三重塔初層荘厳画とは? わかりやすく解説

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三重塔初層荘厳画(板絵著色)

主名称: 三重塔初層荘厳画(板絵著色)
指定番号 1994
枝番 0
指定年月日 2002.06.26(平成14.06.26)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 48
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  天台宗・竜応山西明寺の三重塔鎌倉時代後期建立とされ、中世和様三重塔代表例としてすでに国宝建造物指定されている。その初層内陣には、須弥壇床板を除くすべて表面に、彩色による荘厳施されている。このうち内陣中央の須弥四隅に立つ四天柱には金剛界三十二尊が、八面の脇間壁には法華経曼荼羅図描かれており、作風から塔の建立もしくはこれとさほど隔たらない時期制作考えられる
 四天柱は、各々文様帯で上中下の三段区切られ上段中段金剛界曼荼羅成身会の金剛界三十七尊のうち、五智如来を除く三二菩薩像四波羅蜜菩薩一六大菩薩八供養菩薩、四摂菩薩)を描いている。その配置法は、成身会において大日如来東・南・西・北各方位に属する諸菩薩を、西南・西北・東北東南の各配当し、かつ八供養菩薩中段南北面に、四摂菩薩西側二柱中段西面東側二柱中段東面配するなど、概ね一定の図像学法則に基づく構成とっている。その作風は、像形整えるために正中線用い、また着衣には段暈を施すなど、伝統的な作画技法則っている。さらに、青色多用する色感や、沈鬱印象与え顔貌描写などには宋画の影響うかがえ総じて鎌倉時代後期特徴を示すものである
 一方、脇間壁八面には、法華経二十八品の説話を、西面南側壁起点として順次描いている。各壁面二品から五品ずつを割り当て説話総数六四、五に及ぶが、この説話数は、鎌倉時代後期静岡本興寺四幅本(重文)や奈良国立博物館七幅本(滋賀観音正寺旧蔵)と近似する。また各説場面では、広やか風景中に仏菩薩俗人などの多様な登場人物を、自然な比率比較小さく描き如来大きさ極端に強調していない。この点は、鎌倉時代中期制作とされる石川本土寺観音経絵(重文)に通じ特徴である。さらに画中に描かれ宝塔卒塔婆は、一三世紀後半現存遺品と近い形態示し、船、宮殿等の形式は、宋元画鎌倉時代絵巻物見られるモチーフ類似することが指摘されている。
 以上の諸点から、本壁画制作時期鎌倉時代後期考えられるが、その画面には古様な伝統認められる例えば、西面南北二壁が春景南面西側壁と北面西側壁が夏景というように二面ごとに春夏秋冬描き分け全体四季絵としての性格備える点は、古い法華経障子絵伝統受け継ぐ要素として注目される。また第六功徳品において、水辺や馬が戯れる水景場面は、流暢古朴筆致描かれていて、古様なやまと絵風の画趣富んでいる。すなわち本壁画は、平安時代における四季絵形式法華経二十八品大意絵の伝統を汲むものであり、さらに壁画二十八品大意絵の完存する唯一の遺例として、貴重な意義有している。
 本件柱絵と脇間壁相伴って中国隋唐時代以来堂塔荘厳画の伝統立脚したわが国における稀有現存遺品として、高い価値有するのである



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