三重県縄生廃寺塔心礎納置品
主名称: | 三重県縄生廃寺塔心礎納置品 |
指定番号: | 445 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1989.06.12(平成1.06.12) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 考古資料 |
ト書: | |
員数: | 一括 |
時代区分: | 奈良 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 縄生廃寺は三重県の北東部、伊勢湾に注ぐ員弁【いなべ】川右岸の朝日丘陵上に位置する。本遺品は昭和六十一年の鉄塔建設計画に伴う発掘調査によって、塔基壇【とうきだん】(一辺一〇・二メートル)の心礎舎利孔【しんそしやりこう】から発見されたものである。心礎は基壇の地下一・五メートルにあり、長径一・八メートル、短径一・二メートル、厚さ〇・八メートル以上の花崗岩【かこうがん】である。この花崗岩のほぼ中央に深さ一三・五センチの舎利孔が穿【うが】たれており、この中に三彩碗を被せた石製外容器が納められ、その内にガラス舎利容器が納置されていた。 ガラス舎利容器は、現状は卵形(水滴形)を呈した容器で、色調は淡黄緑色【たんおうりよくしよく】を呈する。器面は風化により不透明で、一部に砂粒【さりゆう】等が沈着している。頂部に不整形な口孔【こうこう】があるが、折損によるものか、本来の口縁であるか明らかでない。胴部中央に浅い一条の溝が巡っている。石製外容器は蛇紋岩【じやもんがん】製の挽物【ひきもの】である。高台付有蓋壺【こうだいつきゆうがいこ】で、身・蓋とも濃緑色【のうりよくしよく】地に灰褐色【かいかつしよく】の斑文【はんもん】をもつ同一石材で作られている。斑文が器面を装飾する効果を出している。身は口縁が短かく直立し、肩部に蓋受【ふたう】けの平面を作る。胴部は緩かに内湾し、低い高台を造り出す。蓋は円形鈕部【えんけいちゆうぶ】を伴う扁平な宝珠鈕【ほうじゆちゆう】を付け、笠部【かさぶ】は平坦となっている。三彩碗は唐三彩【とうさんさい】である。内・外面に緑・白・褐色の三彩を鹿【か】の子【こ】文様に施すが、底部で釉【ゆう】が厚く鮮明さに欠ける。体部文様は半弧文【はんこもん】が鱗状【うろこじよう】に四~五段重なり、各々の内に数箇の珠文【しゆもん】を施す。底部文様は二重圏線【にじゆうけんせん】と四弁の花文が散り嵌められている。内面には三又【みつまた】トチンの痕跡を残す。釉の流下は口縁に向かっている。全形をよく保ち、保存度も良好である。 このような舎利具の納置状況の明らかなものは、滋賀県崇福寺【すうふくじ】跡、岐阜県山田寺【さんでんじ】跡など数例が知られるのみで、塔心礎への埋納状況を知りうる舎利具の遺品として学術的価値は高く、わが国の仏教文化をみるうえに貴重な資料である。 |
考古資料: | 三角縁神獣鏡 三重県宝塚1号墳出土品 三重県斎宮跡出土品 三重県縄生廃寺塔心礎納置品 上総木更津金鈴塚古墳出土品 上野前橋天神山古墳出土品 上野千網谷戸遺跡出土品 |
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