放送時の注意喚起のテロップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 07:36 UTC 版)
「ポケモンショック」の記事における「放送時の注意喚起のテロップ」の解説
本事件をきっかけに「テレビを見るときは部屋を明るくしテレビから離れて見てください」、子供向けに「テレビを見るときは部屋を明るくして離れてみてね」といったようにテロップや登場するキャラクター達よる注意喚起が在京・在阪キー局(テレビ東京・フジテレビ・テレビ朝日・ytv(日本テレビ)・CBC(TBS)系)を中心にアニメ番組の冒頭部分で流されるようになった。この表記は現時点でも多くのアニメ番組の冒頭で使用されている。ただし、このテロップ表示は放送局の任意によるもので、NHK(NHK教育→NHK Eテレ)、TBS制作のアニメ番組では原則として流れず、深夜アニメの場合は流れるケースと流れないケースがある。 後にローカル局でもテロップは導入されるようになり、局によっては放送局名を付け足す局もある(特にCS放送)。WOWOWの音楽番組の冒頭では、「この番組は、照明などによる光の変化の激しい部分があります。ご鑑賞に当たりましては部屋を明るくしてテレビから離れてご覧下さい」といったテロップを入れているほか、点滅が激しい箇所には減光処理を施している場合もある。 劇場版作品はテレビとは異なる映像基準で作成されていることもあり、公開される映画館では「ごくまれに光が原因で体に異常を感じる体質の人がいる」といった注意書きが掲示されている。また事件直後の1998年に公開された『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』のテレビCMでは、「激しい光の点滅を使用していない」旨の表示がされた。それ以降の劇場版ポケモン上映時には、映画館の窓口に「テレビ番組の映像基準とは異なる手法で製作いたしました。ごくまれに光が原因で体に異常を感じる体質の方がおられます。過去に光が原因で体に異常を感じた経験のある方は、ご覧になる前に医師にご相談ください。」とピカチュウプロジェクト(製作委員会)名義で注意書きがされている。 アニメ以外にドラマや映画等でも、ライトの点滅やフラッシュが大量にたかれてテレビを通すと画面が激しく点滅するような映像になったため、一部のテレビ局では該当の映像を流す前にアニメと同様に注意を促すテロップ「フラッシュが激しく点滅しています」などと言ったテロップや、司会者によるアナウンスを実施したケースがある。例としては 報道番組・ワイドショー番組などの取材や記者会見(特に生中継時)でスチルカメラのフラッシュが大量にたかれたシーン(録画放送の場合、放送局により減光処理をして放送されることがあり、その旨のテロップが表示されることもある)。TBSテレビホームページの「教えてTBSニュース」では、注意を促すテロップについて「映像を見ている人が気分が悪くなったり病気の発作が生じたりするなど健康上の影響が出る可能性があるため、ニュースでは必ず表示している」としている(なおTBSテレビではテレビアニメに注意を促すテロップは表示していない)。 ドラマの再放送や外国製ドラマで、ディスコやコンサート会場などで演出として光の点滅があるシーン。 格闘技の番組『Dynamite!! 〜勇気のチカラ2009〜』の冒頭。 映画「ハリー・ポッターシリーズ」のテレビ放送。 映画『バベル』の「東京」でのクラブの光の点滅があるシーン。 特撮テレビ番組『ウルトラマンティガ』の第51話が2009年にTBSチャンネルで再放送された際には、冒頭で本放送時の光の点滅の激しい場面の減光処理をしたことと、部屋を明るくして見るよう勧告するテロップを表示。 2009年10月に放送のアニメ『キディ・ガーランド』第17話『知らない名前』で、登場人物が電撃による拷問を受けるシーンで激しい光点滅描写があるため、KBS京都のみ該当場面で、「演出上、番組中に一部視覚に影響を及ぼすシーンがありますがご了承下さい」とのテロップが表示された。 2015年10月に放送のアニメ『終物語』第2話『おうぎフォーミュラ 其ノ貳』の後半で、演出として原色(有彩色)の背景が激しく点滅するシーンがあり、光過敏性発作の症状が現れたという人が複数出て、放送倫理・番組向上機構(BPO)にその旨を訴える人も出た。BS11で放送された際、点滅の現れる数秒前のところで画面欄外のレターボックス(画面下部の黒帯)に「色の転換が激しい箇所が続く」と注意を促すテロップが表示された。 また、前述のとおり「映像や光の点滅は、原則として1秒間に3回を超える使用を避ける」などとするガイドラインが策定されたが、時折ガイドラインに違反する放送が行われたことが報じられることがある。 2004年2月、日本テレビ系のバラエティー番組『踊る!さんま御殿!!』にて、末尾部の「ひと言体験談」募集告知で、画面上に表示される『賞金5万3千円!!』のテロップの「5」の数字を強調する演出の際に、映像表現ガイドラインに抵触して放送したことが週刊誌サンデー毎日の指摘により判明。 2006年1月19日23時にNHK衛星第2で放送された、「スーパーライブオレンジレンジ」(ORANGE RANGEのライブ)にて、映像表現ガイドラインに抵触する映像が56箇所(合計1分弱)あったが、制作スタッフ・技術スタッフ共にこれを認識しており「深夜放送では子供はあまり見ないだろう」と判断し、放送された。 2006年3月22日にテレビ東京系で放送された『セサミストリート』と『ハロー!モーニング』にて、映像表現ガイドラインに抵触する映像があったことが視聴者からの指摘で判明。テレビ東京社長は3月30日の定例記者会見で、放送を視聴した7人が気分が悪くなったという連絡があったことを明らかにした。 2006年4月に、東海テレビやCBCテレビ、メ〜テレなど在名局で放送された建設業のローカルCMにおいて、ガイドラインに違反する光の点滅が含まれていたことが判明。東海テレビの発表によると、直ちに放送を中止したとのこと。 2006年、BS・CSの放送事業者26社にて放送されたプライム(後のCJプライムショッピング)制作による通販番組『ショップジャパン』『TV買物王』『特選一番街』『THE RESPONSE TV』において、ガイドラインに抵触した映像手法を使用。 2008年3月にNHK盛岡局(東北地方)で放送された地域情報番組『ワンダフル東北』及び同年7月にNHK総合で放送されたドラマ『監査法人』にて、いずれもカメラのフラッシュが大量にたかれるシーンでガイドラインに違反する点滅が使われていたことが放送後に判明。 2014年12月、CS放送・スペースシャワーTVと100%ヒッツ!スペースシャワーTVプラスが放送した番組の一部で、ガイドラインに違反する恐れのある映像手法が使われていたことが判明。 アニメ監督・富野由悠季はこの事件について、「問題の箇所が青とピンクの補色だったことも原因だ」との意見を述べている。またこのことについてマスコミが触れなかったことや、どのテレビ番組にも「テレビは部屋を明るくして見よう」というテロップが流されるようになったことも、無神経だと批判している。さらに光効果はセルの枚数を減らすことができるので、「安易に使いすぎている作品が増えている」とも言及している。前述のシリーズ脚本家の首藤剛志もwebコラム上で、作品のさらなる成功をめざすあまりに演出の派手さと刺激ばかりを追い求め続けた制作側の姿勢が事件の一因となった、テレビアニメにおいてこれまでごく普通に使われてきた手法がつかえなくなってしまったとの声が他社などから上がった、と同様の指摘をしている。アニメ監督・高松信司は自身が担当した『こちら葛飾区亀有公園前派出所』において、「テロップが本編にあまりにも無配慮に流れるのが嫌だったため、アニメキャラクターによる勧告を制作した」と発言している。
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