化学結合からの定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 01:16 UTC 版)
金属を原子の化学結合で定義する場合、特有の金属結合で説明される。これは、カチオン化した金属元素が規則正しく並び、その間を自由電子が動き回りながら、これらがクーロン力で結びついている結合を指し、常温下でこのような結合状態にある物質を金属と定義している。 原子の配列は、ほとんどの場合、面心立方格子構造 (fcc)、体心立方格子構造 (bcc)、六方最密充填構造 (hcp) のいずれかを取り、元素の種類や同じ元素でも状態によってそれぞれの構造となる。この構造はそれぞれ原子充填率が異なり、金属の塑性変形に影響を与える。 自由電子理論では、金属とは陽子がつくる格子状立体の中を電子が自由に飛び回っている状態 (Drude, 1900)、自由電子の気体の中に鋼体球(陽イオン)が浸かっている状態 (Lorentz, 1923) という表現で、カチオンと電子雲が結合する様子と自由電子のふるまいを説明した。この自由電子の存在が金属の特徴をもたらす。物体に外部の力が加わってズレが生じた際、イオン結合の物質は静電反発が起こり壊れるのに対し、金属は自由電子が取り囲んでいるために結合が安定する。金属光沢は、自由電子がほとんどの可視光をはねかえす、実際は自由電子の集団が様々な波長の光を吸収し再放出するために、全体では反射し光沢を持っている様に見えることによる。導電性には、電荷を持つ電子が自由に動き回りながら電極間に電荷を受け渡すことで寄与している。
※この「化学結合からの定義」の解説は、「金属」の解説の一部です。
「化学結合からの定義」を含む「金属」の記事については、「金属」の概要を参照ください。
- 化学結合からの定義のページへのリンク