レンブラント研究プロジェクトとは? わかりやすく解説

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レンブラント研究プロジェクト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 23:40 UTC 版)

レンブラント・ファン・レイン」の記事における「レンブラント研究プロジェクト」の解説

20世紀初頭、レンブラント作品は約1000点が伝わっていたが、それらには常に真贋問題つきまとっていた。中には2枚真作エッチング合成して1枚贋作作った例まであった1968年オランダ応用化学研究機構 (Netherlands Organization for the Advancement of Scientific Research, TNO) が出資したレンブラント研究プロジェクト(en)が立ち上げられた。数々作品レンブラント真筆とする信頼できる再評価下すため、美術史家班は他分野専門家からの協力得て最先端技術診断を含む可能な限りの手段を用い彼の絵画収めた新しカタログ・レゾネ完成させようとした。 パネル年輪年代学や他の物理・化学分析ではほとんど贋作判定はできず、逆に18-19世紀の絵ではと考えられいたもの17世紀の絵だと判明するケースもあった。威力発揮した手法は、X線撮影によって下絵から書き進む段階明瞭にし、それらを基に図像学美術史家考証を行うという分析であった絵の具塗り方にむらや不必要な筆跡などが多く見られるものはレンブラント風を意図的に作ろうしたものであったり、また下書きがまだ乾かないうちに本塗りがされたために不規則なひびが入っているものなどが贋作判定の例となった。これらを通じ彼の真作による絵画は約300絞られた。ただし、この判断には段階設けられ、「真作可能性が高い (very likely authentic)」「真作可能性がある (possibly authentic)」「真作可能性が低い (unlikely to be authentic)」という評価それぞれに与えられている。 例えば、ニューヨークフリック・コレクションの『ポーランドの騎手』は以前からジュリウス・ヘルドら多く学者によって信憑性疑問呈され研究プロジェクトのジョシュア・ブリュン博士レンブラントの最も才能溢れながらあまり知られていない門下生ウィレム・ドロステ作品だと考えた蒐集したヘンリー・フリックは、視認できるサインRembrandt」(レンブラント)の前には、「attributed to」(…の所有物)も「school of」(…門下)も見えないとして、自身意見変えることはなかった。その後、サイモン・シャーマ(en)は1999年著作レンブラントの目』でフリック支持しプロジェクトのエルンスト・ファン・デ・ウェテリンク教授1997年のメルボルン・シンポジウムで真作説賛同の意を述べた多く学者は、出来栄えが不規則である点から、各部分を複数人物描いたものとい意見受け入れている。 『手を洗うピラト』もまた疑い持たれ作品である。これは1905年には疑問呈されており、ヴィルヘルム・フォン・ボーデはこの作品指してレンブラントにしては「どこかおかしな仕事」と述べた科学的な分析1960年代ら行われ、これはいずれかの弟子おそらくはアレント・デ・ヘルダーが描いたものと推測された。構成こそ表面的にレンブラント作品との類似性帯びているが、特徴である明暗モールディング技法表現性には欠けていた。 レンブラント版画一般にエッチング纏められているが、ほとんどはエングレービングであり一部ドライポイントがある。これらの真作300点を下回ったレンブラント生涯2000上の素描残したと伝わるが、現存する点数はこれを下回る。二組の専門家チーム発表によると、署名の状態から確かに彼の絵画であると言い切れるものは約75点にとどまるというが、これは議論の的となっている。このリストは、2010年2月行われた学術会議公表された。 レンブラント自画像90点あると考えられていたが、後に練習のために弟子模写させたものが含まれていることが分かった。現在では40数点の絵画若干数の素描、そして31点のエッチング学術的に判断され外されたものの中には代表作と見なされていた作品もあった。 その後真贋判定続けられている。2005年弟子作と考えられていた4点油彩レンブラント本人の作品という判定なされた。これらは『Study of an Old Man in Profile』『Study of an Old Man with a Beard』(2点ともアメリカ個人所有)、『Portrait of an Elderly Woman in a White Bonnet』(1640年作)、『Study of a Weeping Woman』(デトロイト美術館)である。 レンブラント工房体制真贋判定難しさ生んでいる。先人工房も同様ではあるが、レンブラント弟子たち彼の絵をよく模写させた。そしてそれらに仕上げ修正施し真作または正式な複製として販売していた。さらに、レンブラント絵画形式決し難しいものではなく才能ある弟子ならば模倣が可能であった。さらにこの問題複雑にした背景には、レンブラント自身の製作には品質的にぶれがあり、また頻繁に絵画形式変化させたり実験試みたしたことがある。彼の作品には後に贋作作られることがあった。また、真作中にもひどい損傷被ったものもあり、本来の状態をよもや認識できない作品もある。

※この「レンブラント研究プロジェクト」の解説は、「レンブラント・ファン・レイン」の解説の一部です。
「レンブラント研究プロジェクト」を含む「レンブラント・ファン・レイン」の記事については、「レンブラント・ファン・レイン」の概要を参照ください。

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