代表的な作品例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 01:29 UTC 版)
『オデュッセイア』は、西洋世界で最も古い物語の一つであり、スリラーのプロトタイプの初期のものと見なされている。主人公オデュッセウスはトロイア戦争の後命がけの航海を行い、大変過酷な苦難を克服して妻ペネロペの許に戻ろうとするのである。一つ目の巨人キュクロープス、歌で船乗りを滅ぼすセイレーンなど恐るべき敵と戦った。ほとんどの場合、オデュッセウスは野蛮な力ではなく知略をもって危機を乗り越えていく。 『モンテクリスト伯』はエドモンド・ダンテスの向こう見ずな復讐劇である。彼は友人に裏切られ、ディフ城に囚われる身となる。ただ一人の仲間である老人から、哲学から剣術にいたる全てを学んだ彼は、瀕死の老人から秘宝の在処を教えられる。やがてダンテスは策をこらして脱獄、秘宝を用いて自らをモンテクリスト伯と認めさせる。復讐の念にかられた彼は、自分の人生を破壊したものどもを罰していく。 『ドラキュラ』はゴチック時代の超自然スリラーである。日記、書簡、新聞の切り抜きを交えて一人称で語られる。若い英国人ジョナサン・ハーカーはドラキュラ伯と名乗る顧客に会うためにカルパチア山脈を旅する。ところがドラキュラ伯は彼に恐るべき実体をみせ、ハーカーは命からがら逃亡する。ドラキュラ伯もすぐに英国に向かい、ハーカーに死と脅迫をもたらそうとする。ハーカーと友人たちは恐れをなし、最新の科学を以て古代の迷信と戦っているエイブラハム・(ヴァン)・ヘルシング教授に援助を求めざるをえなくなる。 『闇の奥』は船乗りマーロウの独り語りである。彼はカーツという名のベルギー人商人を探してコンゴ河を旅した。奥地へ奥地へと向かうにつれ、人間のもつ残忍性と非人間性がむき出しになっていく。文明が果て、未開が始まる地について語るマーロウの口は次第に重くなっていく。 『ランボー』は現代のアクション小説の祖と広く考えられている。PTSDに悩む若いベトナム帰還兵(ランボー)が朝鮮戦争で戦った経験のある保安官と出会う。保安官はランボーを自動車に乗せ町から追い出そうとするが、そのときケンタッキーの田舎にいるランボーの頭の中にはベトナム戦争の森が、丘が、洞窟が奔流のように浮かぶ。世代間の衝突だけでなく正規軍とゲリラ戦争との衝突となった。 『24 -TWENTY FOUR-』はテンポの速いテレビシリーズであり、対テロ戦争の影響がある。各シーズンは24時間の進行に合わせて構成され、各話(1時間)が「リアルタイム」に進行する。画面分割や画面上の時計が技法として用いられている。ジャック・バウアーとその同僚がテロリストの脅威と戦う様を追う。 他の例としては、『サイコ』、『レッドオクトーバーを追え』、『ジャッカルの日』、『ダ・ヴィンチ・コード』、『ジュラシックパーク』などがあげられる。このジャンルに深く関係した作者ではロバート・ラドラム、デイヴィッド・マレル(英語版記事)、フレデリック・フォーサイス、ダン・ブラウン、トム・クランシー、マイケル・クライトン、イアン・フレミング、アリステア・マクリーンなどがあげられる。
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