中央・南フロリダの治水・排水事業 (C&SF) の再検討
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「エバーグレーズの復元」の記事における「中央・南フロリダの治水・排水事業 (C&SF) の再検討」の解説
1992年水資源開発法の一部として、連邦議会は中央・南フロリダの治水・排水事業 (C&SF) の効果の評価を承認した。「再検討」と呼ばれる報告書はアメリカ陸軍工兵司令部と南フロリダ水質管理地区が作成したものであり、1999年に連邦議会に提出された。その中では、体系全体にたいする有害度の指標として、エバーグレーズ当初面積の減少50%、貯水量の減少、放水の有害なタイミング、過去50年間で渉禽類個体数の85ないし90%減少、商業漁業からの水揚げ高減少が挙げられていた。オキーチョビー湖、カルーサハッチー川、セントルーシー入り江、ワースラグーン湖、ビスケーン湾、フロリダ湾、エバーグレーズを含む水域が、異常な水位の変化、塩分濃度、海洋と淡水生態系の劇的な変化を反映していた。この再検討では、過去50年間にわたる水質の全体的低下は、汚染された水のフィルターとして機能する湿地が失われたことで生じたと述べていた。今後の介入が無ければ、南フロリダ全体の生態系が悪化すると予測していた。運河によって1日約1,700億USガロン (640 ギガリットル) の水を大西洋あるいはメキシコ湾に流しているので、貯水する機会が無く、洪水は今でも問題のままである。現体系に変更が無ければ、1年おきに取水制限が必要となり、特定の場所では毎年取水制限することになると予測した。包括的計画に尽力することなくプロジェクトの一部を改訂することは、不十分であり、おそらく有害なものになるとも警告した。 「再検討」は10の計画を評価した後、20年間で78億ドルを要することになる包括的戦略を推薦した。この計画は次の行動を提唱している。 地表水貯水池を創設する、幾つかの場所181,300エーカー (734 km2) を使い、150万エーカー・フィート (1.9 km3) の水を貯める。 水保存地域を創設する、マイアミ・デイドとパームビーチの間とエバーグレーズ東部で溢流水を扱う。 オキーチョビー湖を生態的資源として管理する、水生植物や動物の生命に有害となり、堆積を妨げる湖面水位の異常な上下を避ける。 支流への排水を改善する、栄養分のバランスをかき回し、魚に損傷を与えることになる過剰水をカルーサハッチー川やセントルーシー川に急激に排水する量を削減する。 地下の貯水量を増やす、フロリダ帯水層の井戸あるいは貯水池の中で1日160億USガロン (61 ギガリットル) を貯め、後の乾季に使えるようにする。帯水層貯蔵回復と呼ばれる方法である。 水処理用湿地を構築する、全部で35,600エーカー (144 km2) となる雨水処理区 (STA) 、環境における汚染物の量を減らす。 排水量を改善する、エバーグレーズに対しては、シャーク川沼地に排水する量を約26%増やす。 薄層流に対する障壁を除去する、総延長240マイル (390 km) の運河と堤防を破壊または除去する。特にマイアミ運河を除去し、ハイウェイから排水溝や橋までタミアミ・トレイルを再建し、薄層流をより自然に近い流速に戻してエバーグレーズ国立公園に導く。 水を採石場で貯めて、廃水を再利用する、既存の採石場を活用し、南フロリダ都市圏、ならびにフロリダ湾やエバーグレーズに水を供給する。2か所の廃水処理場を建設し、1日220億USガロン (83 ギガリットル) を排水可能にし、ビスケーン帯水層に貯め戻す。 この報告書は、提唱する行動の全てを実行することで、「南フロリダ中に健全で持続的発展が可能な生態系を再生させる結果に」なると述べている。この報告書は全ての回答を出していないことを認めているが、如何なる計画もそれはできない。しかし、「残っている体系の大きな部分に関わる、排水前の湿地の基本的な決定様相」を修復できると予測し、また全ての動物の個体数が増え、動物の分布パターンが自然の状態に戻ると予測した。批評家は使われていない技術の幾らかに関する心配を表明した。科学者は、採石場が提案されているほどの水量を保持できるか、水は採石場から有害なバクテリアを貰うのではないか、不安視した。帯水層に対する過剰な負荷が別の心配事であり、以前に試みられた技術ではなかった。 この再検討は楽観的であるが、次のように述べている。 「修復された」将来のエバーグレーズが過去に存在した、いかなる時期のエバーグレーズとも異なるであろうことを理解するのは重要である。それは現在の生態系よりも遥かに優れたものになるのは確実であろうけれども、排水前の生態系を完全に復元できるわけではない。なぜなら、すでにここの生態系に対して不可逆的な変更をヒトが加えてしまったからである。よって、排水以前にあった生態系よりも小さく、幾らか違った形に配置されたエバーグレーズになる。それでも排水以前のエバーグレーズにおける水循環のパターンや、生物の生息パターンに近づくであろうから、また地球上の他のどの湿地帯とも異なったものになるので、元のエバーグレーズの野性味と豊かさを想起させる場所になるだろう。 この報告書は、目標が紛糾の種になることが多かった多くの機関が協力した結果だった。最初の草稿はエバーグレーズ国立公園管理者に提出された。彼らは公園に十分な水が放水されず、優先順位は都市圏に水を配給することに置かれていると主張した。彼らがその報告書を支持することを拒否すると脅すと、計画が書き直されて、公園により多くの水を流すようにされた。しかし、ミコースキー族インディアンが公園と水量制御装置の間に居留地を持っており、部族の土地と5,000万ドルのカジノが洪水にならないことを確保するために訴訟を起こすと脅した。その他の特殊な関連団体も、企業と住民が自然の次に優先順位があると心配していた。しかし、エバーグレーズは超党派の大義であることが証明された。このエバーグレーズの環境復元事業 (CERP) は、2000年水資源開発法で承認され、2000年12月11日にビル・クリントン大統領が署名して法制化された。連邦政府とその他の資源に分配されて実行されるために13億ドルの即座の使用を認めていた。
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