ピューマ【puma】
【ピューマ】(ぴゅーま)
Sud-aviation SA330 Puma
フランスのシュド・アビアシオン社(現ユーロコプター)が開発したターボシャフト双発の汎用ヘリコプター。
中型機のSA-316「アルーエト3」や、超大型機のSA-321「シュペルフルロン」を保有していたフランス軍であったが、その間を埋める輸送効率に優れたヘリコプターを欲したことから、1962年に「アルーエト4」として本機の開発が発注された。
1965年に初飛行した機体は、同時期のCH-53と同様、胴体横にスポンソンを持ち、その中に引き込み式のランディングギアを内蔵するという、現代のシングルローター式大型ヘリコプターの基本形とも言うべき構造を確立した。
従来の輸送ヘリコプターよりも洗練されコスト・パフォーマンスに優れていたため、大型ヘリコプターとしては軍民問わず多くのセールスを獲得した。
またイギリス空軍やルーマニア空軍では、現地でライセンス生産された機体が制式採用された。
現在では、後継型のシュペルピューマおよびクーガーが生産されている。
スペックデータ
SA330 | |
乗員 | 3名+兵員20名(最大) |
全長 | 18.21m |
全高 | 5.14m |
主回転翼直径 | 15.9m |
空虚重量 | 3,770kg |
最大離陸重量 | 7,400kg |
発動機 | チュルボメカ タルモIIIC4ターボシャフト×2基 |
超過禁止速度 | 310km/h |
巡航速度 | 280km/h |
航続距離 | 550km |
実用上昇限度 | 4,800m |
上昇率 | 9.2m/sec |
IAR-330L | |
全長 | 15.0m |
全高 | 4.6m |
全幅 | 3.38m |
主回転翼直径 | 16.2m |
空虚重量 | 3,615kg |
最大離陸重量 | 7,400kg |
エンジン | チュルボメカ タルモIVBターボシャフト(出力1,400hp)×2基 |
超過禁止速度 | 263km/h |
武装 | SOCAT改修前: NR-23 23mm機関砲×2門(装弾数400発(1門あたり)) DShKM 12.7mm重機関銃×2挺(ドアガン) UB-16-57 16連装ロケット弾ポッド×4基(S-5 57mmロケット弾を搭載) 9M14「マリュートカ」対戦車ミサイル×4基(試験のみ) 50kgまたは100kg爆弾×4発(試験のみ) SOCAT改修後: Nexter THL-20 20mmチェーンガン×1門(装弾数850発) UB-16-57 16連装ロケット弾ポッド×2基(スパイクER非搭載時は4基装備可能。) スパイクER対戦車ミサイル×8基 |
派生型
- SA330A「アルーエトIV」:
試作型。
- SA330B:
フランス陸軍向け初期生産型。
- SA330C:
輸出型。
- SA330E:
イギリス向け生産型。イギリス軍では「ピューマ HC Mk.1」と呼ばれる。
- SA330F:
民間向け輸出型。
- SA330G:
民間向け輸出型の改良型。
タルモIVCエンジンを搭載し、ローターを改良した。
- SA330H:
G型に順ずる近代化改修型。フランス空軍ではSA330Baと呼ばれる。
- SA330J:
民間向け近代化改修型。
- SA330L:
高地・高温環境対応型。
- SA330S:
ポルトガル向け輸出型。
- SA330Z:
フェネストロン試験機型。
- SA330「オーキデ」:
Orchidee捜索システムを搭載したフランス陸軍向け改造型。
- オリックス:
南アフリカの性能向上型。
- IAR-330:
ルーマニアでのライセンス生産型。性能はSA330Lに相当する。
- NAS330:
インドネシアでのライセンス生産型。性能はSA330Jに相当する。
ピューマ
ピューマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/13 14:49 UTC 版)
ピューマ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]()
ピューマ Puma concolor
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1][2][3] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約附属書II
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Puma concolor (Linnaeus, 1771)[3][4] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ピューマ[4][6] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Cougar[3][4][6][7] Deer tiger[3] Mountain lion[3][4][6][7] Puma[3][4][6][7] Red tiger[3] |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
ピューマ(Puma concolor)は、哺乳綱食肉目ネコ科ピューマ属に分類される食肉類。英名はcougar(クーガー)。
分布
カナダのブリティッシュコロンビア州から、チリにかけて[4]。
形質
頭胴長(体長)オス107 - 168センチメートル、メス96 - 141センチメートル[4]。尾長57 - 92センチメートル[4]。体重オス39 - 80キログラム、メス22.7 - 50キログラム[4]。大きさは緯度や気候・獲物の量などによって変異があり、分布域北端と南端の温帯域の個体群は大型[4]。熱帯域の個体群は小型[4][6]。尾は長く、円筒形[4][7]。
背面は淡黄褐色や濃黄褐色で、斑紋は入らない[4]。耳介の外側と尾の先端は、黒や濃褐色[4]。出産直後の幼獣には、濃褐色の斑点や斑紋が入る[4]。多くの個体は、生後9 - 12か月で斑紋が消失する[4]。幼獣は体中に黒から黒褐色のヒョウのような斑紋があり、尾には黒い輪があるが、これらは成長とともに消えていく。
嗅覚が鋭く、ネコ科の大型肉食獣の中では特に眼球が大きく、視力が高い。
分類
大型ネコ類の中で唯一、分類学的にヒョウやライオンよりイエネコや小型ヤマネコに近い。その証拠に吠えることが出来ず、普通のネコに近い声で鳴く。 以前は32亜種に分ける説もあったが、形態のわずかな差異しかなく亜種をまとめる説が有力とされる[4]。2000年に発表されたミトコンドリアDNA、16SrRNAなどの分子系統解析から、以下の亜種に分ける説もある[8]。
以下の亜種の分類・分布は、IUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[8]。
- Puma concolor concolor (Linnaeus, 1771)
- 南アメリカ大陸北部および西部
- Puma concolor cabrerae (Pocock, 1940)
- 南アメリカ大陸南東部
- Puma concolor capricornensis (Molina, 1782)
- 南アメリカ大陸北東部
- Puma concolor costaricensis (Merriam, 1901)
- コスタリカ、パナマ
- Puma concolor couguar (Kerr, 1792)
- 北アメリカ
- P. c. coryi(フロリダパンサー)はシノニムとされる(フロリダ州の個体群が他個体群と隔離されたのが約100年ほど前で、分子系統解析でも支持されなかった)[4]。
- Puma concolor puma (Molina, 1782)
- 南アメリカ大陸南部
以下の2亜種のみとする説もある。以下の分類・分布も、IUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[8]。
- Puma concolor concolor (Linnaeus, 1771)
- 南アメリカ(アンデス山脈以西の個体群を除く可能性もある)
- Puma concolor couguar (Kerr, 1792)
- 北アメリカおよび中央アメリカ(アンデス山脈以西の個体群を含む可能性もある)
生態
森林や低木林・草原・サバンナ(パンタナルやパンパなども含む)・岩が多く植生の点在する砂漠など、様々な環境に生息する[4]。基本的に単独行動であり、オスでは平均の広さ250 km2(半径9 kmの円)程度の縄張りを持つとされる。比べ、メスの縄張りは狭く面積はその半分から3分の1程度となる。ただし、縄張りの広さは環境に左右され、餌が豊富で条件がよい地域ではオスの縄張りが1頭当り25 km2(半径3 kmの円)程度の地域もあるという。敏捷で瞬発力に優れ、高さ4 m、幅12 mほどの跳躍した記録が残されている。
主に中型から大型の有蹄類を食べる[4]。北アメリカではオジロジカ属、ヘラジカ(主に若獣)、ミュールジカ、シロイワヤギ、ドールシープ、ビッグホーン、プロングホーン、クビワペッカリーなどを食べる[4]。アライグマ、ウサギ、アメリカビーバー、オグロプレーリードッグ、リス、キタオポッサムなどの小型の動物も食べる。チリ中部ではグアナコが食性の88.5 %、トレスデルパイネ国立公園ではグアナコが食性の59 %を占めていたという報告例もある[4]。南アメリカでは一方でマザマジカ属、ペッカリー類、バク類、アルマジロ類、ウサギ類、アグーチやカピバラ・ヌートリア・アメリカヤマアラシ類などの齧歯類・ハナグマ属・サル類・アリクイ類・タテガミオオカミ・およびナマケモノ類といった有毛目などの小型の獲物も食べる[4]。鳥類(大型のものではレア)や爬虫類(大型のものではアメリカアリゲーターやカイマン類)を捕食することもあるが、主な獲物ではない[4]。狩りの方法は、地面に伏せて獲物に忍び寄り、後ろや物陰から瞬発力を利用して一気に飛びかかるというもの。大型の獲物は喉に噛みついて窒息死させ、小型の獲物は頭部や頸部に噛みついて殺す[4]。獲物の行動を止めるため、顎や喉笛に食いついたり、獲物を転倒させて、腹部に食いついたりもする。ヤマアラシに対する狩り方は、針毛のない腹部を爪で掻き裂くというもの。捕食された動物の中には、飛びつかれた際の衝撃による骨折が死因のものも見つかっている。殺した獲物は保存や死肉食動物から守るために、土や落ち葉・雪をかぶせて隠すこともある[4]。こうした獲物を数回(3日 - 4週間<寒冷地で大型の獲物の場合>)にわけて、食べることもある[4]。アメリカグマやヒグマ・オオカミに、仕留めた獲物を奪われてしまうこともある[4]。
妊娠期間は82 - 98日[4]。1回に1 - 4頭(平均3 - 4頭)の幼獣を産む[4]。飼育下では、最大6頭の幼獣を産んだ例がある[4]。飼育下での寿命は長くても20年[4][5]。
人間との関係
ライオンのメスに似ていることから、生息地ではライオンを意味する呼称(例としてアメリカ合衆国西部ではLion)で呼ばれることもある[4]。
家畜や、郊外ではイヌ・ネコなどのペットを襲うこともある[4]。ごくまれに人間を殺すこともあり、1890 - 2012年にアメリカ合衆国およびカナダで本種による死亡例は23例(うち2例は狂犬病による死亡例)とされる[4]。
狩猟、害獣としての駆除、道路建設による生息地の分断化および交通事故(フロリダ州で顕著)などにより生息数は減少している[3][4]。アメリカ合衆国東部では、フロリダ州を除いて絶滅した[4]。1975年のワシントン条約発効時からワシントン条約附属書I・ワシントン条約附属書IIに掲載されている亜種もいたが、2017年に分類の変更に伴い掲載されていた全亜種が亜種P. c. couguarに含まれるということになりこれらの掲載は抹消されている[2]。1977年にネコ科単位でワシントン条約附属書IIに掲載され、2019年にコスタリカとパナマ個体群がワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。
日本では2020年の時点でプマ属(ピューマ属)単位で、特定動物に指定されており、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[9]。
インカ帝国に存在したクスコの街はピューマを元にできている[10]。
呼称
分類学上、本種をピューマ属とせず、ネコ属の下位に置いて「ピューマ亜属」とする学説もあり、その場合の学名はシノニムとしての Felis concolor である。
属名 Puma や英名puma(プーマ)の語源を辿ると、スペイン語名を経ているが、そもそもの由来は南アメリカのペルーやエクアドルに暮らす先住民族ケチュアの言語でのその名 pumaに源流がある[要出典]。
アメリカライオンとも呼ばれる[11]。民俗学者の南方熊楠は著書『十二支考』の中でピューマに対して亜米利加獅や米獅という漢字を当てている[12]。
画像
-
頭部
-
頭骨
-
幼獣
-
足裏
-
足跡
-
動物園で誕生したヒョウとの属間雑種であるPumapard
-
警告標識
出典
- ^ Appendices I, II and III (valid from 26 November 2019)<https://cites.org/eng> (downroad 07/27/2020)
- ^ a b c UNEP (2020). Puma concolor. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (downroad 07/27/2020)
- ^ a b c d e f g h i Nielsen, C., Thompson, D., Kelly, M. & Lopez-Gonzalez, C.A. 2015. Puma concolor (errata version published in 2016). The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T18868A97216466. doi:10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T18868A50663436.en, Downloaded on 27 July 2020.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak Luke Hunter 「ピューマ」山上圭子訳『野生ネコの教科書』今泉忠明監修、エクスナレッジ、2018年、155-164頁。
- ^ a b Mary Jean P. Currier, "Felis concolor," Mammalian Species, No. 200, American Society of Mammalogists, 1983, Pages 1-7.
- ^ a b c d e 成島悦雄 「ネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、150-171頁。
- ^ a b c d Anupama Shivaraju, 2003. "Puma concolor" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed February 28, 2020 at https://animaldiversity.org/accounts/Puma_concolor/
- ^ a b c IUCN SSC Cat Specialist Group, "Puma concolor," Cat News, Spacial Issue 11, 2017, Pages 33-34.
- ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) (環境省・2020年7月27日に利用)
- ^ “クスコ/ ペルー”. NHK. 2024年4月17日閲覧。
- ^ 今泉忠明. “ピューマ”. 日本大百科全書(ニッポニカ)(コトバンク). 2021年8月9日閲覧。
- ^ 南方熊楠. “十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗”. 青空文庫. 2021年8月9日閲覧。
関連項目
- プーマ - スポーツ用品メーカー。
ピューマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 14:52 UTC 版)
※この「ピューマ」の解説は、「星の王子くん」の解説の一部です。
「ピューマ」を含む「星の王子くん」の記事については、「星の王子くん」の概要を参照ください。
ピューマ
「ピューマ」の例文・使い方・用例・文例
ピューマと同じ種類の言葉
- ピューマのページへのリンク