化学組成による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 09:59 UTC 版)
鉱物結晶 元素鉱物 ~ ダイヤモンド C、硫黄 S実質ダイヤモンドのみで、硫黄は硬度が低い(モース硬度2)ため、コレクターズアイテムとしてしか扱われない。 硫化鉱物 ~ 白鉄鉱、黄鉄鉱 ともに FeS2、黄銅鉱 CuFeS2 など。ヴィクトリア朝のイギリスなどでは多用されたが、時間と共に空中の湿気と反応して硫酸が浸み出る欠点がある。 現在では鉱物収集家のコレクターズアイテムとして扱われ、宝石として扱われることはほぼ無い。 酸化鉱物 ~ 石英 SiO2、スピネル MgAl2O4、コランダム Al2O3 など。ケイ酸塩鉱物と共に多くの種が含まれる。 ケイ酸塩鉱物 ~ 緑柱石 Be3Al2Si6O18 、ジルコン ZrSiO4など。よく知られた宝石は、これか酸化鉱物のいずれかである。ケイ酸イオンの構造により、さらに細分化される。 ケイ酸塩及びホウ酸塩鉱物 ~ エルバイト Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 エルバイトはトルマリンの1種で、宝石質のトルマリンの大多数はこれに分類される。 トルマリンはエルバイト以外にも数種あり、その組成はまた異なる。 ケイ酸塩及びフッ化鉱物 ~ F-Type トパーズ Al2SiO4F2 フッ素 (F) が水酸基 (OH) に置換された OH-Type トパーズもある。 ハロゲン化鉱物 ~ 蛍石 CaF2 ヴィヨーマイト NaF2 など。美しいものもあるが、一般にどれも硬度が低く希少性にも欠ける(ただしヴィヨーマイトは希少)。 それ以上に食塩 NaCl に代表されるように、水溶性の石が多くコレクターズアイテムか飾り石程度にしか扱われない。 炭酸塩鉱物 ~ 方解石 CaCO3、白鉛鉱 PbCO3 など。ハロゲン化鉱物に同じ。ただし水に溶けてしまうようなことはあまりない。 リン酸塩鉱物 ~ トルコ石 CuAl6(PO4)4(OH)8·4H2O、バリサイト AlPO4・2H2O結晶構造による分類 鉱物結晶由来の石は、一つの大きな結晶からなる単結晶と、複数の小さな結晶粒が無数に集合して成立する多結晶の二つに大別される。多結晶に分類される石は、その全てが不透明~半透明であり、結晶と結晶の間に隙間を有する(多孔質)ため、染料などで染めやすいといった特徴がある。このような多結晶の石を集合体と呼び、構成する結晶粒の大きさにより、それぞれ顕晶質(結晶粒を肉眼で確認できる)、微晶質(結晶粒を顕微鏡下で確認できる)、潜晶質(直交ニコル顕微鏡下でのみ結晶粒が確認できる)と呼んで区別する。単結晶 - ダイヤモンド、サファイアなどよく知られた透明な鉱物結晶宝石。 顕晶質集合体 - 水晶の群晶(クラスター)など。置物などにはされるがあまり装身用のジュエリーにはならない。 微晶質集合体 - アヴェンチュリン、クォーザイトなど。 潜晶質集合体 - カルセドニー(玉髄)、ターコイズ(トルコ石)など。 固溶体(混晶) ペリドット (Mg,Fe)2SiO4 ガーネット ~ 主に以下の6種のケイ酸塩鉱物の固溶体。但し、比重の関係から下の3種(含カルシウム系)と上3種が混じりあうことは滅多にない。アルマンディン Fe2+3Al2(SiO4)3、パイロープ Mg3Al2(SiO4)3、スペッサルティン Mn3Al2(SiO4)3 アンドラダイト Ca3Fe3+2(SiO4)3、グロッシュラー Ca3Al2(SiO4)3、ウヴァロヴァイト Ca3Cr2(SiO4)3 ラピスラズリ 詳細については「ラピスラズリ#成分」を参照 など。ガーネットやペリドットは固溶体であるが、構成する物質はどれもケイ酸塩鉱物なのでケイ酸塩鉱物とも言える。 非晶質 オパール、黒曜石(オプシディアン)、モルダバイト、テクタイトなど。 主成分はどれも二酸化ケイ素 SiO2。 生物由来(化石) 黒玉、アンモライト、琥珀など。 生物由来(化石以外) サンゴ、真珠、螺鈿、青貝、シェル、象牙、鼈甲など。 象牙、鼈甲以外の主成分はどれも炭酸カルシウム CaCO3。 象牙の主成分はヒドロキシアパタイト Ca5(PO4)3(OH)で鼈甲はタンパク質。 その他 キュービックジルコニア(二酸化ジルコニウムと安定化剤の混合物)、隕石など。
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化学組成による分類
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詳細は「鉱物の一覧」を参照 「シュツルンツ分類」も参照 元素鉱物以外の分類は、含まれる負イオンの種類によって行なわれる。また、リン酸塩鉱物とバナジン酸塩鉱物のように負イオンの性質および形状が類似するものは、分類方法によっては一つのグループとされる場合がある。 元素鉱物 単独の元素からなる鉱物。自然金(Au)、自然銀(Ag)、自然銅(Cu)、自然蒼鉛(Bi)、自然テルル(Te)、自然硫黄(S)、石墨・ダイヤモンド(C)など。自然真鍮(CuZn)のように特有の結晶構造をもつ合金についてもここに分類される。ただし合金であってもイリジウム-オスミウムのように単純に固溶体を形成しているだけの場合は鉱物種とはならない。 硫化鉱物 金属元素と硫黄とが結合している鉱物。熱水鉱床などでよく見られる。黄鉄鉱(FeS2)、黄銅鉱(CuFeS2)、方鉛鉱(PbS)など。 酸化鉱物 金属元素と酸素とが結合している鉱物。石英(SiO2)、赤鉄鉱(Fe2O3)、磁鉄鉱(Fe2+Fe3+2O4)、チタン鉄鉱(FeTiO3)、スピネル(MgAl2O4)、コランダム(Al2O3)など。 ハロゲン化鉱物 金属元素とハロゲン元素とが結合している鉱物。岩塩(NaCl)、蛍石(CaF2)など。 炭酸塩鉱物 炭酸塩からなる鉱物。方解石(CaCO3)、苦灰石(CaMg(CO3)2)など。 ホウ酸塩鉱物 ホウ酸塩からなる鉱物。硼砂(Na2B4O5(OH)4・8H2O)など。 硫酸塩鉱物 硫酸塩からなる鉱物。明礬石(KAl3(SO4)2(OH)6)、石膏(CaSO4・2H2O)、天青石(SrSO4)、重晶石(BaSO4)など。 リン酸塩鉱物 リン酸塩からなる鉱物。燐灰石(Ca5(PO4)3(F,Cl,OH))など。 タングステン酸塩鉱物 タングステン酸塩からなる鉱物。灰重石(CaWO4)など。 ケイ酸塩鉱物 ケイ酸塩からなる鉱物。カンラン石、輝石、角閃石、雲母、長石、沸石など。ケイ酸イオンの構造により、さらに細分化される。 有機鉱物 有機物からなる鉱物。他の鉱物は無機物からなるので対をなし、無機鉱物と同じく一応分類は可能であるが、40種ほどしか見つかっておらず、普通は「有機鉱物」でひとまとめにされている。 水を成分として含む鉱物を含水鉱物としてまとめることもある(雲母、角閃石など)。 炭酸塩鉱物、ホウ酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、燐酸塩鉱物、ケイ酸塩鉱物を酸素酸塩鉱物としてまとめてることもある。 無機鉱物と有機鉱物に大別されることもある。
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