パソコン(PC)関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:27 UTC 版)
「自作パソコン#自作パソコンの流通史」も参照 1976年にNECがTK-80の宣伝・普及のため、秋葉原ラジオ会館にショールームBit-INNを開設した事を皮切りに、当時はマイコンと呼ばれたパソコン関連商品を扱う店が登場したとされる。後に8ビットパソコンのようなホビーパソコンと呼ばれる趣味に供するためのコンピュータ市場が発生すると、メーカー直営から専門店まで、幅広い商店が軒を連ねた。この当時より無線機器やそのパーツ類を扱っていた商店が趣味の電子機器として個人向けコンピュータ製品を取り扱い、その中からは後にパソコンショップに業態転換するものも現れた。 1980年代以降にはビジネス関連で業務のOA化が進んだ事から、家電製品などとともにメーカー製PCとその周辺機器の販売が次第に増え始め、企業相手にOA機器を取集う店舗がその取扱品の一つにパソコンを含めるケースも増えていった。販売商品の主流は当時日本国内で大きなシェアを占めていたNECのPC-9800シリーズやエプソンのNEC互換機で、ホビーユースでも8ビット御三家のように三強が覇権を争う市場が存在したが、この競争で主要シェアを獲得できずマイナーな存在に甘んじた他のアーキテクチャのみを専門に取り扱う店も普通に存在し、また商売として成立していたのが当時の秋葉原電気街の奥深さであり、地方都市では通信販売以外に事実上入手手段が無い製品や補修部品であっても秋葉原ならば専門店で店頭入手が可能ということも多かった。とりわけマッキントッシュやMSXなどの専門店は長らく残っていた。 1990年代初頭からは、日本国内ではまだマイナーな存在であったPC/AT互換機(当時はDOS/V機と呼ばれる事が多かった)が台頭し、ショップではハンドメイドで組み立てたPCの販売が始まり、ユーザー自身で組み立てる自作パソコン向けのパーツを扱う店も見られるようになる。当時主流であったNECのPC-9800シリーズよりも安価で、かつこのパーツの中にはメジャーメーカーではなかなかお目にかかれない特異な仕様のカスタムパーツも多く、アングラを好む自作パソコンユーザがアキバに集結する源流を作り出した。 爆発的な需要を生み出したオペレーティングシステムであるWindows95のリリース以降は、それまでの白物家電に替わってパソコン関連製品が秋葉原の販売の主流を占め、それに伴って数多くのパーツショップが秋葉原界隈に林立し、一時期は秋葉原を指して「パソコン街」と呼ばれることも多かった。このこともあり、バブル崩壊以降に、数多くの老舗家電量販店が低迷や破綻に至り都内では低下の一途を辿っていた秋葉原電気街のブランド力も、こと当時成長産業であったパソコンに限れば、その後もしばらくの間は地方や郊外部ならば十分に通用するものであった。また、従来からの店頭販売主体のパソコンショップのみならず通販主体のパソコンパーツショップや直販メーカーでも、秋葉原に直売店舗を構えることを一種のステータスや信用と見なすパソコン小売業界の黎明期からの考え方が当時はまだ根強く存在していた。そのため、1990年代には「アキバ電気街のパソコンショップ・PCメーカー」という箔付けを求めて、他地域創業のパソコン関連企業・商店が秋葉原へと進出し、販売戦略に利用した事例は数多い。この分野では現在秋葉原に店舗を設置していないものや現存しないものにも、過去に秋葉原へと進出し店舗を設置していた事例は枚挙に暇がなく、店舗のみならず本社や主要な営業拠点を置いたものも少なくない。 経度や時差の都合などもありOSなどの基幹ソフトや自作パーツは世界で最初に販売が開始されることも多い。しかし、1990年代後半からコモディティ化していったパソコンのセットや主要パーツの販売単価の低下や、激しい競合の中で一部の店舗が過剰な価格破壊路線に走ったことに起因する慢性的な低利益率の業界体質、通信販売の普及、大型家電量販店との競合などによる集客力の低下、2005年のつくばエクスプレス線開業や再開発計画の進捗が要因となった家賃の高騰 などが複合的に重なり、ここ数年では経営的苦境に追い込まれた老舗ショップ・著名ショップの撤退や経営破綻が相次ぐなど衰退傾向を如実に示しており、全盛期の勢いは見る影もない。しかし、全国的にパソコンショップや自作ショップという業態そのものが衰退傾向にある今もなお、ホビー用途の自作PC用パーツを中心に周辺機器類、各種サプライ、中古・ジャンク商品の充実ぶりでは他地域の追随を全く許さず、前述した自作PCユーザーが集う街としてのアキバの集積度は国内屈指のものである。 また、メーカーが発表していないマイナーなモデル(特定の法人向けの専用仕様品など)や発表前の先行モデル(技術者向け評価版を含む)など、いわゆるバルク品と呼ばれる一般ユーザーへの発売を前提としない商品を店頭で取り扱っている店舗は現在でも若干数存在しており、通信販売での取り扱いも無く秋葉原に来なければ到底入手できない特殊なパーツが掘り出し物として出てくることもある。 このようなコンピュータ製品販売の全国でも比類なき集積度の高さゆえに働く地理的な有利性は大きく、これを活かして新発売の商品をメーカーの発売日前に販売され話題となることも珍しくないほか、Microsoft Windowsの新バージョンやiPhone・iPadの新型モデルなど一般大衆の注目を集める新商品の発売時には秋葉原界隈の店舗に大量納品され開店時には店頭に行列が出来たり、秋葉原の販売店で新発売の記念セレモニーが行われることもある。このような光景をマスコミが取材しニュース番組などで放映されることも恒例のものとなっている。
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