単語としての『霞堤』の語源と広がりとは? わかりやすく解説

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単語としての『霞堤』の語源と広がり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 15:50 UTC 版)

霞堤」の記事における「単語としての『霞堤』の語源と広がり」の解説

* 1891年明治24年) 「治水論」西師意 著 急流河川である常願寺川不連続堤に『型堤』と使われたのが最初である。 * 1892年明治25年) 「北陸政論」の記事 西師意執筆「常願寺川治水小声)」 『霞堤』という言葉頻繁に使用するようになっている。 * 1892年明治25年以後執筆常願寺川変更工事高田雪太郎霞堤一種築堤ニシテ川身ニ対シ斜メニ築キ連続セザルモノナリ)……霞堤設計成リ(不連続ニシテ旧堤内地盤ノ高處ヨリ越シ斜メニ下流ニ向テ築キ流路ニ接シテ終ワルモノナリ)」 『霞堤』に但し書き付けられている。この但し書き工部大学卒業したエリート技術者高田雪太郎にとっても明治中期頃において『霞堤』という用語がまだ常識化していなかったことを示している。 * 1921年大正10年12月) 「日本大辞典言泉落合直文 著・芳賀矢一 改修霞堤(かすみてい)Discontinuous bank 堤防河川に沿ひて所所切断せられ、その幾分 は相重複して二重若く三重堤をなすもの。つけながしはごろも。」 『霞堤』という言葉辞書初登場。 * 1927年昭和2年2月) 「河川工法三輪萩原俊一 著 「堤防ハ之ヲ連続堤防霞堤トノ二種二分チ得ベシ前者堤防連続シテ築造河水ハ必ズ堤防二依テ局限セラレ水流ヲシテ堤内地侵入セシメザルニアリ 後者堤防ヲ第百十六図二示ス如ク若干間隔ヲ保 チテ雁行配置シ或ル程度河水堤内逆流セシメ堤内ノー部ヲ貯水池トシテカシメ之二依テ洪水ノ下 流二殺到スルヲ調節スルノ自的二適用スルノ工法ナリ河川工学関係書で初め霞堤紹介される。この説明洪水調節機能前面押し出しており、第百十六図は、急流河川霞堤緩流河川である豊川霞堤折衷のようなとなっている。 * 1936年昭和11年) 「治水工学宮本武之輔 著 「堤防下流端を開放し次の堤防の上流端を堤内延長して之と重複せしめる様に作った不連続堤を霞堤と言う急流河川採用せられ、洪水一部霞堤末端迂回して堤内逆流侵入するが、湛水時間が短いから農作物等の被害少なく却って肥土沈殿せしめる利益がある。霞堤遊水地設けて河積の増大緩和するのを目的為に採用せられ、兼ねて悪水路を茲に導いて樋門等の設備省略し得る利便がある」 霞堤急流河川採用されるのであるが、その機能については「洪水調節」を挙げるとともに堤内悪水すなわち排水河川に導く「内水排除」を付け加えている。実はこの見解が、その後のほとんどの河川工学書に引用され現在の霞堤対す一般的評価になっている。 * 1936年昭和11年) 「明治以前日本土木史」土木学会編 「信玄甲府盆地水害除去せんが為め、釜無川始めて霞堤築造し(御本丸書上)、又水制として優秀な聖牛棚牛… 」「霞堤天文十一年(二ニ〇二)武田信玄釜無川筋に築造したるものを嚆矢とし、其代表的なもの中巨摩郡竜王村現存する僑玄堤なり。本堤防は、始め延長三百五十間、敷幅八間、高一間土堤築きて本堤となし、其川表に延長千百五十間、敷輻六間、高一間石堤設けたものなり 而して霞堤工法急流河川適応するを以て今尚釜無川手取川豊川・及び其他の河川の上流部に多数存在す。」 『霞堤』という用語を定義しないまま使用竜王村信玄堤緩流河川豊川不連続堤に『霞堤』と記載している。 信玄堤原典ともいうべき「御本丸書上」は貞享5年(1688)に甲斐竜王村名主達が時の代官奉った文書であり、武田信玄以来堤防様子から、これを守るための水防状況部落移動、税免除経緯など述べられている。しかし、ここで述べられている堤防状況は、霞堤形態とは異なっている。釜無川において霞堤形態有していた堤防は、この竜王信玄堤下流に続く堤防群であり、江戸時代末期文化3年11年(1806~1814)に甲府城勤番師という役職にあった松平定能執筆した甲斐国志」に「雁行差次シテ重複セリ」と表現されたもので、竜王堤防同様に信玄堤呼ばれている。 ここで信玄堤引き合いに出すことによって『霞堤』が古くから存在している言葉あるよう錯覚起こり、現在に至っている。 またテンプレでよく使われる信玄堤霞堤」「霞堤信玄堤が有名」「霞堤武田信玄によって考案された」の誤解広まっている。 単語としての『霞堤』の広がり豊川一例として挙げると、豊川にある緩流河川不連続堤は『鎧堤(よろいづつみ・よろいてい)』、『羽衣堤』と呼ばれていた。昭和初期には『鎧堤』が主流で『霞堤』と併用されていたが、昭和30年代には『霞堤』が主流になった

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