代表的な代用魚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 08:42 UTC 版)
和名(別名) - 用途 アカニシ - サザエの代用。サイズは似ているが、目レベルで系統が違い、殻付きでは一目瞭然のため、剥き身の串焼きやスライスにした炊き込み飯の具として偽装されていた。三河湾や瀬戸内海、有明海では郷土料理として廉価で手頃な食材とされる。 アカマンボウ - マグロの代用。 イタヤガイ - アオヤギの代用。 ウシエビ(ブラックタイガー) - クルマエビの代用。いずれもクルマエビ科に属する近縁種。国産クルマエビの枯渇が顕著になってきた1980年代より輸入が始められた。導入から長い期間が経ち、知名度が高まり、代用魚という割り切りが消費者にも高い種となっている。原産地では、日本・中国向けの養殖が盛んになり、マングローブの破壊が深刻化している。 オヒョウ - エンガワ(ヒラメ)の代用。同じカレイ目ながら、オヒョウはカレイ科、ヒラメはヒラメ科に属するやや遠縁の関係。偽装魚を非難するサイトでは、意図的に腹側の写真を記載してカレイと思わせない演出が行われる。代用が知られるようになって、メニューには単純に「エンガワ」と表示する例が増えている。枯渇に伴い、近縁種のカラスガレイに移行しつつある。 カラスガレイ - エンガワの代用。原産地のグリーンランド近海では、北西大西洋漁業機関(NAFO)加盟国の漁業枠を巡るカナダとスペインの係争を引き起こすほどの重要種。日本も本種とタイセイヨウアカウオ確保のためにNAFOに加盟しているが、漁業枠が回ってこない年が連続するほどの希少種となっている。 カラフトシシャモ(カペリン) - シシャモの代用。もはや本物のシシャモの味を知らない消費者が多いほど浸透した代用魚。どちらもキュウリウオ科ではあるが属が違う。日本の消費者が「子持ちシシャモ」を好むためにメスの消費とオスの投棄が続出し、資源枯渇に拍車をかけている。 ギンダラ - ムツ、タラの代用。カサゴ目であるが、ギンダラが標準和名である。優良な白身魚であることから、加工食品に適した万能魚とされる。日本漁業関係者も北洋漁業の有料資源として開発したが、好漁場を抱えるアメリカ・カナダ・ロシアの締め出しを受けて完全輸入を余儀なくされている。 マジェランアイナメ(メロ、銀ムツ) - ムツの代用。 サルボウガイ - アカガイの代用。どちらも同じアカガイ属で近縁関係にあり、岡山県や島根県では郷土料理の食材だが、アカガイの半分程度の5cmしか成長しない。小型なので刺身・寿司ネタには代用されず、缶詰佃煮に多用される。 ティラピア - マダイの代用。全世界で養殖されている優良な養殖魚。ただし、コピー元のマダイ養殖技術が躍進し、マダイ養殖が完全に軌道に乗ったことを受けて、コストが逆転したティラピア養殖は無用となりつつあり、代用魚としての役割は国内では終わりに近い。 ナイルパーチ - スズキの代用。 ホキ - スケトウダラの代用。白身フライなど。同じタラ目ではあるが亜目レベルで別の系統に属する。淡白で上質の白身魚で、乱獲の末にニュージーランド漁場が荒れ、自主規制に踏み切る外食産業も増えてきたほか、同属の「デコラ」という南米産のホキ代用魚まで導入されつつある。 マルアナゴ(アンギーラ) - マアナゴの代用。ウナギ目アナゴ亜目ウミヘビ科に属するアナゴの近縁種であるが、偽装魚批判サイトでは無知か意図的か、爬虫類コブラ科ウミヘビ亜科と混同する情報を流している。原産の南米ではAnguilla=ウナギと呼び、食用としている。コピー元のマアナゴに比べ脂ぎった食味といわれる。 メルルーサ - スケトウダラの代用。白身フライなど。 ロコガイ - アワビの代用。 ヨーロッパウナギ ・アメリカウナギ・ビカーラウナギ - ニホンウナギの代用。ヨーロッパウナギは1990年代に中国の漁業者がアメリカ沖で幼魚を捕獲して本国の養鰻場で肥育し、日本に輸出するルートを確立したが、乱獲のため2009年よりワシントン条約に基づき漁獲制限がかけられた。日本の業者は残るアメリカウナギとビカーラウナギにシフトしているが、原産国はヨーロッパウナギの二の舞を危惧している。
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