パソコン通信網 ARF
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「佐野榮太郎」の記事における「パソコン通信網 ARF」の解説
パソコン通信網 ARF(パソコンつうしんもう エー・アール・エフ)は、1992年より運用されていた付加価値通信網、パソコン通信局である。開局当初は、主に東三河地域の産業を支える法人の業務連絡用として整備された通信網であったが、全盛期には共有カレンダーや共有住所録、スケジューラー、プロジェクト管理ほか、ビジネスでの利用に特化した複数のサービスを提供。1994年には豊川ノードの一部が『パソコン通信網 TRF』の局名で一般開放された。法人の登録アカウント数は2300社、一般の登録アカウント数は510名であった(2012年時点)。本通信網の特徴として、佐野の考案したRHSP(Remote Host - to host Sharing Protocol)と称するホスト間転送プロトコルが挙げられる。RHSPは、ホストコンピュータに保存されたBBSやファイルストッカーのデータを、ホストコンピュータ間で定期的に同期する(ホストからホストへデータを順送りする、いわゆるデータの玉突きを行う)ことにより、どのホストコンピュータに接続した場合でも同じ情報が取り出せる仕組みである。当時のパソコン通信においては、ユーザーが、ホストコンピュータの設置されている地点へ架電し、接続を確立せねばならず、通信距離に応じた電話料金を支払う必要があった。パソコン通信における電話料金は遠距離通信を行う回線契約者の大きな負担となっており、大手商用通信網の管理者は各地にアクセスポイントを設置する等の対策を講じていた。その一方で、草の根BBSの管理者が大規模なインフラを整備することは困難であった。これを解決するため、全盛期にはTri-Pのようなサービスも広く利用されたが、ARFのホストシステムは、そうしたサービスも併用することなく、独自のVANを形成できた。その反面、RHSPが抱える短所としては、次のような点が挙げられる。 掲示板やファイルストッカーにおいて、リアルタイムな投稿やアップロードが反映されない。 チャットサービスのような、リアルタイムな通信を必要とするサービスには応用が利かない。 ノードあたりの通信コストが増加する。 RHSPは、1995年から1996年にかけて機能を洗練した後、HSPの名称で、当時NTTが提供していたCAPTAIN通信サービスのノード間データ同期や、WebTV Networksの日本法人が提供していたWebTVの電子掲示板サービス等にも応用され、情報通信分野における技術革新の礎を築いた。パソコン通信網 ARFのVANは2000年までに大部分を解体。豊明ノードと豊橋ノードは、パソコン通信網 ARFを運営していた組織『RFネットワークス』の後継団体であり、総合情報通信技術研究機関 ADSの前身に相当する、ArionDigitalSupport(アリオン・デジタル・サポート)が発足してからも『ADS シリアルセクション』と名を変え、2011年まで常時運用された。しかしながら、インターネットの台頭による需要の急減を避けられず、2012年に豊橋ノードが閉鎖。豊明ノードは不定期運用となって存続されたが、主要なSIGが段階的に閉じられ、2018年1月1日に新規アカウントの発行を終了。長年の歴史に幕を閉じた。
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