京セラドーム完成後
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さらに1997年(平成9年)に大阪ドーム(京セラドーム大阪)が完成すると、阪神は同ドームで主催公式戦を年3カード前後開催するようになり、このうちの1カード3連戦を8月15日前後に設定している。他に選抜高等学校野球大会期間中の「ホーム開幕シリーズ」3連戦も恒例。もう1カードも夏場だが、当初は梅雨時に行われていた。しかし、セ・パ交流戦が導入された2005年以降は夏休み期間に行われるケースも多い。特に2007年は8月14日から8月19日まで大阪ドームで阪神主催の6連戦が編成された(対中日ドラゴンズ、広島東洋カープ各3連戦)。また2009年はセ・リーグの公式戦3カード(9試合)に加え、セ・パ交流戦の北海道日本ハムファイターズ戦2試合(当初、甲子園球場での開催予定だったのを変更)が追加され、4カード11試合となった。京セラドームで主催試合が行われるようになって選手は高校野球期間中でも一度自宅に戻ることが可能となり、「長期遠征」「死のロード」という概念は年々薄らぎつつある。 「阪神タイガース#主催ゲームの開幕戦」および「大阪ドーム#阪神主催試合」も参照 2002年に星野仙一が阪神の監督に就任した際、この長期遠征を迎えた折に報道陣から意気込みを問われたときに「もう『死のロード』は死語」と釘を刺したことなどもあって、これ以降は単に「長期ロード」と呼ばれるようにもなった。 「死のロード」の表現を避けるもう一つの根拠として、ドーム球場での試合の増加が挙げられる。暑い時期である8月に、高校野球期間中唯一関西で主管試合を開催する京セラドーム大阪のほか、セ・リーグ他球団の本拠地(ナゴヤドーム、東京ドーム)でのビジターの試合もあり、トータルでは空調完備で屋外球場より涼しいドーム球場での試合数が半数程度を占めることも挙げられる。ただ現在でも「死のロード」の表現を使うこともある。 阪神とオリックス・バファローズは2005年から2007年までの3シーズンの間、兵庫県と大阪府の2府県を暫定的に保護地域としていた。また1997年以降、阪神が京セラドーム大阪を使用する場合はオリックス(2004年までは大阪近鉄バファローズ)と折衝を行った上で使用日程を決めている。また2008年以降は阪神が兵庫、オリックスが大阪にそれぞれ保護地域を一本化されたが、仮にこの間、8月中旬の大阪ドームの使用日程が調整できない場合は、神戸を使用する可能性が若干ながらあるものの、オリックスは大阪ドームでの公式戦の観客動員数が伸び悩んでいることなどから、引き続き神戸での開催数を年間20試合程度確保したい旨を表明していた。阪神も大阪ドームで引き続き公式戦を開催する予定であることなどから、両球団は双方の保護地域での試合数確保について今後も引き続き協力し合う意向を明らかにしている。 詳細は「プロ野球地域保護権#備考」および「オリックス・バファローズ#大阪・神戸との関係」を参照 このことから、2008年以後も甲子園球場が使えない夏季の長期遠征実施時の関西圏での主催試合は京セラドームのみで開催されており、神戸を含む本来の兵庫県など周辺府県では1試合も行われていない。 2009年以前は、後述の2008年以外、ほぼ8月4 - 5日ごろまで甲子園球場で公式戦をしたのち、約3週間程度の遠征という体が続いていたが、2010年代になってから、甲子園練習(2015年除く)などの事前準備期間の増加などから遠征日数は増加の傾向をたどる。2010年(8月2日から8月29日)と2012年(8月3日から8月30日)、2013年(期間は2010年と同じ)はいずれも4週間かけての24試合と、ここ数年で最長の長期遠征(途中、大阪ドームでの主催試合がそれぞれ2カード組まれている)となった(2008年も高校野球の開幕時期が8月2日 であることを考慮して7月28日から8月25日のほぼ1ヶ月間甲子園を離れていたが、途中にオールスター、北京オリンピック野球日本代表の強化試合および五輪本戦の開催に伴う中断期間があった)。 しかし、2017年(平成29年)は7月28日の中日戦を皮切りに、8月27日の巨人戦まで、途中京セラドームでの阪神主催2カード・6試合(8月4 - 6日・ヤクルト戦、8月15 - 17日・広島戦)を挟む形で、ちょうど1か月に当たる31日間・延べ27試合にわたり、上記よりもさらに長い過去最長の遠征となった。2018年(平成30年)も同様に、途中京セラドームでの主催2カード・5試合も挟みつつ7月27日より8月26日までの長期遠征となっている。 2020年(令和2年)は高校野球に加えて東京オリンピック開催もあり、当初は甲子園球場では7月19日から8月31日まで主催試合が行われない予定(但し、そのうち7月19日から8月13日まではオールスターと東京五輪開催による公式戦中断期間であり、長期遠征としては実質2週間程度である)だった。しかし、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大した影響で高校野球は中止(春、夏とも)、東京五輪は1年延期となり、プロ野球も開幕が延期されてシーズン日程が再考され、8月上旬まで甲子園で試合が組まれることとなった。ただし、高校野球の中止決定後も阪神球団と甲子園球場は8月の甲子園大会期間中の予定を当初のまま埋めないようにしたため、本来の夏の甲子園開催予定日だった8月10日から8月25日までは甲子園での試合は組まれず、例年より少し短い程度に甲子園を離れる期間は生まれる。結果的にはその期間には中止となった春の選抜大会(第92回選抜高等学校野球大会)出場校救済の代替大会「2020年甲子園高校野球交流試合」が開催された。また2020年度のペナントレースは本拠地球場以外の地方球場での開催が、コロナの検査・検疫体制などの問題で大幅に変更・中止されたため、8月中の甲子園以外での主催は8月14日から8月16日に京セラドーム大阪で予定される広島戦3連戦のみとなった。 また、開幕直後は感染拡大を避けるために一定期間を特定の地域で集中開催して長期移動の回数を極力減らすような日程が組まれ、東日本→西日本と開催地が移っていくため、阪神は6月19日の開幕から5カード連続してビジターでの試合となった。一方、甲子園球場に戻ってからは7月7日の初戦から7月23日からまで5カード連続でホームゲームとなっている。結果的にこのビジター5カードは4勝10敗、ホーム5カードは9勝3敗1分け(いずれも雨天中止の試合は除く)と対照的な結果となった。 2021年は第103回大会の相次ぐ雨天順延により、日程が阪神戦が再開される8月31日以降にずれ込む可能性が出たため、その場合は昼に高校野球を、夜に阪神戦を行うという異例の措置を取る方向で、日本高野連・朝日新聞社とNPB・阪神球団の間で調整されたが、大会が8月29日に終了したことで、この措置は取られなかった。
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