃の単行本」で刊行されていた作家や、電撃文庫でも青年向け(ライト文芸)の傾向が強い作家が徐々に異動しているため、電撃文庫側の月刊刊行点数は若干減少傾向にある。 レーベルの雑誌媒体としては、1998年から『電撃hp』が刊行され、2007年に『電撃文庫MAGAZINE』へ継承されたが、2020年に休刊した。 2010年6月、第16回電撃小説大賞最終選考作として刊行した『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』が盗作と指摘され、絶版・回収措置が取られる不祥事が発生。全国紙でも報道された。
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沿革・特色
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電撃文庫のWEB系エンタメノベルとして2019年1月17日に創刊。創刊ラインナップは『マギステルス・バッドトリップ』(著:鎌池和馬)、『リアリスト魔王による聖域なき異世界改革 I』(著:羽田遼亮)、『Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王』(著:古宮九時)、『竜魔神姫ヴァルアリスの敗北 〜魔界最強の姫が人類のグルメに負けるはずがない〜』(著:仁木克人)の4タイトル。 当初は奇数月17日前後の刊行が予定されていたが、2019年8月刊行分から偶数月も発行されることが決定[出典無効]し、現在は毎月17日前後に2冊程度刊行されている。 ラインナップは、書き下ろしが主の電撃文庫とは異なり、「カクヨム」や「小説家になろう」からの書籍化が主になっている。また、鎌池和馬や川上稔など、電撃文庫出身の作家が書く場合もカクヨムでの連載を経由する形で書籍化されている。 レーベル発足にあたり、カクヨムにて「電撃≪新文芸≫スタートアップコンテスト」が開催された。大賞には非公開(カクヨムのアカウント名。書籍化後にナフセに改名)の『リビルドワールド』、優秀賞にRYOMAの『エッチな召喚士の変態的召喚論』、nana777(書籍化後に七菜ななに改名)の『四畳半開拓日記』、特別賞に白雨蒼の『契赫のフォルクール-英国幻想蒸気譚-』が選ばれ、それぞれ書籍化された。
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